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第4章 戦乱の民
第9話 花嫁の子等の戦い
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運命の波が幾重にも押し寄せる。 すべての人間や生けるものに対して運命は容赦なく牙を向ける時が来る。
弱い民は、大樹から千切れたように、寄る辺なく漂う一片の葉のように漂うばかりである。
その中で、人生の舵を操れる達人は極僅かだった。
ミキの父は、立派な船長の操縦の資格もあり、何か国語も喋れ、気さくで上手くその国に同化する才能があった。
父は、いくつもの国家に別荘を作り、戦が来たら疎開のために、各々、忠実な管理者を選んだ。
父は底知れない才能があった。父の名は、シーランといい、東洋風の名前だが、西洋の顔立ちもしていた。
本名かどうかは分からないが、シーランは、いくつもの隠し財産を持っており、流浪の民の経験故、一か所に留まっても、何かに巻き込まれるだろうと実感し、シーランは家制度を大切にしていた。
シーランは、母であるラキナを大事にしていた。ラキナは口が喋れないがとても聡明であった。
シーランとラキナの出会いはどこでかはわからないが、母と父はいつも共におり、戦友のようでもあった。
ラキナは、腕が立つ暗殺者だった。
ミキの幼少の頃、盗賊が家に侵入した。ミキはいつもは大人しい母ラキナが悪鬼のように豹変して、奇妙な半月のような武器を持って、敵を獣のように屠っていく様は、壮絶なまでに恐ろしく美しかった。
ラキナは口で手でミキに伝えた。
「弱い者は強くならなければ・・。」
ミキはその瞬間、ラキナの人生を垣間見た。その後、ミキはラキナから、暗殺の術や、筋肉を鍛える事や、生きるための術を厳しく教え込まれた。
そして、合間に勉強も厳しく幼少の頃から仕込まれた。教養もいつ必要になるかもしれないから幾つもの国の言語や文化や、教養、行儀指導などを十年間以上学ばされた。
やはり、シーランは貴族の出だったのかもしれない。母ラキナは貴族を守る暗殺隊だったのかもしれないとミキは予測をつけていた。
夫婦関係は主従関係であった。ラキナはいつもシーランを主人の様に敬い、慕っていた。シーランもラキナを寵愛していた。
紛れもなくシーランとラキナは愛はあったが、主従関係でもあった。
ミキは、私以外にも子どもはいないのだろうか?と疑問に思った。 貴族は胤を残すためなるべく多くの女と戦略的にも種をばらまく。
それとなく、父シーランに遠回しに尋ねた事があるが・・、シーランは奇妙な笑みを浮かべて「お前は運が良かったんだよ。私がラキナを愛していたから、そしてラキナも私を選んだからお前が生まれたんだ・・。」
とミキを愛おしそうに微笑んだ。
ミキは両親が相思相愛なら良かったと思ったが・・、ふと気づいた。そうじゃない相手もいたということもある。
その相手と生まれた子どもは・・?
少しぞっと背中に戦慄が走った。
ミキは恐る恐る美しい父を見上げた。 それはミキの恐ろしい予想を裏づける表情だった。
それ以来、ミキはいたかもしれない兄妹などを考えるのを止めた。
シーランは潔癖だったのだ。お互いに思いあった同士の子でないと認めないという処女じみた潔癖性があった。
そして、夫に対する裏切りも許さなかった。
ラキナも同様に裏切りだけは許さなかった。
嗚呼・・・この夫婦はやはり、貴族や支配層の側だったのだとミキは悟った。
あまりにも、一般人とは異なる価値観と、支配する思考を持っていたからだ。
ミキは肌で血でそれを感じた。わたしは家のために結婚するのかもしれない。だが父の事だ。気に入らないと密かに処分するかもしれない。
ミキは、適齢期になるまで、理想的な伴侶を見つけなければならなかった。
家に大きな貢献をする優秀な男で、なおかつミキと相思相愛になれる伴侶・・裏切らない伴侶を見つけるのは相当難しい。
両親は本当に運が強く、稀な夫婦関係を持っている事に気づかないのだろうか・・?とミキは思わずにはいられなかった。
ミキの人生の戦いは幼少のごろから続き、ささやかな幸福は、友人のアエナや、ターシャと出会った事だった。
アエナとターシャの両親と、ミキの両親は同盟を誓った仲間だったようだ。
その友人関係は固く結びつきあい、アエナもターシャも家族のようにミキと接した。
彼女らも親の期待に沿えるように、切磋琢磨して、生きるために、器量や、能力を磨き上げている。
美しく華やかな少女たち・・。ミキはいつまでもこの華たちと戯れて居たかった。
しかし、運命はそう甘くない。
ミキは母ラキナの暗殺を手伝うようにもなり、昏い道も歩んだ。
アエナとターシャはまだ血には塗れていない。 それをミキは羨望していたが、安堵しても居た。
