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馬酔木の章
第9話 罪の発覚
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男と娼婦たちがこっそりと遠くで見た呪力者が作った花は確かにギザギザの歯がついていた。悪魔のようだった。
あれが復讐の花か・・
しばらくしてとある貴族の館で、大量に動物のようなものに殺された遺体が発見された。
そこは、あの娼婦が言っていた頭がおかしい貴族たちの家族だった。
世間は狭いものだ。罪はますます発覚していった。なんと、自分の家族の一員、まだ幼い妹さえも強姦されて殺されていたという。まさか犯人は実の父や兄・・・?
それを思うとぞっとした。本当に家族ぐるみで隠蔽していたんだ。時々、突然、自分の家族、仲間でさえも殺害する異常者が生まれやすい家系だったそうだ。恐らく近親相姦の家系でもあったからだ。遺伝子異常者が生まれやすい。
貴族社会の負の面が露わになったようだ。
これからは、ますます近親相姦や、異常者が出やすい家系に厳しい世界になるだろう。
でなければ、被害者は報われないだろう。
弱い者が抵抗するには、呪力者や力がある者に依頼してできるだけ真実を暴いたり、復讐をすることしかできない。
シスターや、今回の件で男は色々と世界の負の面を見てきた。
まだまだ心は弱いが、もうシスターや他の娼婦たちのためにも、男は生きることにした。
強くならなければならない。少しずつ男は人生について学んでいった。
シスターにお願いした。シスターは闇の世界の住人を知っているね。俺に強くなるように斡旋してくれないかと頼んだ。
シスターは幼子が危険な道を歩もうとしていることに気づいた母親のような顔をした。でもぐっとこらえて、
「そんなに強くなりたいの?覚悟はできているの?」と男に尋ねた。
「うん。今回の件で分かった。俺は強くならなきゃいけない。」
「強くなったら、教会へ戻って来る。シスターの役に立つように頑張る。」
「まあ・・」
シスターはそう言って絶句した。
本当に良いのかとシスターは何回も言って、男を闇の住人に引き渡した。
その住人は、後継者が欲しいと男を連れて行った。
男は地獄を味わった。しかし心が耐えられたのは、自分で志願したから故と、強くなるためだった。
壮絶な修行と体験をして数年後、男は教会へ戻ってきた。
仕事があったらいつでもくるようにと誓約を書かされた。
法では裁けぬ悪人を代理で殺す仕置き人だ。人殺しに酔いしれてはいけない。正義に酔いしれてはいけない。
何事も溺れてはいけない。
これが男の新しい戒めになった。
男はシスターを助け、娼婦たちと弱者を守る会を開き、食事や衣服を準備し工面する反面、夜では、悪人を殺していた。
これが男の新しい日常になりつつあった。
多分、これがシスターと呪力者に会ったのがきっかけで、俺の運命になったんだ。
シスターも闇の住人だったのだ。今はもう抜けているが、時折昔の影がある。
男には、もう闇の匂いがする人間がわかるようになった。
あれが復讐の花か・・
しばらくしてとある貴族の館で、大量に動物のようなものに殺された遺体が発見された。
そこは、あの娼婦が言っていた頭がおかしい貴族たちの家族だった。
世間は狭いものだ。罪はますます発覚していった。なんと、自分の家族の一員、まだ幼い妹さえも強姦されて殺されていたという。まさか犯人は実の父や兄・・・?
それを思うとぞっとした。本当に家族ぐるみで隠蔽していたんだ。時々、突然、自分の家族、仲間でさえも殺害する異常者が生まれやすい家系だったそうだ。恐らく近親相姦の家系でもあったからだ。遺伝子異常者が生まれやすい。
貴族社会の負の面が露わになったようだ。
これからは、ますます近親相姦や、異常者が出やすい家系に厳しい世界になるだろう。
でなければ、被害者は報われないだろう。
弱い者が抵抗するには、呪力者や力がある者に依頼してできるだけ真実を暴いたり、復讐をすることしかできない。
シスターや、今回の件で男は色々と世界の負の面を見てきた。
まだまだ心は弱いが、もうシスターや他の娼婦たちのためにも、男は生きることにした。
強くならなければならない。少しずつ男は人生について学んでいった。
シスターにお願いした。シスターは闇の世界の住人を知っているね。俺に強くなるように斡旋してくれないかと頼んだ。
シスターは幼子が危険な道を歩もうとしていることに気づいた母親のような顔をした。でもぐっとこらえて、
「そんなに強くなりたいの?覚悟はできているの?」と男に尋ねた。
「うん。今回の件で分かった。俺は強くならなきゃいけない。」
「強くなったら、教会へ戻って来る。シスターの役に立つように頑張る。」
「まあ・・」
シスターはそう言って絶句した。
本当に良いのかとシスターは何回も言って、男を闇の住人に引き渡した。
その住人は、後継者が欲しいと男を連れて行った。
男は地獄を味わった。しかし心が耐えられたのは、自分で志願したから故と、強くなるためだった。
壮絶な修行と体験をして数年後、男は教会へ戻ってきた。
仕事があったらいつでもくるようにと誓約を書かされた。
法では裁けぬ悪人を代理で殺す仕置き人だ。人殺しに酔いしれてはいけない。正義に酔いしれてはいけない。
何事も溺れてはいけない。
これが男の新しい戒めになった。
男はシスターを助け、娼婦たちと弱者を守る会を開き、食事や衣服を準備し工面する反面、夜では、悪人を殺していた。
これが男の新しい日常になりつつあった。
多分、これがシスターと呪力者に会ったのがきっかけで、俺の運命になったんだ。
シスターも闇の住人だったのだ。今はもう抜けているが、時折昔の影がある。
男には、もう闇の匂いがする人間がわかるようになった。
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