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第9話
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「おいアビー、少しは手伝えよ!」
ジェームズは落とし穴の近くで、穴を一時的に塞ぐための板を作っていた。
本当は魔法で穴を塞ぎたかったのだが、印をもらっていない以上、まだ魔法は使えない。倉庫にあった板を組み合わせて、一時的な足場を作るしかなかった。
だが、落とし穴を作った犯人は全く手伝いもせず、リデルが置いていった魔導書をパラパラめくって遊んでいるだけ。
(そう言えばあの本、師匠の大事な書物だったよな……)
家にいる時はいつも脇に抱えている魔導書。外出する時は「なくすといけないから」と置いて行くのだが、なんでも世界に一つしかない貴重な魔導書だそうだ。留守番を頼まれる時は、いつも「なくさないようにね」と念を押される。
「ねえジェームズ、先生はいつ帰ってくるの?」
書いてある字が読めなかったのか、アビーはつまらなさそうに魔導書をテーブルに放り投げた。おいコラ、大事な魔導書を粗末に扱うな。
「知らねぇよ。夕方には帰ってくるんじゃねぇの?」
「えー……? アビー、魔法教わりたいのにー」
「魔法使いにならなきゃ、師匠は魔法教えてくれねぇよ。ていうかアビー、わかってんのか? 魔法使いじゃないヤツは魔法使っちゃいけないんだぞ」
「わかってる。もう落とし穴は作らないもん」
「いや、落とし穴だけじゃなくてだな……」
「アビーも早く魔法使いになりたいな~」
ジェームズは落とし穴の近くで、穴を一時的に塞ぐための板を作っていた。
本当は魔法で穴を塞ぎたかったのだが、印をもらっていない以上、まだ魔法は使えない。倉庫にあった板を組み合わせて、一時的な足場を作るしかなかった。
だが、落とし穴を作った犯人は全く手伝いもせず、リデルが置いていった魔導書をパラパラめくって遊んでいるだけ。
(そう言えばあの本、師匠の大事な書物だったよな……)
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「ねえジェームズ、先生はいつ帰ってくるの?」
書いてある字が読めなかったのか、アビーはつまらなさそうに魔導書をテーブルに放り投げた。おいコラ、大事な魔導書を粗末に扱うな。
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「いや、落とし穴だけじゃなくてだな……」
「アビーも早く魔法使いになりたいな~」
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