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第1話 天涯孤独
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わたしは若い頃、こんな時がくるとは予想もしていなかった。
だってわたしの家族は貧しくても大家族だった。 片田舎だったけど、因習や下らぬ迷信もあったけど、そのしがらみを上手くあしらえば、住みやすい場所はない。
わたしの家は山奥で柑橘類や野菜やコメなどを作る農家だった。
祖父は頭が良く、どのように栽培して、どこに売ればうまく利益が出るか良く解っていた。
そのごろはとても羽振りが良くて、わたしもその恩恵にあやかっていた。
一時はあの◎家の娘さんだよ。とひそひそと噂が好きな主婦のおばさんたちが鳥のように話しあっていた。
わたしはそしらぬふりでしっかりと聞き耳を立てていた。
だってわたしの服は、他の子より豪華だった。その時代のお洒落な服を着て見せびらかしていた。
羨ましそうにわたしの服や豪華な弁当を見る度に、よだれを垂らす貧乏な子どもたちを見ては優越感に浸ったものだ。そのごろはよくある無知で生意気な子どもだった。相当わたしは彼らにとって嫌な奴だったろう。
でも何も知らなかったのだからしょうがない。子どもと言うのは時に残酷なものだ。
わたしは高慢なお姫様のように、漫画の真似をして高らかに笑って「ほほほ。」と演技をした。
わたしはお姫様だった。傲慢に笑って見下していた。
お腹を減らしている子どもに、恩着せがましく、犬にやるように「ほら。あげるわ。感謝することよ。」
と美味しそうなお菓子をふんそりがえって差し上げたものだった。
思えば、典型的な俗物悪役娘だったわ。わたしって・・((´∀`))
良く道を踏み外さなかったものよ。 今になって思えば・・と回想すればするほど己の下衆ぶりが鮮明に蘇る。
でもそんな子供があっていいと思うのよ。今頃の子どもは大変聞き分けが良くなったけど、その分つまらなくなったしね。
相当金を得た父親は男らしく女の放蕩をしたわ。まあ、お世辞にも美しいとは言えない所帯疲れした母親だったから。可哀そうだけど、殿方は糟糠の妻より、成功したらより美しい女を求めるしね。
わたしは、おばあちゃん子だったから、おばあちゃんから男の真理とか心情とかを教わっていた。お陰でわたしは子どものごろから耳年増になっていた。
ある日、父親の浮気が母親にばれて、母親は泣きながらわたしを殺そうとしたわ。「裏切者の子!いらない。こんな子!」
もう驚愕したわ。 いつも父親に従順な大人しい影の薄い母親が、いきなり鮮明な般若の形相をして、泣きながら怒りまくって、わたしを出刃包丁で刺そうとしたのよ。
嗚呼・・こういうのって母親は父親に煮え湯を飲まされて坊主憎けりゃ袈裟まで憎いってやつよね。
御祖父ちゃんはことわざ好きでいつも何かに使っていた。
まさか。こんな時にこの状況で思い浮かぶなんで、脳って不思議だわ。
わたしは、本能のままに逃げたわ。 しかし、怒れる母親の瞬発力は強かった。
なんと母親は激昂のままに、わたしの首に包丁を刺したわ。
でも躊躇いもあったのでしょうね。わたしの首は皮をきっただけで頸動脈や致命的なところまで届かなかった。
わたしは辛うじて死を免れた。
嗚呼。お母様。もう貴女を舐めないから。でもね。そんなにいきなり爆発するぐらいならお父様に直接立ち向かってね。知らなかったわ。お母様って。相当苛烈なのね。
でも、子どもにとっては、八つ当たりなのよ。わかっているかしら。お母様。
わたしは衝撃のあまり気絶した。
「何やってんのおお・・・!!」
悲鳴を上げながら、祖母や親戚のおばたちが駆け寄って狂乱する獣のような母親を抑えているのを薄れゆく意識で見たわ。
遠くにいるお父様。いえあの男は、蒼白になって呆然と眺めていたわ。
あのさあ。あんた。迷惑だよ。あんたのせいでわたしまで恨まれたよ。
ええと。これって。あれかしら。今の時代では親ガチャというの?親が外れだったのかしら?
