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第3章 新たな糟糠の妻
第5話 姉弟 弟サイド
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姉弟はよくある貧乏人の子として生まれ、当然のように親に搾取される子どもたちだった。
神様を全く信じていない弟だったが、唯一幸運と呼べるものは、大好きな血を分けた唯一の者と呼べる姉と離れ離れにならずに、奴隷になったことだ。
姉は弟を普通以上に愛し、信頼していた。 弟もそれを感知し、姉を慕っていた。
姉には予知能力があった。 でもこれは姉弟だけの二人の秘密・・。姉はその能力を使って、姉と弟のための運を良くした。その代わり、何故か姉と弟の近しいものが早世したり事故で無惨な死を遂げたりしたが、弟はあえて見ないふりをしていた・・。
だってこれは生存競争だ。弱いから死ぬ。姉は偶々その能力を使って自分と大事な弟を生存させようとしたに過ぎない。だから他人が原因不明の死を遂げようと弟には興味が無かった。
自分の世界には姉だけでいい。その他は小石と変わらない。その中で目障りなのは、主人クレアスだ。
クレアスは、下卑た男ではなかった。 姉や弟の美しい身体を求めなかった。唯の奴隷として働かせた。
クレアスは、決して類まれな容姿をもってはいないが、一種の魅力があった。
クレアスは、冷酷ではあったが、奴隷を束ねたり、従える術は卓越していた。
その手腕には、冷酷だがどこまでも利益と先見性をもった見事な設計図を見るようで、思わず見惚れた事もあった。
無知な弟にも彼が強者の持てる者であることは分かっていた。
そんな男が自分たちの主人であることが、時折弟にとっては虫が頭に纏わりつくように苛立つ音を奏でる。
絶対的に遮断して、無視できたらどんなに楽であることか・・。
しかし、弟は、男ゆえに、クレアスと言う男が強者であり、魅力的な男であることは分かっていた。
そんな男に、自分たちの生与与奪を委ねていると時折、狂人のように喚き散らしたくなる。
嗚呼・・これが嫉妬か・・。自分は己の立場に絶望しているのだろうか?嫌・・何もない自分。姉に縋り付いていきのびているだけの少年という自分に腹が立っているのだ。
弟は、早く成長して、クレアスより魅力的な男になりたかった。強くなりたかった。
それが自尊心ある弟の切実な思いだった。姉を愛しているが、クレアスは仮想の敵であり、乗り越えるべき男であった。
弟の世界には姉とクレアスが中心になっていた。
神様を全く信じていない弟だったが、唯一幸運と呼べるものは、大好きな血を分けた唯一の者と呼べる姉と離れ離れにならずに、奴隷になったことだ。
姉は弟を普通以上に愛し、信頼していた。 弟もそれを感知し、姉を慕っていた。
姉には予知能力があった。 でもこれは姉弟だけの二人の秘密・・。姉はその能力を使って、姉と弟のための運を良くした。その代わり、何故か姉と弟の近しいものが早世したり事故で無惨な死を遂げたりしたが、弟はあえて見ないふりをしていた・・。
だってこれは生存競争だ。弱いから死ぬ。姉は偶々その能力を使って自分と大事な弟を生存させようとしたに過ぎない。だから他人が原因不明の死を遂げようと弟には興味が無かった。
自分の世界には姉だけでいい。その他は小石と変わらない。その中で目障りなのは、主人クレアスだ。
クレアスは、下卑た男ではなかった。 姉や弟の美しい身体を求めなかった。唯の奴隷として働かせた。
クレアスは、決して類まれな容姿をもってはいないが、一種の魅力があった。
クレアスは、冷酷ではあったが、奴隷を束ねたり、従える術は卓越していた。
その手腕には、冷酷だがどこまでも利益と先見性をもった見事な設計図を見るようで、思わず見惚れた事もあった。
無知な弟にも彼が強者の持てる者であることは分かっていた。
そんな男が自分たちの主人であることが、時折弟にとっては虫が頭に纏わりつくように苛立つ音を奏でる。
絶対的に遮断して、無視できたらどんなに楽であることか・・。
しかし、弟は、男ゆえに、クレアスと言う男が強者であり、魅力的な男であることは分かっていた。
そんな男に、自分たちの生与与奪を委ねていると時折、狂人のように喚き散らしたくなる。
嗚呼・・これが嫉妬か・・。自分は己の立場に絶望しているのだろうか?嫌・・何もない自分。姉に縋り付いていきのびているだけの少年という自分に腹が立っているのだ。
弟は、早く成長して、クレアスより魅力的な男になりたかった。強くなりたかった。
それが自尊心ある弟の切実な思いだった。姉を愛しているが、クレアスは仮想の敵であり、乗り越えるべき男であった。
弟の世界には姉とクレアスが中心になっていた。
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