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第五十話
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――こンの……クソダヌキ!
なんなんだ、こいつは! いきなり足に噛みつくわ、九尾に抱きつくわ、尻尾で叩いてくるわ、やりたい放題じゃねぇか! ていうか、妖怪仲間だからってベタベタしすぎだろ!
無性に腹が立ってきて、晴斗は怒鳴るように言った。
「もういい! 九尾、帰るぞ!」
「あ、ああ……」
「えー? 九尾ちゃん、もう帰っちゃうの? じゃあ僕もついていく!」
「はあっ? なんでお前まで!」
「別にいいでしょ。千年ぶりの再会なんだから。話したいこともいっぱいあるし、あんたに邪魔される筋合いはないね」
再びアカンベーをしてくる三尾。
ぶん殴りたい衝動をなんとか抑え、せめてもの気持ちを込めて三尾を睨み付けた。
「ああもう、わかったよ! だったら勝手にしろ!」
「あっ、晴斗……」
九尾が困っているのは承知していたが、晴斗はあえて無視して大学を後にした。だいたい九尾も九尾だ。本当に迷惑なら、ハッキリ「迷惑だ」と言ってやればいいのに。曖昧な態度のままでいるから、あのクソダヌキが調子に乗るんだ。
アパートに戻るなり、晴斗は冷蔵庫の麦茶をがぶ飲みした。二リットルのペットボトルに残っていた分を全部空にしたのだが、それでも足りなくて買いだめしておいたラムネを一瓶空けてしまった。
「はあ……」
キッチンで息を吐いていると、九尾がそろりと寄ってきて、小さな声で話しかけてきた。
「あの……晴斗、すまない。なんだか迷惑をかけたようで」
「迷惑なのはあのタヌキな。ったく……いきなり現れたかと思いきや、俺の家にまでついて来やがって」
「本当に申し訳ない。あんなところで三尾に会うとは思わなかったんだ。あの……これでなんとか機嫌を直してもらえないだろうか?」
と、九尾が自慢の尻尾でふわりと包み込んでくる。ツヤツヤでモフモフな尻尾に触れていたら、腹立たしい気分が少しずつ鎮まってきた。
なんなんだ、こいつは! いきなり足に噛みつくわ、九尾に抱きつくわ、尻尾で叩いてくるわ、やりたい放題じゃねぇか! ていうか、妖怪仲間だからってベタベタしすぎだろ!
無性に腹が立ってきて、晴斗は怒鳴るように言った。
「もういい! 九尾、帰るぞ!」
「あ、ああ……」
「えー? 九尾ちゃん、もう帰っちゃうの? じゃあ僕もついていく!」
「はあっ? なんでお前まで!」
「別にいいでしょ。千年ぶりの再会なんだから。話したいこともいっぱいあるし、あんたに邪魔される筋合いはないね」
再びアカンベーをしてくる三尾。
ぶん殴りたい衝動をなんとか抑え、せめてもの気持ちを込めて三尾を睨み付けた。
「ああもう、わかったよ! だったら勝手にしろ!」
「あっ、晴斗……」
九尾が困っているのは承知していたが、晴斗はあえて無視して大学を後にした。だいたい九尾も九尾だ。本当に迷惑なら、ハッキリ「迷惑だ」と言ってやればいいのに。曖昧な態度のままでいるから、あのクソダヌキが調子に乗るんだ。
アパートに戻るなり、晴斗は冷蔵庫の麦茶をがぶ飲みした。二リットルのペットボトルに残っていた分を全部空にしたのだが、それでも足りなくて買いだめしておいたラムネを一瓶空けてしまった。
「はあ……」
キッチンで息を吐いていると、九尾がそろりと寄ってきて、小さな声で話しかけてきた。
「あの……晴斗、すまない。なんだか迷惑をかけたようで」
「迷惑なのはあのタヌキな。ったく……いきなり現れたかと思いきや、俺の家にまでついて来やがって」
「本当に申し訳ない。あんなところで三尾に会うとは思わなかったんだ。あの……これでなんとか機嫌を直してもらえないだろうか?」
と、九尾が自慢の尻尾でふわりと包み込んでくる。ツヤツヤでモフモフな尻尾に触れていたら、腹立たしい気分が少しずつ鎮まってきた。
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