ゴミの金継ぎ師

栗菓子

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第38話 お姫様の憂いは晴れる

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アクタと旅を続けてから、お姫様は時折、憂いを見せるようになった。
善良で、気は小さいが真面目なアクタが、旅をする途中で、だんだん変わっていくのを見るのは辛かった。

なにもしていない人が殺されるのも見た。お姫様も、犠牲者だったが、死んだせいか嗚呼また・・と思うぐらいだったが、アクタは違った。アクタは世の中の不条理にやり切れない思いと、底知れない怒りを持っていた。


アクタが怖い神の強力な加護をもらってから、復讐の道を選んだ時、お姫様は少し悲しかった。

アクタの善良な魂が正当な行為で戦うとはいえ、どこか黒い染みがついたようで悲しかった。

アクタはそれに我関せずと、唯、義憤に満ちて、戦いの道へ身を投じた。

まずは盗賊の子ども、 二回目は藍とソラのため。 三回目はお姫様のために人を殺した。

内心、嬉しさもあったが、アクタの魂や性質に変質はありはしないかお姫様は少し不安だった。


お姫様はアクタが好きだった。裏切られて、もう人を愛すまいと思ったけど、単に人を見る目がなかったのだと思い知るには時間がかからなかった。

アクタのような善良な男と、義理人情を大事にする人々はまだまだいた。

世の中、捨てたもんじゃないですね‥。

死んでから色々分かるとは・・お姫様はアクタの旅で色々学んだ。


最後はアクタ自身のために復讐をしなければならない時が来た。

正直言って、お姫様はそんな奴らもう放置して、アクタは自由になってほしかった。

のびのびとおおらかに過ごしてほしかった。

アクタとお姫様の願いはそんな時叶った。

愚かな犯人は自滅したのだ。 こともあろうに父親が息子を殺したのだ。

呆れるほどの末路だった。

だがこれでやっとアクタ様も解放される。 こんな血に塗れた生活をしなくて済む。

お姫様は嬉しかった。長い長い曇った空に、光が差したようだった。

満面の笑みで良かったですねとお姫様はアクタに言った。

とても美しい無垢な微笑だった。 それにアクタは見惚れた。

光溢れる世界に移動したような瞬間だった。

お姫様の憂いはようやく晴れたのだ。

幼女神もうんうんとうなずいて因果応報、自業自得じゃと呟いた。

藍とソラもワンとか鳴いて、まるでそうだと言っているようだった。


彼らも苦しんだのだ。いい気味と思って要るだろう。


死んでから、このような素晴らしい時を得るとは・・神様は皮肉な運命を用意なさいますね・・

お姫様は笑った。もう彼らが居るだけで十分だった。お母様の憂いも晴れたし、お姫様は今にも昇天できそうだったが、まだアクタの旅の最後まで見届けて、成仏しようと思った。




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