わたしはなんとなくそう感じなからだらだらと血を流して倒れたわ。
意識が消失した。
わたしは気づいたら天涯孤独になっていた。
だってわたしの家族は貧しくても大家族だった。 片田舎だったけど、因習や下らぬ迷信もあったけど、そのしがらみを上手くあしらえば、住みやすい場所はない。
わたしの家は山奥で柑橘類や野菜やコメなどを作る農家だった。
祖父は頭が良く、どのように栽培して、どこに売ればうまく利益が出るか良く解っていた。
そのごろはとても羽振りが良くて、わたしもその恩恵にあやかっていた。
一時はあの◎家の娘さんだよ。とひそひそと噂が好きな主婦のおばさんたちが鳥のように話しあっていた。
わたしはそしらぬふりでしっかりと聞き耳を立てていた。
だってわたしの服は、他の子より豪華だった。その時代のお洒落な服を着て見せびらかしていた。
羨ましそうにわたしの服や豪華な弁当を見る度に、よだれを垂らす貧乏な子どもたちを見ては優越感に浸ったものだ。そのごろはよくある無知で生意気な子どもだった。相当わたしは彼らにとって嫌な奴だったろう。
でも何も知らなかったのだからしょうがない。子どもと言うのは時に残酷なものだ。
わたしは高慢なお姫様のように、漫画の真似をして高らかに笑って「ほほほ。」と演技をした。
わたしはお姫様だった。傲慢に笑って見下していた。
お腹を減らしている子どもに、恩着せがましく、犬にやるように「ほら。あげるわ。感謝することよ。」
と美味しそうなお菓子をふんそりがえって差し上げたものだった。
思えば、典型的な俗物悪役娘だったわ。わたしって・・((´∀`))
良く道を踏み外さなかったものよ。 今になって思えば・・と回想すればするほど己の下衆ぶりが鮮明に蘇る。
でもそんな子供があっていいと思うのよ。今頃の子どもは大変聞き分けが良くなったけど、その分つまらなくなったしね。
相当金を得た父親は男らしく女の放蕩をしたわ。まあ、お世辞にも美しいとは言えない所帯疲れした母親だったから。可哀そうだけど、殿方は糟糠の妻より、成功したらより美しい女を求めるしね。
わたしは、おばあちゃん子だったから、おばあちゃんから男の真理とか心情とかを教わっていた。お陰でわたしは子どものごろから耳年増になっていた。
ある日、父親の浮気が母親にばれて、母親は泣きながらわたしを殺そうとしたわ。「裏切者の子!いらない。こんな子!」
もう驚愕したわ。 いつも父親に従順な大人しい影の薄い母親が、いきなり鮮明な般若の形相をして、泣きながら怒りまくって、わたしを出刃包丁で刺そうとしたのよ。
嗚呼・・こういうのって母親は父親に煮え湯を飲まされて坊主憎けりゃ袈裟まで憎いってやつよね。
御祖父ちゃんはことわざ好きでいつも何かに使っていた。
まさか。こんな時にこの状況で思い浮かぶなんで、脳って不思議だわ。
わたしは、本能のままに逃げたわ。 しかし、怒れる母親の瞬発力は強かった。
なんと母親は激昂のままに、わたしの首に包丁を刺したわ。
でも躊躇いもあったのでしょうね。わたしの首は皮をきっただけで頸動脈や致命的なところまで届かなかった。
わたしは辛うじて死を免れた。
嗚呼。お母様。もう貴女を舐めないから。でもね。そんなにいきなり爆発するぐらいならお父様に直接立ち向かってね。知らなかったわ。お母様って。相当苛烈なのね。
でも、子どもにとっては、八つ当たりなのよ。わかっているかしら。お母様。
わたしは衝撃のあまり気絶した。
「何やってんのおお・・・!!」
悲鳴を上げながら、祖母や親戚のおばたちが駆け寄って狂乱する獣のような母親を抑えているのを薄れゆく意識で見たわ。
遠くにいるお父様。いえあの男は、蒼白になって呆然と眺めていたわ。
あのさあ。あんた。迷惑だよ。あんたのせいでわたしまで恨まれたよ。
ええと。これって。あれかしら。今の時代では親ガチャというの?親が外れだったのかしら?
わたしはなんとなくそう感じなからだらだらと血を流して倒れたわ。
意識が消失した。
わたしは気づいたら天涯孤独になっていた。
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