どうやら神様は死んでから褒美を与えるらしい

栗菓子

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どうやら世界の決着はつかないらしい。

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何回も死に、蘇っては、善人はより神々しくもはや天使の位まで魂を上げていた。

彼らは、今こそが絶好の機会と悟り、一気に悪人たちの魂を消滅しにかかった。天使になるとそこまでできるようになったのだ。本能と感覚がより上に引きあがっていく。

引き換え、悪人の魂はズルズルと溶け、悪辣な女神の糧となっている。
赤い巨大な唇が美味しそうにクスクスと食べている。


断末魔を上げて、悪人たちは消えていった。

愉快な死人キャラが最後には戦っているだけになった。

『滑稽じゃのお・・あれほど善人を軽んじ痛めつけた悪人が、悪辣な女神の玩具として踊っているわい・・。これが末路かのお。』

光る翁は、じみじみとそう見やった。

この勝負は善人が勝ったのだ。 どうやら世界の決着はついたらしい。なんとも呆気ない事よ・・終わりがこんなに早いとはな・・。
溜息をついて、光る翁はこのショーを終わらせる言葉を言おうとした。

「この戦いの勝利者は・・。」

善人と言おうとした瞬間、『おじいちゃん。それは早合点というものよ。』妖艶だが禍々しい女の声がそれを阻止した。

『今度は親玉同士の戦いよ。分かっているでしょ。おじいちゃん。子等にはまかせるわけにはいかないって。最後には親がやるのよ。』


悪辣な女神が、人の形をとって、死人キャラの傍らに立った。そこには、無数の亡霊たちが背後に控えている。
女神が喰らった悪人の魂だ。


『さあ。善人に加担する神々よ。ここに来なさい。決着をつけてあげる。』

すると無数の悪魔たちが黒い羽を飛ばして、悪辣な女神に加担した。

それに対抗するかのように、天使たちも戦いの武器を備えて、神様の傍らに控えた。
戦いの準備はとうにできている。

『さあお爺ちゃん。大丈夫?何千年、何万年も生きて、世界を見守っていたから疲れたでしょう。
引導を渡してあげる。 わたくしの名前はもう忘れているかも知れないけど、リリスというのよ。
リリスはクローンをつくって、ここまで生きてきたのよ。あのアダムとイブのオカシイ子どもたちの行方を見るためにね。その途中で、わたくしは大悪魔の妻になってしまった。』

リリスの強さ、妖艶さに魅了された大悪魔は、最愛の伴侶としてリリスを迎えた。

リリスも大悪魔の強さ、美しさに惹かれ、その悪辣さも伴侶として相応しくなった。

『前から考えていたのよ。はじめはもうどうでもいいと思っていたけど、何のことはない。あまりにも弱い男が不憫で、貴方はわたくしを悪妻として追放しただけよね。いい加減にしてよ。弱いくせに、何よ。それは。』


リリスは、神のいい加減さと傲慢さと脆弱さにうんざりした。

追放された者はたまったものではない。どうせアダムとイブも持て余して、下界へ追放したのだろう。

それってペット遺棄、放棄じゃないの? 飼い主の資格はないわ。

こんな奴らに創られた被造物としては腹立たしい限りだ。

『うう・・・』
思い当たりがある神たちは痛いところをつかれた感じで胸を抑えた。

リリスは冷ややかにそれを見やった。神と言えとも、ギリシャ神話のように、恐ろしく幼稚で、人間の最も汚い面を司どる神もいる。

人間より俗物的な神もいる。結局気に入るか気に入らないかなのだ。

リリスはもはや神を信仰してはいなかった。

さあ始めますか。親玉同士の戦いを。リリスは凛々しく妖艶に微笑んだ。

それに見惚れている天使など歯牙にもかけずに、唯、宿敵の聖書の神を見ていた。


光る翁は溜息をついた。

どうやら世界の決着はつかないらしい。

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