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疲れた女の爛れた生活

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少年の名前はユンといった。
夜の半月を例えていった名前だと・・恩師に与えられた名だと少し自慢げにあどけなく笑うのが不思議と印象に残った。
あれ・・それって●国の名に似ているなあと思ったが、考えるのは止めた。
私は、あの少年の形をした死神に会った時から、私の人生は終わったのだ。
働いて働いて消耗するだけの人生・・。好きな人も僅かにいたが、それさえも泡のように消えていった。

唯の奴隷女が消えたところで世界は変わらない。ましてや年増だ。もう終わっていたのだ。

嗚呼‥わたしはやっと自由になれたのね。 少年は時々残酷な事もするが、鈍磨した大人だからほとんどは何も感じない。これが麻痺や慣れるという事だろうか?

わたしはそこら辺の娼婦の下らぬ自尊心も捨てて、少年だけの奉仕する奴隷になった。

愛を囁くのは嫌だった。なんだかわたしにとって愛はもっと素敵な人がいうべきな神聖な言葉にしか思えなかったから・・。

だから素敵・・最高とかでいいかえた。彼だけの奴隷であり信仰にも近い思いを抱いた。
ゴミのような女があの時、むせかえるような血と暴力で目覚めたのだ。 ああわたしは動物だ。狂った生き物だった。あの時情欲が目覚めた。子宮が性器が疼いた。月の狂気が女の本性を露わにしたのだ。


少年は美しかった。野性の獣のようで頭も驚くほど切れてわたしには唯別世界の生き物しか思えなかった。
本来ならわたしもあの時狩られた獲物のはずだったけど・・わたしの捨て身の媚態が滑稽で面白かったのだろう。

わたしはかすかに月や太陽の光が差す地下の牢獄で、しばらく鎖で繋がれたまま、主人に奉仕した。

少年の弱いところや、感じやすい急所を女特有の勘で探り当てて、わたしは最高の快楽と愉悦を与えたいと思い、はじめは拙いながらも頑張って少年の意外にも大きな性器を愛おし気に宝物のように舐めた。
全てを含み口だけで果てさせるのに少し時間がかかったが、今では慣れたものだ。

少年は人を殺した後は気が高ぶって、喉の奥まで執拗に己の肉を乱暴に押し付け、腰を早急に振る。

その時、わたしは唯の口だと思うことにした。少年だけの性器人形だ。 心はない。欲を受け入れるだけだ。
感情は消すコツはもう覚えた。その方が楽だし、死人に屈辱も悲しみもない。

早く果てさせようと懸命に舌を脈打つ肉の塊に動かすだけだ。
わたしはなかなかの雌豚になったらしい。いやもともと奴隷のように働いていたし、全ての女は娼婦であるとも昔の偉い人はいっていたからあるべきところに戻ったのでは・・?

ごめんなさい。誇り高い女の人や、まっとうな女性には失礼でしたかしら・・。でもわたしは唯の弱い女なのよ。
これも女の生き方だと思ってね。侮蔑されるだろうな。冷ややかな目でみられるだろうなと思っても何も感じない。
嗚呼、これが奈落の女の生き方かあ。

行く先は飽きた人形のようにバラバラにされて海の下に沈められるのかな?山かな?
わたしは既に自分を見限っていた。

今は唯、美しい少年に奉仕して悦ばせることだけを考えよう。それがわたしに与えられた仕事だ。
肉がどんどん膨れあがっていくのを見るのは楽しい。愉快だ。 少年の精液は驚くほど苦い。でも美味しそうに飲む。それが奴隷の役目だ。

おばさんってスゴイエロいな。何をしても感じるし、気持ちがいいもん。

ユンが嬉しそうに笑うのは見ていて気持ちが良かった。

ねえねえおばさんが処女を失ったのはいつごろなの。ユンは少し不満げに言った。

さあおばさんにもわからないわ・・。もう昔だしね・・。わたしはふふふと笑った。
内心嘘だ。覚えている。あの忌々しい記憶は時々亡霊のように蘇る。
その度発狂したいのを堪えている。叫びたい気持ちにかられたが沈黙した。

