どうやら神様は死んでから褒美を与えるらしい

栗菓子

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どうやらもっと世界の結末はつかないらしい。

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蟲の様なナニカの集合体の巨人は、心ある人が見たら嘔吐し、目を背けるような殺戮劇を繰り返した。

より強い天使や神さえも、その執念深い怨念によって、喰らい続け、天使や悪魔の羽は空中に舞い散った。


黒と白い羽が青い空に散るのは、見ようによって浪漫ともいえるが、いかんせん大量の血だまりや、血が無数に跳びちって、あまりにも凄惨な殺し合いであった。

ん?天使や悪魔は高位生命体だから血は出ないのでは?と或る天猫は疑問に思ったが、神様がご丁寧に人間そっくりに血のようなエネルギーも体内に入れていたのである。


なんだかなああ。天猫はそれを知るや、ジト目で神様を見るようになった。

それを意に関せず、神様は、これはマジじゃのおと冷や汗を垂らして、真剣に本気に、巨人を倒しにかかった。


しかし、神様の膨大な力も通用しない。巨人は、その無効化、無力化する能力と、今まで喰らった天使とやらの善人や、悪人などの魂も喰らいつづけたのである。

当然である。ゴミのように捨てられた魂にとっては、悪人も善人も神々も悪魔も天使も皆等しく敵である。

喰らうべき敵である。かくして蟲の集合体のような巨人は世界を喰らいつくす巨人となった。


そして神様は、ある事に気づいて、蒼白になった。力がある神たちは大抵、信仰により力を得ている。

しかし、今や、善人も悪人も天界に居り、全ての人がこの有様をみているのだから、幻滅して信仰も減っているだろう。

案の定、力が弱体化している!と叫んでいる神も居た。

信仰が消滅しているのだ。 このうんざりする殺戮劇を見た奴らは信仰を無くす人も多いだろう。人間そんなに昔ほど馬鹿じゃないのだ。


「「「神様早く決着付けてくれよ。」」」 

それが人類総意の思いだった。

『分かった。分かった。生意気な・・。神の苦労も知らないで・・。』

神様は顔を歪めて、不動明王のような憤怒の形相をした。

一気に決着をつけるしかない。多くの美麗な武器を纏った神々は、力を併せて、集中攻撃を繰り返した。

しかし、その力さえも吸収する能力を身に付けた巨人は、余計悍ましいほどに巨大化した。

『これは‥(汗)』

どうにもならないではないか。神々は焦り始めた。

リリスは妖艶な含み笑いをして、巨人の口に蠅のような蝗のような大量の蟲を猛毒と、神でさえも殺す死の酒を含んだ飲み物を流し込んだ。

『蟲には蟲よ。ベルセルブという蠅の王もいるし、わたくしだってその力を借りれる。だってわたくしは大悪魔の妻ですもの。夜の女王とも言われたのだから・・。それに酒は人も神も殺すといわれる死の酒だってあるし‥。』

『猛毒の蟲と酒の二重カクテルよ。召し上がれ。凡庸な魂さん。』

リリスは巨人の元の魂たちを嘲った。捨てられたとるにたりない魂がなにを足掻いているのかと見下していた。

そんなリリスの思いに気づいた巨人は激高して、体内に流れる猛毒と害虫を溶岩のような灼熱で融解した。

炎の神力も巨人は使えるようになっていた。さらに、水の神力さえも巨人は得ていた。

浄化する純粋な100%混じりけのない水は異常であり、その異常な体内を洗い流すのに丁度よかった。

たちまち、巨人の体内は炎と水の神力によって正常化した。


これにはリリスも目を見開いた。

『まさか・・そこまで力が仕えるようになっていたとは・・。』

これは侮っていたとリリスも考えを改めるようになった。

リリスは凛々しく戦士の顔をして、神様と共同の戦いを始めた。

リリスは更に猛毒を創り出し、神様は神力で剣を出し、巨人の腕や足を切断し始めた。

武の神は、巨人の顔面を叩き潰そうと渾身の握力をこめてめりっと顔面がへこんだ感触があった。

やった!致命傷に届いた感触があったぞ! 武の神は喜悦に満ちたが、すぐに蒼白になった。


へこんだ顔がすぐに再生したのだ。 切断された腕や足も再生して、反撃を開始した。

怒涛の反撃が神々とリリスに向かった。防御をしたが、僅かに少しずつ結界が破られ始めた。

リリスは、戦線離脱をしようと空高く舞い上がったが、侮辱され続けた巨人がそれを見逃すはずがない。


巨人の手は妖艶な夜の女王を捕え、その肢体を引き裂いた。ギャアアアと妖艶なリリスらしくない獣の断末魔があった。


『嗚呼嗚呼・・・』

神様は呆然とリリスの末路を見た。 まさかあのリリスがこうなるとは‥予想もつかなかった。


どうやらもっと世界の結末はつかないらしい。


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