糟糠の妻

栗菓子

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第6章 踊る者達

第2話 悪意の華

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どんなに残酷な世界でもある一定の掟があった。それは、貪欲な生存本能の暴走を防ぐためであり、あまりにも過剰な本能は、身を滅ぼす危険がある。

どんなに奇妙な掟であっても、その時点で世界に必要だったのだろう。

汚濁と泥に満ちた世界の下層で、彼女らは親に売られ、搾取される生を歩んだ。反逆しようにも、頭が壊れており、
彼らははじめから終わっていた生を歩んでいた。

大抵が、幼少の頃から、売春や臓器売買、被検体として地獄を味わって、闇へ消えていく子供・・。

その頂点に立つ絶対な力を持つ者はある日、何を考えたか、この地獄の坩堝に一定のシステムを作った。

一定の罪と業を重ねた者たちを自動的に処刑するシステムだ。

機械的に処刑する純白の服を着た顔のない人形を、地獄で育った罪人はこう呼んだ。

〖無貌の天使〗と畏怖された。

1 近親殺人・強姦・虐待

2 臓器売買、移植、大麻、武器、悪徳に関連する営みをした。

3 共食い 人体改造

4 世界に反する行為


天使は、罪人の罪業が視えるらしい。質と量もまざまざと確認でき、ある日、突然舞い降り、罪人が抵抗する間もなく消失した瞬間を見た周囲の者達は騒然と戦慄した。


なかにはこのシステムを忌々しく思い、自由な地獄を取り戻そうと、システムそのものを破壊しようと足掻く権力者は当然いたが、巨大な力には叶わず、ほとんどが消失した。

善良なだが無能な人と、優しい人、とるに足らない人はかすかにこのシステムに感謝している者もいた。

こっそりと彼らは感謝と祈りをした。

「「「ありがとうごさいます。ざまあみろ。いいきみだ。」」」

唱和するよように幾重にも重なる呪文。

下卑た醜悪なだが偽りなく生の本音。それを糧に天使は罪人を屠り続ける。


このいかれただが、秩序はある世界に、少女少年たちはそれぞれ思った。

「だれが創った。あのシステムは? 天使はどこから来た?」
「システムか・・厄介ね」
「厭だなあ。こんな世界・・」

自由に見えて、超監視社会でもあるこの世界に彼らは嫌悪し、興味を抱き、探求した。

この世界の謎に彼らはどうしても真相を知りたがった。

勿論、どうしようもない悪意を持ったバケモノや、怪物が生まれる土壌を持った世界でもある。

その犠牲になる者達が僅かでも減るのは嬉しいが・・彼らはまるで生を受けた時から広大な鳥かごに入った鳥たちだった。


ある日、消失するのだ。その存在さえも消え果てる。
それを恐怖する者達もやはりいた。

怨みを持って、世界の真相を調査する蛮人たちは後を絶たなかった。


そんなある日、バグが生じた。一定の量と罪を超えた者は処刑やどちらにせよ死しかないはずなのに何故か生き延びたイレギュラー。それはどす黒く醜悪な異質な力を纏い、悪意の華を咲かせた。

世界をむしばむ癌のように、増殖し、拡大する。

〖無貌の天使〗は自動的に処分しようとしたが、できなかった。何度も消失を試みたが、既に他の化身は葬られている。

相手も消失の力を持っている。 この異常特異体は、天使の力を喰らって吸収したのだ。

このままでは、世界は完全に浸食し、汚染される。 

天使たちの戦いは終わることはなかった。

この異常特異体が勝ったら、この世界は悪意の華に満ちるだろう・・。

天使はかすかにその未来を垣間見た。

心持たぬ生命体が僅かに戦慄した時であった。












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