微睡みの子どもたち

栗菓子

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   二人の夫と花嫁②

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「兄さま・・そういえば兄さまの名前なんだっけ。いつも忘れてしまうんだ。

僕はおかしいのかな。」

「 弟・・。それをいうならみんなおかしいんだよ。みんななにかを忘れて生きているんだ。

中には忘れることもでできない。

記憶が膨大にある者も僅かにいるんだよ。そういう人はえてして発狂した。
 
頭が許容量限界で水が溢れたんだよ・・。彼らは意識を遮断して深い眠りに陥った症状もある。」

「忘却は未来を求める渇望という説もあったかな・・。記憶は或る意味、未来を固定化するものであ

るから・・。いや未来は既に定まっているという説もあったな。」

「兄さま・・兄さまのいうことは良く分からないけど、ぼくは二人の夫を選択しなければならないの?女神のように

?この国の主として?何故そんな儀式が?」

「弟よ・・これは過去と今、また見ぬ未来の女神がそれぞれ話しあって成立した儀式なのだ・・。ここはどこでもな

いところどこでもあるところに築かれた国・・アラズ国だ。 ここで全てが始まり全てが終わるんだ。」

「兄さま・・兄さまなんだか怖いよ。どうして僕が・・?」

「弟よ。哀れな愚かな弟よ。お前はいつもなにかを問う。 答えは無い問いもあるというのに・・。それはお前がこ

の国を創った女神の血を引く末裔だからだ・。」


「この世界は便利だろう・量子やまだ見ぬ粒子によって快適な世界に整えられている。王族にとって都合の良い世界

に創られている。箱庭の世界だ。色々試練が或る世界も考えたが、神はやはり子どもと考えてあえて過剰に保護され

た世界が創られた・・。まあそれも歪という者もいたため、いつかは予期せぬことで跳ね返ってくるかもしれない

が・・。」

兄はいつも訳の分からないことをいう。なんだか僕はいつも置いてけぼりだ。弟はそう感ずると、すねるようになっ

た。 ぼくは玩具だろうか? 神々の都合のよい道具?駒? 冗談じゃない。 僕は僕だぞ・・。

怒ってそれを主張すると。兄は困ったように微笑んだ。

『ソウイワレテモ困る。オウゾクハホンライ生かされているミだから。このセカイを維持するシステムの一部として

機能シナケレバならない。 それが正しき道だから・・。』

正しサ・・・正しさってなんだ。王族ってなんだ?

弟はまた疑問を抱いた。じゃあなぜぼくが疑問に思うことも何故女神や世界は止めさせないのだ。

それだけは自由なのか?放置しているのか? 何かの試しだろうか? エラー? バグ?

とるに足らない矮小なぼくが女神や神のことなど知る由もない。

ぼくは唯、その時が来たら正しい選択をするだけだ。






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