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第3章 新たな糟糠の妻
第10話 シャイア姫
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シャイア姫は、絶世の美貌と肢体を持ち、権力と地位、溢れるほどの才能を持ち、ルオー一家の淑女として恥じぬ教養をもった女性だった。大輪の花が咲いているような神々しいほどの美貌だけでも狂信者は多かった。
彼女を慕う者は多かったが、シャイア姫は凍てついた花のようにどこまでも冷徹で傲慢で我儘だった。
戯れに、既婚者を破滅させたり、心を弄ぶのはお手の物だった。
シャイア姫にとって他人はほとんど道具や玩具にしか見えなかった。
それも支配者の資質であると父は言った。ゆえにシャイア姫は自由だった。父の望み通り、父の娘として、シャイア姫はルオー一家を全盛期のように栄えさせようとした。
しかし力が強いシャイア姫と他の一族は衰退していた。自閉症みたいに心を閉ざし、外界に興味を持たない生ける屍のようだった。 血を濃くして、力を保持しようとするために近親相姦を推奨していたが、それが仇になったようだ。ごくまれに突然変異のように、大天才や偉人が生まれることもあるが、ほとんどが奇形や出来損ないだった。
恐らくシャイア姫はルオー一家の最後の仇花だろう。
それでもシャイア姫は斜陽の一家を支えようとした。父のためにも己の誇りのために新規の儲けのルートを開拓しようとした。
しかし何故かあと一歩と言う時に上手くいかない。
シャイア姫は才能が有りとても聡明で恵まれているのに、何かに阻まれているみたいに大事な時に上手くいかないのだ。
それは彼女の高い自尊心を深く傷つけた。思う通りにならない。その苛立ちは時折癇癪を犯した子どものようにヒステリックな発作として起きた。
シャイア姫は己を憎んだ。せっかくこれほどの才能を持ちながら行使できないとは宝の持ち腐れではないか・・
シャイア姫は己の不遇を哀れんだ。シャイア姫にとって一番可哀相な姫は自分だった。
そう嘆いていると、父が見たことが無い顔をして、「お前に求婚する男が居る。クレアスと言う男だ。」
無情な宣告をした。
その時、シャイア姫は仇花として、父に見限られたことを悟った。
父の寵愛は既に薄れ、クレアスと言う男と共に得られる権益と、婚姻による同盟だ。
シャイア姫は政略結婚の駒として利用されるのだ。
それは激しい恥辱をシャイア姫にもたらした。なまじ才能があるために、シャイア姫は見も知らぬ男の所有物になるとは耐えられなかった。
シャイア姫はそれとなく己を狂信的にしたう駒たちを誘導して、クレアスと言う男の暗殺を企てた。
しかしクレアスと言う男は余程悪運が強いらしい。クレアスは何度も窮地を脱した。
まるで何かに守られているように・・。それがシャイア姫の苛立ちを増した。
その内、父にシャイア姫の思惑が発覚して、その時だけ父は激昂した。
シャイア姫の花のような美貌を殴ったのだ。
シャイア姫は衝撃の余りしばらく口を聞けなかった。
「利用価値が高いから丁重に扱ったが・・、お前より利用価値の高いものが現れたのだ。無駄に美しく才能に溢れていても存分に振るうことができないなら無価値ではないか・・。姫など本来政略結婚の駒として使われるのだ。
本来の用途に戻っただけだ・・。お前には興ざめだ。早く嫁に行け。」
どこまでも冷酷な父の命令だった。
シャイア姫は、父に裏切られ、失意の思いでクレアスと望まぬ婚姻をした。
その婚姻で花嫁衣裳を着たシャイア姫は皮肉にも一番美しく華やかだった。
人形のような顔の裏には、失意と怒り、恥辱ありとあらゆる負の感情で渦巻いていた。
彼女を慕う者は多かったが、シャイア姫は凍てついた花のようにどこまでも冷徹で傲慢で我儘だった。
戯れに、既婚者を破滅させたり、心を弄ぶのはお手の物だった。
シャイア姫にとって他人はほとんど道具や玩具にしか見えなかった。
それも支配者の資質であると父は言った。ゆえにシャイア姫は自由だった。父の望み通り、父の娘として、シャイア姫はルオー一家を全盛期のように栄えさせようとした。
しかし力が強いシャイア姫と他の一族は衰退していた。自閉症みたいに心を閉ざし、外界に興味を持たない生ける屍のようだった。 血を濃くして、力を保持しようとするために近親相姦を推奨していたが、それが仇になったようだ。ごくまれに突然変異のように、大天才や偉人が生まれることもあるが、ほとんどが奇形や出来損ないだった。
恐らくシャイア姫はルオー一家の最後の仇花だろう。
それでもシャイア姫は斜陽の一家を支えようとした。父のためにも己の誇りのために新規の儲けのルートを開拓しようとした。
しかし何故かあと一歩と言う時に上手くいかない。
シャイア姫は才能が有りとても聡明で恵まれているのに、何かに阻まれているみたいに大事な時に上手くいかないのだ。
それは彼女の高い自尊心を深く傷つけた。思う通りにならない。その苛立ちは時折癇癪を犯した子どものようにヒステリックな発作として起きた。
シャイア姫は己を憎んだ。せっかくこれほどの才能を持ちながら行使できないとは宝の持ち腐れではないか・・
シャイア姫は己の不遇を哀れんだ。シャイア姫にとって一番可哀相な姫は自分だった。
そう嘆いていると、父が見たことが無い顔をして、「お前に求婚する男が居る。クレアスと言う男だ。」
無情な宣告をした。
その時、シャイア姫は仇花として、父に見限られたことを悟った。
父の寵愛は既に薄れ、クレアスと言う男と共に得られる権益と、婚姻による同盟だ。
シャイア姫は政略結婚の駒として利用されるのだ。
それは激しい恥辱をシャイア姫にもたらした。なまじ才能があるために、シャイア姫は見も知らぬ男の所有物になるとは耐えられなかった。
シャイア姫はそれとなく己を狂信的にしたう駒たちを誘導して、クレアスと言う男の暗殺を企てた。
しかしクレアスと言う男は余程悪運が強いらしい。クレアスは何度も窮地を脱した。
まるで何かに守られているように・・。それがシャイア姫の苛立ちを増した。
その内、父にシャイア姫の思惑が発覚して、その時だけ父は激昂した。
シャイア姫の花のような美貌を殴ったのだ。
シャイア姫は衝撃の余りしばらく口を聞けなかった。
「利用価値が高いから丁重に扱ったが・・、お前より利用価値の高いものが現れたのだ。無駄に美しく才能に溢れていても存分に振るうことができないなら無価値ではないか・・。姫など本来政略結婚の駒として使われるのだ。
本来の用途に戻っただけだ・・。お前には興ざめだ。早く嫁に行け。」
どこまでも冷酷な父の命令だった。
シャイア姫は、父に裏切られ、失意の思いでクレアスと望まぬ婚姻をした。
その婚姻で花嫁衣裳を着たシャイア姫は皮肉にも一番美しく華やかだった。
人形のような顔の裏には、失意と怒り、恥辱ありとあらゆる負の感情で渦巻いていた。
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