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第十話
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「……もし嘘だったら、お前のこと殺すからな」
「物騒だな……。俺はそんな嘘つかないよ」
洞窟から抜け出し、晴斗は裏山を下りた。
空はまだ灰色の状態だったが、横殴りの雨は治まっていた。少しホッとした。この謎の青年は雨具を持っていない。外に出た途端びしょ濡れになってしまったら可哀想だ。
町に出ると、青年は驚愕して息を呑んだ。どうやら、ここが「平安」の世ではないということがわかったみたいだった。これだけ高い建物が立ち並び、車やバスが行き来しているのを目の当たりにすれば当然だが。
「こっちだよ」
晴斗は彼に声をかけながら、実家近くにある晴明神社に向かった。道中、なるべく人に遭遇しないよう、人通りの少ない道を選んだ。いくらコスプレと見なされたとしても、注目されるのは避けた方がいい。
晴明神社は、京都によくある観光向けの「○○寺」や「○○神社」とは違い、住宅の間に挟まれたこぢんまりとした神社である。それでも鳥居には五芒星が刻まれているし、奥にある本殿にはキチンと安倍晴明が奉られていた。
――これを見れば、こいつもちょっとは落ち着いてくれるかな……。
ところが晴明神社の鳥居をくぐった途端、青年は本殿まで駆け寄って大声で呼びかけ始めた。
「晴明! 晴明はどこだ!? 早く出て来い!」
「ちょっ……静かにしろよ! 近所迷惑になるだろ!」
晴斗は慌てて青年を押さえた。今日は天気が悪いため誰もいなかったが、他の参拝客が来てしまったら面倒なことになるかもしれない。トラブルは御免だ。
すると青年は、怒って晴斗に掴みかかってきた。
「物騒だな……。俺はそんな嘘つかないよ」
洞窟から抜け出し、晴斗は裏山を下りた。
空はまだ灰色の状態だったが、横殴りの雨は治まっていた。少しホッとした。この謎の青年は雨具を持っていない。外に出た途端びしょ濡れになってしまったら可哀想だ。
町に出ると、青年は驚愕して息を呑んだ。どうやら、ここが「平安」の世ではないということがわかったみたいだった。これだけ高い建物が立ち並び、車やバスが行き来しているのを目の当たりにすれば当然だが。
「こっちだよ」
晴斗は彼に声をかけながら、実家近くにある晴明神社に向かった。道中、なるべく人に遭遇しないよう、人通りの少ない道を選んだ。いくらコスプレと見なされたとしても、注目されるのは避けた方がいい。
晴明神社は、京都によくある観光向けの「○○寺」や「○○神社」とは違い、住宅の間に挟まれたこぢんまりとした神社である。それでも鳥居には五芒星が刻まれているし、奥にある本殿にはキチンと安倍晴明が奉られていた。
――これを見れば、こいつもちょっとは落ち着いてくれるかな……。
ところが晴明神社の鳥居をくぐった途端、青年は本殿まで駆け寄って大声で呼びかけ始めた。
「晴明! 晴明はどこだ!? 早く出て来い!」
「ちょっ……静かにしろよ! 近所迷惑になるだろ!」
晴斗は慌てて青年を押さえた。今日は天気が悪いため誰もいなかったが、他の参拝客が来てしまったら面倒なことになるかもしれない。トラブルは御免だ。
すると青年は、怒って晴斗に掴みかかってきた。
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