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第11話
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(やべっ! 師匠の魔導書!)
俺としたことが! あんな大事なものを忘れるなんて、一生の不覚!
ジェームズは足を止め、アビーに言い聞かせた。
「アビー、ちょっとそこに隠れて待っててくれ」
「え? ジェームズ、どこ行くの?」
「俺はちょっと忘れ物をした。すぐ戻るから、お前はここで待ってろ」
「いや! ジェームズが行くならアビーも……」
「ダメだ! たまには言うことを聞け、アビー!」
そう怒鳴りつけたら、アビーはびくっと肩を震わせた。
泣きそうなアビーを勇気づけるように、ジェームズはあえて明るく笑ってみせた。
「大丈夫だ、絶対戻ってくるから。だから少しの間だけ、いい子で待ってな」
「う……うん……」
アビーが頷いたのを見届けて、ジェームズは急いで家に戻った。玄関からはもちろん入れなかったので、寝室の窓から家に入った。
(うおっ……ちょっとヤバい……)
木造の質素な家のため、思った以上に火の回りが早かった。一番遠いと思っていた寝室ですら、白い煙が充満してきている。
リビングのテーブルに置きっぱなしの魔導書、無事だといいが……。
(あっ! あった!)
素早くリビングに戻り、テーブルの上を見る。木製のテーブルもいよいよ発火しそうな状態だったが、魔導書はなんとかギリギリ無事だった。
ジェームズは奪うようにそれを掴み、しっかりと脇に抱えた。
だが次の瞬間、
「うわっ……!」
天井から炎を纏った梁がバラバラと落ちて来た。
急いで引き返そうとしたが、寝室に通じるドアの前に焼け落ちた柱が倒れて来て、退路を塞がれてしまう。
(やべ、逃げ道が……)
他の部屋から逃げようとしたが、床にも火が回って来ており、天井まで届く火柱で四方を囲まれてしまった。
「く……っ」
師匠が帰って来たら、魔法使いにしてもらうつもりだった。リデルの弟子になるのが自分の夢だった。彼と同じ魔法使いになって、彼と同じ悠久の時を生きたかった。
でも、これでは……。
(師匠……)
燃え盛る炎の中で、ジェームズは魔導書を抱き締めた。
俺としたことが! あんな大事なものを忘れるなんて、一生の不覚!
ジェームズは足を止め、アビーに言い聞かせた。
「アビー、ちょっとそこに隠れて待っててくれ」
「え? ジェームズ、どこ行くの?」
「俺はちょっと忘れ物をした。すぐ戻るから、お前はここで待ってろ」
「いや! ジェームズが行くならアビーも……」
「ダメだ! たまには言うことを聞け、アビー!」
そう怒鳴りつけたら、アビーはびくっと肩を震わせた。
泣きそうなアビーを勇気づけるように、ジェームズはあえて明るく笑ってみせた。
「大丈夫だ、絶対戻ってくるから。だから少しの間だけ、いい子で待ってな」
「う……うん……」
アビーが頷いたのを見届けて、ジェームズは急いで家に戻った。玄関からはもちろん入れなかったので、寝室の窓から家に入った。
(うおっ……ちょっとヤバい……)
木造の質素な家のため、思った以上に火の回りが早かった。一番遠いと思っていた寝室ですら、白い煙が充満してきている。
リビングのテーブルに置きっぱなしの魔導書、無事だといいが……。
(あっ! あった!)
素早くリビングに戻り、テーブルの上を見る。木製のテーブルもいよいよ発火しそうな状態だったが、魔導書はなんとかギリギリ無事だった。
ジェームズは奪うようにそれを掴み、しっかりと脇に抱えた。
だが次の瞬間、
「うわっ……!」
天井から炎を纏った梁がバラバラと落ちて来た。
急いで引き返そうとしたが、寝室に通じるドアの前に焼け落ちた柱が倒れて来て、退路を塞がれてしまう。
(やべ、逃げ道が……)
他の部屋から逃げようとしたが、床にも火が回って来ており、天井まで届く火柱で四方を囲まれてしまった。
「く……っ」
師匠が帰って来たら、魔法使いにしてもらうつもりだった。リデルの弟子になるのが自分の夢だった。彼と同じ魔法使いになって、彼と同じ悠久の時を生きたかった。
でも、これでは……。
(師匠……)
燃え盛る炎の中で、ジェームズは魔導書を抱き締めた。
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