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第九十二話
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「九尾……」
「? なんだ?」
「晴明さんのお守り……今もちゃんと持ってるか?」
「もちろんだ。あれは初めて晴斗から『ぷれぜんと』されたものだからな。今でも大事に持っているよ」
「…………」
「それがどうかしたのか?」
「……いや、なんでもない」
十三階に近づくにつれて、嫌な気配も強くなっていった。玉藻前に近づいている証拠かもしれない。
途中の八階で階段が途切れていたので、上に続く別の階段を見つけなければならなかった。八階にいる人に見つからずに階段を探すのは一苦労だったけれど、なんとか十三階までの階段を見つけ出し、そこを上ることになった。
――しかし三尾のヤツ、どうなっただろうか……。
無事に逃げられたら合流しようと約束しているはずなのに、未だにその姿が見えない。悪いことは考えたくないが、仮に捕まってしまった場合はどんな扱いを受けるのだろう……。
「三尾なら……多分大丈夫だと思う」
ネガティブな気持ちが伝わったのか、九尾が穏やかな口調で言った。
「晴斗が大学で授業を受けている間、三尾からいろいろな昔話を聞かせてもらったんだが……彼、すごい数の武勇伝を持っているぞ? 『壇ノ浦の戦い』では、矢が降り注いている中を船から船へ飛んで逃げたり……『応仁の乱』では、火の海になっている町の中から大事なタヌキの置物を担いで逃走したり……『関ヶ原の戦い』では、石田三成の居場所を見つけて、攻撃をかいくぐりつつ家康さんに報告したり……」
「……え? それ、マジの話?」
「多少誇張はしているかもしれないが、経験したことは本当だと思う」
……確かにそれは、歴戦の猛者と言う他ない。
「だから、三尾はきっと大丈夫だ。私と違って頭も容量もいいし、妖怪としての力も強い。人間が相手なら、まず捕まることはないはずだ」
「そ、そうか……ならいいけどな……」
それなら早く合流してくれると助かるんだが、と思った。あんなタヌキでも、いるのといないのとでは全然違う。
「? なんだ?」
「晴明さんのお守り……今もちゃんと持ってるか?」
「もちろんだ。あれは初めて晴斗から『ぷれぜんと』されたものだからな。今でも大事に持っているよ」
「…………」
「それがどうかしたのか?」
「……いや、なんでもない」
十三階に近づくにつれて、嫌な気配も強くなっていった。玉藻前に近づいている証拠かもしれない。
途中の八階で階段が途切れていたので、上に続く別の階段を見つけなければならなかった。八階にいる人に見つからずに階段を探すのは一苦労だったけれど、なんとか十三階までの階段を見つけ出し、そこを上ることになった。
――しかし三尾のヤツ、どうなっただろうか……。
無事に逃げられたら合流しようと約束しているはずなのに、未だにその姿が見えない。悪いことは考えたくないが、仮に捕まってしまった場合はどんな扱いを受けるのだろう……。
「三尾なら……多分大丈夫だと思う」
ネガティブな気持ちが伝わったのか、九尾が穏やかな口調で言った。
「晴斗が大学で授業を受けている間、三尾からいろいろな昔話を聞かせてもらったんだが……彼、すごい数の武勇伝を持っているぞ? 『壇ノ浦の戦い』では、矢が降り注いている中を船から船へ飛んで逃げたり……『応仁の乱』では、火の海になっている町の中から大事なタヌキの置物を担いで逃走したり……『関ヶ原の戦い』では、石田三成の居場所を見つけて、攻撃をかいくぐりつつ家康さんに報告したり……」
「……え? それ、マジの話?」
「多少誇張はしているかもしれないが、経験したことは本当だと思う」
……確かにそれは、歴戦の猛者と言う他ない。
「だから、三尾はきっと大丈夫だ。私と違って頭も容量もいいし、妖怪としての力も強い。人間が相手なら、まず捕まることはないはずだ」
「そ、そうか……ならいいけどな……」
それなら早く合流してくれると助かるんだが、と思った。あんなタヌキでも、いるのといないのとでは全然違う。
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