海岸の屋台で美味しいお茶とお菓子、昼食を友人たちととる時が、ミキにとって幼少の時の幸福だった。
あの瞬間があったからミキは耐えられたのだ。
弱い民は、大樹から千切れたように、寄る辺なく漂う一片の葉のように漂うばかりである。
その中で、人生の舵を操れる達人は極僅かだった。
ミキの父は、立派な船長の操縦の資格もあり、何か国語も喋れ、気さくで上手くその国に同化する才能があった。
父は、いくつもの国家に別荘を作り、戦が来たら疎開のために、各々、忠実な管理者を選んだ。
父は底知れない才能があった。父の名は、シーランといい、東洋風の名前だが、西洋の顔立ちもしていた。
本名かどうかは分からないが、シーランは、いくつもの隠し財産を持っており、流浪の民の経験故、一か所に留まっても、何かに巻き込まれるだろうと実感し、シーランは家制度を大切にしていた。
シーランは、母であるラキナを大事にしていた。ラキナは口が喋れないがとても聡明であった。
シーランとラキナの出会いはどこでかはわからないが、母と父はいつも共におり、戦友のようでもあった。
ラキナは、腕が立つ暗殺者だった。
ミキの幼少の頃、盗賊が家に侵入した。ミキはいつもは大人しい母ラキナが悪鬼のように豹変して、奇妙な半月のような武器を持って、敵を獣のように屠っていく様は、壮絶なまでに恐ろしく美しかった。
ラキナは口で手でミキに伝えた。
「弱い者は強くならなければ・・。」
ミキはその瞬間、ラキナの人生を垣間見た。その後、ミキはラキナから、暗殺の術や、筋肉を鍛える事や、生きるための術を厳しく教え込まれた。
そして、合間に勉強も厳しく幼少の頃から仕込まれた。教養もいつ必要になるかもしれないから幾つもの国の言語や文化や、教養、行儀指導などを十年間以上学ばされた。
やはり、シーランは貴族の出だったのかもしれない。母ラキナは貴族を守る暗殺隊だったのかもしれないとミキは予測をつけていた。
夫婦関係は主従関係であった。ラキナはいつもシーランを主人の様に敬い、慕っていた。シーランもラキナを寵愛していた。
紛れもなくシーランとラキナは愛はあったが、主従関係でもあった。
ミキは、私以外にも子どもはいないのだろうか?と疑問に思った。 貴族は胤を残すためなるべく多くの女と戦略的にも種をばらまく。
それとなく、父シーランに遠回しに尋ねた事があるが・・、シーランは奇妙な笑みを浮かべて「お前は運が良かったんだよ。私がラキナを愛していたから、そしてラキナも私を選んだからお前が生まれたんだ・・。」
とミキを愛おしそうに微笑んだ。
ミキは両親が相思相愛なら良かったと思ったが・・、ふと気づいた。そうじゃない相手もいたということもある。
その相手と生まれた子どもは・・?
少しぞっと背中に戦慄が走った。
ミキは恐る恐る美しい父を見上げた。 それはミキの恐ろしい予想を裏づける表情だった。
それ以来、ミキはいたかもしれない兄妹などを考えるのを止めた。
シーランは潔癖だったのだ。お互いに思いあった同士の子でないと認めないという処女じみた潔癖性があった。
そして、夫に対する裏切りも許さなかった。
ラキナも同様に裏切りだけは許さなかった。
嗚呼・・・この夫婦はやはり、貴族や支配層の側だったのだとミキは悟った。
あまりにも、一般人とは異なる価値観と、支配する思考を持っていたからだ。
ミキは肌で血でそれを感じた。わたしは家のために結婚するのかもしれない。だが父の事だ。気に入らないと密かに処分するかもしれない。
ミキは、適齢期になるまで、理想的な伴侶を見つけなければならなかった。
家に大きな貢献をする優秀な男で、なおかつミキと相思相愛になれる伴侶・・裏切らない伴侶を見つけるのは相当難しい。
両親は本当に運が強く、稀な夫婦関係を持っている事に気づかないのだろうか・・?とミキは思わずにはいられなかった。
ミキの人生の戦いは幼少のごろから続き、ささやかな幸福は、友人のアエナや、ターシャと出会った事だった。
アエナとターシャの両親と、ミキの両親は同盟を誓った仲間だったようだ。
その友人関係は固く結びつきあい、アエナもターシャも家族のようにミキと接した。
彼女らも親の期待に沿えるように、切磋琢磨して、生きるために、器量や、能力を磨き上げている。
美しく華やかな少女たち・・。ミキはいつまでもこの華たちと戯れて居たかった。
しかし、運命はそう甘くない。
ミキは母ラキナの暗殺を手伝うようにもなり、昏い道も歩んだ。
アエナとターシャはまだ血には塗れていない。 それをミキは羨望していたが、安堵しても居た。
海岸の屋台で美味しいお茶とお菓子、昼食を友人たちととる時が、ミキにとって幼少の時の幸福だった。
あの瞬間があったからミキは耐えられたのだ。
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