やっちゃんの人生

栗菓子

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第4話 美しい女

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やっちゃんは、生前気になっていたことも解消されて満足して水底の神様の所に戻りました。
実はやっちゃんが、生け贄になろうと思ったのは、自棄と女があまりに美しかったからです。
勿体ないとおもったんです。
あんなにきれいな人が幸福にならないなんでとやっちゃんは我が身の境遇も度外視して、男の気分になったのです。
男だったら惚れていたでしょう。
美しさは正義なのです。本当は友人になりたかったけどね。ふん!
でも、美しい女の心の隅にやっちゃんは居ます。やっちゃんはそれが嬉しかったのです。
あたしのような情けない女でも誰かの心に残るんだとやっちゃんはなんだか嬉しくてたまらなかったのです。
美しい女から美しい花畑と涙ももらった。
これ以上の宝物があろうか!これが馬鹿な男の気持ちかあ!
やっちゃんはすっかりおっさんの気持ちでした。
もう思い残すことはありません。否。神様と化け猫と化け犬がまだ残っていました。
慌てて、待っている者達の所へ行きました。

化け犬と化け猫はまるで浮気者を見るような目で匂いとか嗅ぎまわりました。
死者に匂いなどあるのか?
やっちゃんははて?と思いましたが、いつもとは目が違いました。
怨嗟ではなくキリリと澄んだ目で、美しい女の匂いと花の匂いを嗅ぐと、浮気者とというように鳴きました。

しばらくやっちゃんは化け猫と化け犬につき纏われました。
ガン目とジト目に晒されました。やっちゃんはそうかこれが浮気した男の気持ちかあという気分になりました。

神様は呆れたように離れたところで彼らを見ていました。

まだまだ天に召されるのは遠いようです。
最後の化け猫と化け犬が浄化される時、最後の生贄のやっちゃんも天に一緒に召されようとやっちゃんは考えていました。これが水底でのあたしの務めなんだ。

最後の奴ら同士。仲良く天に召されよう。その時まで頑張ろう。生前よりもやっちゃんは生き生きと働きました。

情けない女にしては上等な人生であったと言われるように頑張りました。


最期を目指してやっちゃんは頑張ります!



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