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第3章 新たな糟糠の妻
第9話 漆黒の結婚
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クレアスは、メリスという魂の相棒を得たことで、裏社会を本気で全て掌握しようと決心した。
それには、政略結婚という取引が必要だ。 裏社会でクレアスの派閥と同様に勢力を誇っている組織は他にもある。
普通の女では駄目だ。 クレアスがもっと高みに昇りつめるには、運の強い女神の様な女でなくてはいけない。
クレアスは慎重に花嫁候補を探し続けた。
最も残虐で獰猛な血を引く厄介だが、強力な権力をもつルオー一家。彼らは特殊能力を持ち、その権力を築いたと言われる。
その中で長の愛娘として寵愛されているシャイアは光り輝く金の腰まで届く美しい髪を持ち、絶世の美貌を持っている。しかも聡明で先見の目があり、まさに女王に相応しい品位を生まれながらにもっている輝く女で有名だった。
高嶺の花だ。 クレアスは成程確かに成功者だ。しかし、いまはまだ裏社会では若造で、ルオー一家は古い家柄で裏社会の底の底まで根を這っている。
底知れない血を持つ一家だ。
その血をもつ我が子が欲しい。その子によってクレアスの勢力も繁栄するかもしれない。
愛は全くない。しかし利益と、権力、血の問題を考えると、最高の高嶺の花はルオー一家のシャイア姫だった。
それにクレアスは知っている。その権力にも影が差していると。古い古い血が衰えているらしい。能力を失ったらそれに依存しきったものほど破滅する。
クレアスは最終的には、何があろうとも生き延びようとする強靭な精神と弛まぬ鍛錬と教養や努力を続ける者が勝利するだろうと考えている。
しかしれでもクレアスは得体のしれない血と言う力に惹かれた。これはクレアスの直感かもしれないがどうしても欲しかったのだ。その血を引く子どもが欲しい。
クレアスの何かが突き動かしているのだ。そういう時身を委ねると、必ず成功した。
クレアスもまた何かの能力を持って、それに無意識に従っているだけの器なのかもしれない。しかし既にクレアスは己を受け入れて、欲のままに高嶺の花を掌中におさめようとした。
勿論はじめは穏便に取引しようしたが、向こうが過剰反応を起こして、クレアスのみならず一家を根絶やしにしようとした。
勿論これもクレアスの想定すみだ。
クレアス一家は防衛設備を既に整えて、損害は僅かに収めた。 この結果は、ルオー一家にも意外な事だったろう。
クレアスにもある能力があることが判明したはずだ。
裏社会の思考はシンプルだ。弱肉強食。力の強弱と、金。それは非情だが分かりやすい。
そして運もまた加算される。
シャイア姫との結婚を要求した者達は花に群がる蟲の如くいた。だが、無礼なとルオー一家に焼き滅ぼされた者も数多といた。
まるでルオー一家のシャイア姫は一際輝く花であり、近づく蟲を焼き滅ぼす不可侵の花でもあった。
クレアス一家だけが生き残ったのだ。これには流石のルオー一家も驚愕しただろう。
それだけの能力のある一家だということだ。クレアス一家は非情に強運な一家だった。
神に選ばれし一家のように必ずと言っていいほど、成功するのだ。
古い古い血に依存する権力だけは保持している旧家と、強運で神に寵愛されし新しい一家・・。
この対照的な家族は、裏社会の実力者たちを愉しませた。
数年後、幾度の戦乱の後、ルオー一家は長の老いと弱体化も相まって、シャイア姫をクレアス一家に下賜することによって、一時の権力を少しでも伸ばそうとした。
数百年間 裏社会を支配していた一角のルオー一家が敗れた瞬間であった。
ルオー一家の反応は冷たい怨嗟と拒絶に塗れていたが、クレアスはそれを愉快と思った。
美しい花には猛毒と棘がある。
クレアスはシャイア姫から暗殺されるかもしれないなと予測しながらも鷹揚と応じた。
冷たい凍てついた瞳をした絶世の美姫が、このうえもない美しい衣装を纏い現れた時も、クレアスは動じなかった。
唯、彼女の子宮が望みだった。愛は無かった。欲望のみだった。ルオー一家の濃厚な血を引いた女としか見えなかった。
権力と欲望と怨嗟に満ちた漆黒の婚姻が始まった。
クレアスは酔いしれない。いつもどこかで冷徹な意識をもって、世界を見ている。
