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誕生日編
第14話*
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「ゆ、柚月先生!? なんでここに!?」
「おや、きみは確か……」
「笹野夏樹だよ、二年生の。柚月先生、英語の授業受け持ってるだろ?」
「ああ……そう言えば、二年生の英語は常に成績上位だったな」
うちの子もこれくらい勉強してくれればいいんだが……と、柚月先生が呟く。
だが夏樹はあまりの衝撃で言葉を失ってしまった。
(嘘でしょ……!?)
はしたない格好の夏樹を見ても、柚月先生は顔色ひとつ変えない。この状況を見れば、夏樹と市川がただならぬ関係にあることは容易に想像できるのに、当たり前のようにそれを受け入れてしまっている。
というか、普通は何か一言くらい咎めるだろう。なのになんで何も言わないんだ、この先生は!
「そうだ、市川先生。きみに借りたこの道具、なかなか使い勝手がよかった。ありがとう」
と言って、柚月先生がマドラーのような棒を差し出す。普通のマドラーよりもかなり細く、ところどころに瘤のようなでっぱりがあった。柄の部分には、何故か指を引っ掛けることができるリングがついている。
「だろう? これ、その道では結構有名なイイ品らしいからな。探すのに苦労したけど、役に立ったようでよかったよ」
市川が自慢げにそれを受け取っている。
「……で、今日は何か他に借りたい道具とかある? いろんなものを取り揃えてるぞ」
「いや、今日は私の方からプレゼントがあるんだ。確か誕生日だっただろう?」
「おっ! サンキュー、柚月先生。……で、何くれんの?」
「……これだ。気に入ってもらえるといいんだが」
柚月先生が手のひらサイズの小さな赤い箱を取り出す。婚約指輪が入っていそうな、おしゃれで高級感溢れる箱だった。
「おや、きみは確か……」
「笹野夏樹だよ、二年生の。柚月先生、英語の授業受け持ってるだろ?」
「ああ……そう言えば、二年生の英語は常に成績上位だったな」
うちの子もこれくらい勉強してくれればいいんだが……と、柚月先生が呟く。
だが夏樹はあまりの衝撃で言葉を失ってしまった。
(嘘でしょ……!?)
はしたない格好の夏樹を見ても、柚月先生は顔色ひとつ変えない。この状況を見れば、夏樹と市川がただならぬ関係にあることは容易に想像できるのに、当たり前のようにそれを受け入れてしまっている。
というか、普通は何か一言くらい咎めるだろう。なのになんで何も言わないんだ、この先生は!
「そうだ、市川先生。きみに借りたこの道具、なかなか使い勝手がよかった。ありがとう」
と言って、柚月先生がマドラーのような棒を差し出す。普通のマドラーよりもかなり細く、ところどころに瘤のようなでっぱりがあった。柄の部分には、何故か指を引っ掛けることができるリングがついている。
「だろう? これ、その道では結構有名なイイ品らしいからな。探すのに苦労したけど、役に立ったようでよかったよ」
市川が自慢げにそれを受け取っている。
「……で、今日は何か他に借りたい道具とかある? いろんなものを取り揃えてるぞ」
「いや、今日は私の方からプレゼントがあるんだ。確か誕生日だっただろう?」
「おっ! サンキュー、柚月先生。……で、何くれんの?」
「……これだ。気に入ってもらえるといいんだが」
柚月先生が手のひらサイズの小さな赤い箱を取り出す。婚約指輪が入っていそうな、おしゃれで高級感溢れる箱だった。
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