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冬休み編

第1話

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 二学期の期末試験も終わり、その結果も発表されて、いよいよ二学期も終了の日がやってきた。

 笹野夏樹は手渡された成績表を眺めながら、鞄に教科書やノートを詰め込んだ。ロッカーにも普段持ち歩かない資料集や英和辞典等が入っているため、結構な荷物になってしまった。

(あ、体育の成績「3」になってる……)

 脳裏に体育教師・市川慶喜の顔が浮かんできた。

「夏樹が可愛いからって、成績は甘くしないぜ? お気に入りの生徒を贔屓したら怒られちゃうからなー」

 ……などと冗談めいて言っていたけれど、全ての生徒を平等に評価してくれるのは市川のいいところである。体育が得意なら「5」、不得意なら「2」と基準もわかりやすい。もちろん努力していることもある程度評価してくれるから、夏樹のように「3」がつく可能性もある。

 授業中や成績評価では公私混同しない。それもまた、市川が人気教師たる所以かもしれない。

 ただし、授業以外は完全なる変態だけど。

(そういや、今日から先生の家に泊まるんだっけ……)

 明日から冬休みに入るので、クリスマスまでは一緒に過ごそうと誘われている(クリスマスからお正月にかけては市川も実家に帰ってしまうらしく、冬休み中はしばらく会えないと言われた)。

 夏樹は学校から直接市川のマンションに向かってもよかったのだが、終業式のためか、教師連中は朝からいろいろと雑務に追われているらしく、

「ごめんな、夏樹。今日は仕事長引きそうでさ。一緒に帰れないかもしれない」
「あ、そうなんですか。別にいいですよ。先生の家の場所はわかってるし、一人で行けますんで」
「そっか。じゃ、一度自分の家に帰るか?」
「そうですね。いろいろ荷物まとめてきます」
「わかった。仕事終わったら連絡するから、いつでも好きな時間に来てくれ」

 ……というわけで、一度家に帰ることになったのだ。
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