嘘だ。わたしの処女は家族ともいえないような男に奪われた。まだ子どもだったのにな。女に育ち切らない頃、大人になるのを待ってくれなかった。いきなり押しかかって下半身に猛烈な激痛と血まみれになった太もも。
勝手に襲ったくせに阿婆擦れとケガレタ女と貶めてわたしの肉を狂ったように食い散らかした男・・ケダモノ。

その時からわたしは世界はわたしに優しくない残酷なものと徹底的に思い知らされた。

だからだろうが、わたしは必死にあの境遇から逃れて、なんとか働くところを見つけて働き続けた。
そこがいわゆる非合法な会社だろうがどうでもよかった。だって生きているだけでもいいともう思うようになった。

何回も強要されたことはあったが、慣れた。人間はなんでも慣れるものだ。

わたしのような無いもない女がどうやってこの世界に立ち向かえというのか・・。

正しい知識や、まっとうな人や恵まれた環境に置かれた人たちには分からないだろう。 例え間違っていてもやるしかない。これしかなかったという人は後を絶たない。

わたしにはその気持ちがよくわかる。

わたしの下らないつまらないよくある処女喪失は世界にとってゴミや汚点のようなものだ。

嗚呼・・そういえばわたしがはじめて自主的に誘ったのはユンがはじめてだ。
なんだ。じゃあわたしにとっての男は彼なのか・・。

わたしは不意にそのことを悟った。
わたしはなんだか嬉しくて、ユンにいつにもまして優しく奉仕した。

わたしの穴をすべて使ってユンを悦ばせた。穴がきつくていいといわれた。嬉しい。あまり使ってなくて良かった。
でも慣れたらユンの性器を柔らくきつく悦ばせるようにならなきゃ、緩い穴は嫌だろう・・。

わたしには穴しかないのだ。

ユン。気持ちがいいかしら。良かったわ。でも緩いと思ったら言ってね。なるべくきつく締めるように頑張るから・・。

わたしは綺麗な少年の耳元に囁くように言った。

わたしの声はユンにとって心地いい声らしい。気持ちよさそうにうっとりしている。
快楽に蕩けるユンを見るのは気持ちがいい。

わたしは心が死んでいるから、どこかで明晰な思考ができる・・。だからユンの偽りなく純粋な快楽に満ちた姿は美しいと思える・・。

だれが醜悪といったのだろう。性愛は決して醜いものではない。唯何かを間違えて穢れと病的になっているだけだ。
死と性愛は結びついている。嗚呼だからわたしはこの死神に情欲を抱いたのか・・。


わたしは自分を悟った。嗚呼そうか。わたしはユンをもう主人と定めていたんだ。あの時あった瞬間・・。

わたしはユンにとって最高の穴と言われたかった。 女ではない。女はもっと誇り高い人も居るはずだ。そんな人に失礼だ。

わたしは実は美しい女も見たかった。一番美しいと思ったのはユンだけど少年だ。

おばさんねえ・・美しいものや綺麗なものが見たいの。 今まで嫌な事ばかりだったし、汚い事ばかり見てきたから・・。嗚呼ユンはわたしが見てきた中で一番美しい少年よ。でもね。綺麗な美しい女やたくさん素敵な女や男も見たかったわ・・。嗚呼綺麗な美しいものが見たい・・。

わたしはぼつりと本音を漏らした。

ユンはその時だけ奇妙に真顔だった・・。その後、わたしの鎖は解かれた。痣になったところはいつまでも残ったが
ユンはそれをじっと見つめてどこか満足そうだった。

ユンの心情はわからない・いやどこかで分かっているのかもしれないけどわからない方が良い。わたしは死人だ。

ユンは多分これから本当に美しい相応しい伴侶や番を見つけるだろう。

だってわたしには理解できないの。ユンはあんなに美しく頭がきれるのに何故こんな殺人鬼の仕事をしているのかしら・・。

ユンは本当はその気になったら最も高みに昇りつめる潜在能力がある気がする。

これはわたしのキチガイ女の世迷言かもしれないけど、まっとうじゃないからこそわかる嗅覚や本能、予感もあるのよ。

わたしは唯の獲物できまぐれに飼われている奴隷に過ぎないわ。

わたしは余生でユンの人生を見たかった。これがとるにたらない女の望みだった。


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