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文化祭編
第1話
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一年の中で最も長い二学期には様々な学校行事がある。文化祭もそのひとつだった。
夏樹はもともと「大人数でまとまって何かをする」という行為自体があまり好きではなく、学校イベントにもさほど興味がなかった。
とはいえ、文化祭をサボるほど不真面目でもない。熱心ではないけれど、自クラスの「純喫茶・パラダイス」の仕事にはきちんと協力するつもりだった。
ところが……。
「……ちょっと待って。何だよ、この衣装」
スタッフ衣装だ、と言われてクラスリーダーから提供されたのは、和風料亭のスタッフが着ていそうな簡易着物だった。無地のピンク色で簡易帯までついており、明らかに女性モノの着物だということがわかる。
だがクラスリーダーは、当然のように言った。
「何って、『純喫茶・パラダイス』の衣装に決まってるじゃないか。男子校の文化祭でこういう衣装は定番だろ?」
「いや、でも……」
「本当はメイド喫茶にしたかったんだぜ? でもそれだと他のクラスと被るし、こういう和モノなら被らないだろうと思って」
……まあ、確かにメイド喫茶よりマシかもしれないが。
「でも俺、着物の着方なんてわからないよ?」
「あ、それは大丈夫。これ、全部マジックテープで着られるようになってるから」
合わせ襟や裾の裏側には、目立たないように細かくマジックテープがくっついている。
実際、教室では、着物など着たことのなさそうなクラスメートたちがみんな自力でこれを着ていた。なるほど、確かにこれなら着付けのできない人でも簡単に着られそうである。
……となれば、自分だけ着ないというわけにもいくまい。
(だけどこの衣装……)
変なカンが働き、夏樹は念のためにクラスリーダーに聞いてみた。
「ちなみに、この簡易着物は誰から提供されたの?」
「ん? 市川先生だけど。それがどうかした?」
やっぱり!
夏樹はもともと「大人数でまとまって何かをする」という行為自体があまり好きではなく、学校イベントにもさほど興味がなかった。
とはいえ、文化祭をサボるほど不真面目でもない。熱心ではないけれど、自クラスの「純喫茶・パラダイス」の仕事にはきちんと協力するつもりだった。
ところが……。
「……ちょっと待って。何だよ、この衣装」
スタッフ衣装だ、と言われてクラスリーダーから提供されたのは、和風料亭のスタッフが着ていそうな簡易着物だった。無地のピンク色で簡易帯までついており、明らかに女性モノの着物だということがわかる。
だがクラスリーダーは、当然のように言った。
「何って、『純喫茶・パラダイス』の衣装に決まってるじゃないか。男子校の文化祭でこういう衣装は定番だろ?」
「いや、でも……」
「本当はメイド喫茶にしたかったんだぜ? でもそれだと他のクラスと被るし、こういう和モノなら被らないだろうと思って」
……まあ、確かにメイド喫茶よりマシかもしれないが。
「でも俺、着物の着方なんてわからないよ?」
「あ、それは大丈夫。これ、全部マジックテープで着られるようになってるから」
合わせ襟や裾の裏側には、目立たないように細かくマジックテープがくっついている。
実際、教室では、着物など着たことのなさそうなクラスメートたちがみんな自力でこれを着ていた。なるほど、確かにこれなら着付けのできない人でも簡単に着られそうである。
……となれば、自分だけ着ないというわけにもいくまい。
(だけどこの衣装……)
変なカンが働き、夏樹は念のためにクラスリーダーに聞いてみた。
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「ん? 市川先生だけど。それがどうかした?」
やっぱり!
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