これはクレアスの人生の一部に過ぎない。通過点にすぎないのだ。
シャイア姫は勝利の証かもしれないが・・本心をいうと子どもしか興味が無かった。
それには、政略結婚という取引が必要だ。 裏社会でクレアスの派閥と同様に勢力を誇っている組織は他にもある。
普通の女では駄目だ。 クレアスがもっと高みに昇りつめるには、運の強い女神の様な女でなくてはいけない。
クレアスは慎重に花嫁候補を探し続けた。
最も残虐で獰猛な血を引く厄介だが、強力な権力をもつルオー一家。彼らは特殊能力を持ち、その権力を築いたと言われる。
その中で長の愛娘として寵愛されているシャイアは光り輝く金の腰まで届く美しい髪を持ち、絶世の美貌を持っている。しかも聡明で先見の目があり、まさに女王に相応しい品位を生まれながらにもっている輝く女で有名だった。
高嶺の花だ。 クレアスは成程確かに成功者だ。しかし、いまはまだ裏社会では若造で、ルオー一家は古い家柄で裏社会の底の底まで根を這っている。
底知れない血を持つ一家だ。
その血をもつ我が子が欲しい。その子によってクレアスの勢力も繁栄するかもしれない。
愛は全くない。しかし利益と、権力、血の問題を考えると、最高の高嶺の花はルオー一家のシャイア姫だった。
それにクレアスは知っている。その権力にも影が差していると。古い古い血が衰えているらしい。能力を失ったらそれに依存しきったものほど破滅する。
クレアスは最終的には、何があろうとも生き延びようとする強靭な精神と弛まぬ鍛錬と教養や努力を続ける者が勝利するだろうと考えている。
しかしれでもクレアスは得体のしれない血と言う力に惹かれた。これはクレアスの直感かもしれないがどうしても欲しかったのだ。その血を引く子どもが欲しい。
クレアスの何かが突き動かしているのだ。そういう時身を委ねると、必ず成功した。
クレアスもまた何かの能力を持って、それに無意識に従っているだけの器なのかもしれない。しかし既にクレアスは己を受け入れて、欲のままに高嶺の花を掌中におさめようとした。
勿論はじめは穏便に取引しようしたが、向こうが過剰反応を起こして、クレアスのみならず一家を根絶やしにしようとした。
勿論これもクレアスの想定すみだ。
クレアス一家は防衛設備を既に整えて、損害は僅かに収めた。 この結果は、ルオー一家にも意外な事だったろう。
クレアスにもある能力があることが判明したはずだ。
裏社会の思考はシンプルだ。弱肉強食。力の強弱と、金。それは非情だが分かりやすい。
そして運もまた加算される。
シャイア姫との結婚を要求した者達は花に群がる蟲の如くいた。だが、無礼なとルオー一家に焼き滅ぼされた者も数多といた。
まるでルオー一家のシャイア姫は一際輝く花であり、近づく蟲を焼き滅ぼす不可侵の花でもあった。
クレアス一家だけが生き残ったのだ。これには流石のルオー一家も驚愕しただろう。
それだけの能力のある一家だということだ。クレアス一家は非情に強運な一家だった。
神に選ばれし一家のように必ずと言っていいほど、成功するのだ。
古い古い血に依存する権力だけは保持している旧家と、強運で神に寵愛されし新しい一家・・。
この対照的な家族は、裏社会の実力者たちを愉しませた。
数年後、幾度の戦乱の後、ルオー一家は長の老いと弱体化も相まって、シャイア姫をクレアス一家に下賜することによって、一時の権力を少しでも伸ばそうとした。
数百年間 裏社会を支配していた一角のルオー一家が敗れた瞬間であった。
ルオー一家の反応は冷たい怨嗟と拒絶に塗れていたが、クレアスはそれを愉快と思った。
美しい花には猛毒と棘がある。
クレアスはシャイア姫から暗殺されるかもしれないなと予測しながらも鷹揚と応じた。
冷たい凍てついた瞳をした絶世の美姫が、このうえもない美しい衣装を纏い現れた時も、クレアスは動じなかった。
唯、彼女の子宮が望みだった。愛は無かった。欲望のみだった。ルオー一家の濃厚な血を引いた女としか見えなかった。
権力と欲望と怨嗟に満ちた漆黒の婚姻が始まった。
クレアスは酔いしれない。いつもどこかで冷徹な意識をもって、世界を見ている。
これはクレアスの人生の一部に過ぎない。通過点にすぎないのだ。
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