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月下香の章
第4話 葬列の花
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下劣な男が最後に付き合った悪友は遥かに邪悪な男だった。
子どもや赤子に薬を飲ませて奴隷や兵士に仕立て上げる業者だった。赤子の臓物を切り開いて、薬物を無造作に入れる様を見ると、ここまで人間は落ちれるんだと、男はイカレタ頭の中で僅かな正気が囁いた。
男は、どんどん深みに入ってしまった。
女が無造作に赤子を産み落とし、商品として買取る業者を見る度に、嗚呼、畜生以下の存在だなあと男は、人間の底なしの悪を知った。
母性も人間性のかけらもない唯、金や色に憑かれた生きるだけの存在だった。
どうして神様はこんなやつら放置しているんだろう?
俺も狂っているけどよ。
男はどんどん麻痺していった。何でも慣れていった。
貴族の情人が忠告をしたが、もう男はどうでもよかった。
これが俺の末路だ。俺はとことん下へ下へと落ちる運命だったんだ。
底なしだ。凄い。反吐が出る様だ。
その時はきた。
邪悪な男たちに踏み躙られた女や子供たちや被害者は憤怒とともに、下劣な男を犬の糞を見たように何回も何回も反逆の刃を突き立てた。
男は嗚呼当然だなと思って受け入れた。
男は自分の邪悪と堕落を自覚していた。
自覚していないものが一番怖いのだ。
男は自分の邪悪に気付いていない男と女が一番怖かった。
彼は末路を受け入れた。貴族の情人の顔が最後に浮かんだ。
下劣な男はミンチ状態になり、豚や家畜の餌になった。これが醜悪だが世界の摂理だろう。
被害者とともに加害者でもある弱い下劣な男は、闇へ葬られた。
かすかに被害者の女の死体に男の肉片が混じった。
被害者の死体を集めた親や家族たちは、内密に呪力者を呼んで、復讐の花を咲かしてもらった。
その中に僅かに加害者であった男の意識もあった。
嗚呼、壮絶な苦しみを味わった女達や子供や男たちが、復讐の声を産声のように上げて居る。
ゴメンよ。俺は加害者だからお前らのようになれない。
俺は自業自得だな。何故それが分かっているのにやってしまったのか。
男は自分の弱さ愚劣さにうんざりした。
復讐の花は美しくも禍々しかった。
花はたちまち加害者たちへ報復にかかった。彼らは無惨な死を遂げた。
かすかに一片の花びらがひらひらとどこかに飛び去った。何故か白い官能的な花びらだった。
花びらは、貴族の情人へ降ってきた。
突如、現れた花びらと官能的な匂いに貴族の情人は無表情に辺りを見やった。
「お前か?」
貴族の男は、かすかに震える声で、呟いた。はなびらはにやりと笑った形をした。
あのニヤニヤ笑いだ。
はなびらは、貴族の情人の唇に触れた。甘く苦々しい味だった。
最後の官能的な味だ。
さよならだ。葬列の花だ。
下劣な男は最後の女を花びらで抱擁した。
貴族の男は一粒涙を流した。嗚呼、一番美しい涙だ。
下劣な男は満足した。意識が闇へ消えていった。
復讐の花ではなく、俺は最後まで官能的な花になってしまった。だって俺は悪人だから。
お前しか本当は興味がない奴だったから。
被害者のことなど目に入っていなかった。ごめんな。正気の男は、被害者に謝った。
貴族の情人は、下劣な男の愛を最後に知った。ともに悪の恋人だった。
貴族は偶々悪の道に進まなかっただけだ。被害者のことなど考えていなかった。
唯、初めての情人だけを考えていた。
月下香・・唯、月だけが彼らを見て居た。
完
子どもや赤子に薬を飲ませて奴隷や兵士に仕立て上げる業者だった。赤子の臓物を切り開いて、薬物を無造作に入れる様を見ると、ここまで人間は落ちれるんだと、男はイカレタ頭の中で僅かな正気が囁いた。
男は、どんどん深みに入ってしまった。
女が無造作に赤子を産み落とし、商品として買取る業者を見る度に、嗚呼、畜生以下の存在だなあと男は、人間の底なしの悪を知った。
母性も人間性のかけらもない唯、金や色に憑かれた生きるだけの存在だった。
どうして神様はこんなやつら放置しているんだろう?
俺も狂っているけどよ。
男はどんどん麻痺していった。何でも慣れていった。
貴族の情人が忠告をしたが、もう男はどうでもよかった。
これが俺の末路だ。俺はとことん下へ下へと落ちる運命だったんだ。
底なしだ。凄い。反吐が出る様だ。
その時はきた。
邪悪な男たちに踏み躙られた女や子供たちや被害者は憤怒とともに、下劣な男を犬の糞を見たように何回も何回も反逆の刃を突き立てた。
男は嗚呼当然だなと思って受け入れた。
男は自分の邪悪と堕落を自覚していた。
自覚していないものが一番怖いのだ。
男は自分の邪悪に気付いていない男と女が一番怖かった。
彼は末路を受け入れた。貴族の情人の顔が最後に浮かんだ。
下劣な男はミンチ状態になり、豚や家畜の餌になった。これが醜悪だが世界の摂理だろう。
被害者とともに加害者でもある弱い下劣な男は、闇へ葬られた。
かすかに被害者の女の死体に男の肉片が混じった。
被害者の死体を集めた親や家族たちは、内密に呪力者を呼んで、復讐の花を咲かしてもらった。
その中に僅かに加害者であった男の意識もあった。
嗚呼、壮絶な苦しみを味わった女達や子供や男たちが、復讐の声を産声のように上げて居る。
ゴメンよ。俺は加害者だからお前らのようになれない。
俺は自業自得だな。何故それが分かっているのにやってしまったのか。
男は自分の弱さ愚劣さにうんざりした。
復讐の花は美しくも禍々しかった。
花はたちまち加害者たちへ報復にかかった。彼らは無惨な死を遂げた。
かすかに一片の花びらがひらひらとどこかに飛び去った。何故か白い官能的な花びらだった。
花びらは、貴族の情人へ降ってきた。
突如、現れた花びらと官能的な匂いに貴族の情人は無表情に辺りを見やった。
「お前か?」
貴族の男は、かすかに震える声で、呟いた。はなびらはにやりと笑った形をした。
あのニヤニヤ笑いだ。
はなびらは、貴族の情人の唇に触れた。甘く苦々しい味だった。
最後の官能的な味だ。
さよならだ。葬列の花だ。
下劣な男は最後の女を花びらで抱擁した。
貴族の男は一粒涙を流した。嗚呼、一番美しい涙だ。
下劣な男は満足した。意識が闇へ消えていった。
復讐の花ではなく、俺は最後まで官能的な花になってしまった。だって俺は悪人だから。
お前しか本当は興味がない奴だったから。
被害者のことなど目に入っていなかった。ごめんな。正気の男は、被害者に謝った。
貴族の情人は、下劣な男の愛を最後に知った。ともに悪の恋人だった。
貴族は偶々悪の道に進まなかっただけだ。被害者のことなど考えていなかった。
唯、初めての情人だけを考えていた。
月下香・・唯、月だけが彼らを見て居た。
完
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