どうやら神様は死んでから褒美を与えるらしい

栗菓子

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どうやら悪辣な女神が好みのイケメンだけを助けているらしい。

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男は、稀代の悪党だった。純粋な混じりけのない悪意に満ちた心と頭脳明晰、端正な人形の容姿を持ちながら、
全てにおいて恵まれながら、唯一世界が心底面白くない。退屈だと憂鬱に満ちている事だった。

気まぐれに、頭の足りない民衆を煽って、革命させ、本来はそんなに悪くない上司や会社を悪と仕立て上げて、皆、騙されて踊らせるのが趣味だった。

だが、そんな悪運強い男も、運が尽きた様だ。執念深い被害者たちが、泣き寝入りせずにしつこく蛇のように追い詰めて、ついに犯罪の証拠をつかんだのだ。

近頃の民衆も情報を得て、そうそう騙されなくなった。男はまだまだ余裕をもって嘲笑していた。

そんなある日、民の中でも嗅覚が鋭く、鋭敏な勘をもった男たちが、復讐の黒い心をもって、とうとう真犯人を探し当てたのだ。

男は、死刑にされた。だが、今、変な美しいが、どこか厭らしい笑いをしている娼婦のような女と対面している。

漆黒の空間。なのに、その女だけが艶やかに禍々しく見える。

舌なめずりしながら、妙なる声で『貴方を助けてあげるわ。貴方は素敵な顔と真っ黒な心を持った逸材だもの。』

べろりと猫のように、その女は男の顔を舐めた。すると、たちまち男の血塗れの姿は、傷一つない真っ白な身体になった。
この全能感に満ちた力は何だろう。面白い。面白い。


この女神は、善良ではない。とても愉悦と悪辣な快楽を求めている女神だ。


どうやら、この悪辣な女神は、好みのイケメンだけを助けているらしい。

他にも美しいがどこか凶悪な匂いを感じる男たちがいた。

『聖書の神様がついに世界を血の海に沈めるみたいね。残念だわ、これほど醜悪で腐った世界は久しぶりなのに・・。善良な人たちが、ついに悪を全滅にかかったみたいよ。力を授かってね。だから私も愉しむことにしたのよ。貴方達のような悪党の逸材を助けることによってね。』

三日月のような裂けるような口角を極限まで吊り上げた化け物じみた笑いをして女神は哄笑した。

女神は、魔の力を彼らに与えて、復讐した善良な人たちを今度は追い詰めるのだ。と命令した。

いいだろう。さあ世界の最後だ。なんで面白いんだ。 男ははじめて愉快だと思った。

男は女神に心底感謝した。

ずっと満たされない凶暴な醜い欲望を完全に満たすことができるのだ。

他の男たちも凶暴な笑いと狂気に満ちた笑いをした。

さあ血に飢えた悪魔以上の殺戮劇が始まる。 世界の舞台に再演する悪党たちだ。

存分に活躍するがいい。血と悲鳴と嘆きに満ちた演奏を奏でよう。

それが女神に捧げる漆黒の踊りの祈りだ。



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