31 / 45
第4章 子どもたちの戦記
第4話 裏切り
しおりを挟む
ダリア達。リコリス部隊は余裕で反乱軍を制圧できると思っていた。
シズナの力もあるし、今まで十分優秀な実績を上げてきたのだ。勝てる見込みはあった。
しかし、裏切りがあった。シズナの力を研究している施設から、研究書類やデータが奪われたのだ。
内部の研究者が手引きしたことは間違いない。その特定の人と、反乱軍の関連を調査するのには時間がかかった。
その奪われたデータをもとに、シズナの力の片鱗でも手に入った敵は、より強大になった。
なんてことよ。
これにはダリアも呻いた。
同質の力を有した反乱軍とは、血で血を洗う泥沼の戦いになった。
シズナは懸命にダリア達の勝利を祈願したが、中々祈りが届かない。敵にも巫女のような者が生まれ、敵の勝利を祈っている。シズナは神の力で分かった。
ダリアにもその巫女がいる事を話した。
「なんですって!」
ダリアは驚愕した。同じような力を持つ敵が現われたら、戦略や知恵や運だけで勝つしかない。
今回は同じ神の力を持っている同士で戦いあうのだ。
ぎりりとダリアは唇をかみしめた。
敵は卑劣で下劣な策を使った。洗脳した女や子どもや老人などを肉の盾にして、爆弾を巻き付けたのだ。
これにはダリアもシズナも驚愕した。赤ん坊でさえも爆弾が巻きつかれていた。
「外道・・!」シズナは今までになく怒りが込み上げてきた。
もどかしかった。シズナは今や上位世界にいる。力が増してきて迂闊に下界に干渉できなくなっている。
そこまでやるかと思う位醜悪な人間の残酷な策略があった。
負傷した夫を囮にしておびき寄せた妻を射殺したり、家族を人質にして裏切らせたり、惨たらしい戦いが始まった。
こんな時に動けないなんで・・シズナは泣きながら無惨な戦いの状況を見ていた。
力が増せば増すほど、神々の掟で、上位世界へ強制的に配置され、干渉できなくなっている。
人間は人間で解決すべきこと。これが厳しい神の掟だった。
シズナの脳裏に掟が刻まれていく。
歯がゆがった。できることは、ダリアやリコリス部隊にこの情勢を伝えることぐらいだけだ。
ダリア。必ず敵を殺せ! シズナは猛々しく憎悪を込めて叫んだ。
怒りに満ちた戦いの女神だった。嗚呼。心が漆黒に染められる。怒りの赤ら顔。 蒼白の蒼い顔。 嘆きの白い顔
全ての顔がシズナの心に満ちた。
ダリア達。リコリス部隊の上空に禍々しい戦いの女神の像が浮かんだ。幻影だが、敵に対する憎悪を込めたカツと見開いた目は爛々と金と赤に輝いていた。
いくつもの剣をもった悪鬼より禍々しい表情をした醜い女神。
ダリアは上空を見上げて、シズナの化身だと瞬時に理解し、巨大な憎悪の念がダリアに伝わった。
リコリス部隊にもシズナに加担する味方にもその思いが伝わって、彼らは激高と憎悪の赴くまま戦った。
恐怖は無かった。このどうしようもない外道を倒したかったのだ。
彼らは神々の兵士となったのだ。壮絶な戦いがあった。
彼らは無意識にシズナ様の言う通りに怒りと憎悪の赴くまま、敵を屠った。
コロセ。コロセ。コロセ。 唯それだけがあった。
混沌とした戦いは続いた。 シズナにももう状況が解らなくなっていた。
シズナはまたどこかへ飛ばされてしまった。
嗚呼・・畜生。クソッタレ。 シズナは下賤な女に戻り、この状況に追いやった奴らをあらん限り罵倒した。
必ず復讐してやる。裏切者どもめ。それだけがシズナの思いだった。
シズナの力もあるし、今まで十分優秀な実績を上げてきたのだ。勝てる見込みはあった。
しかし、裏切りがあった。シズナの力を研究している施設から、研究書類やデータが奪われたのだ。
内部の研究者が手引きしたことは間違いない。その特定の人と、反乱軍の関連を調査するのには時間がかかった。
その奪われたデータをもとに、シズナの力の片鱗でも手に入った敵は、より強大になった。
なんてことよ。
これにはダリアも呻いた。
同質の力を有した反乱軍とは、血で血を洗う泥沼の戦いになった。
シズナは懸命にダリア達の勝利を祈願したが、中々祈りが届かない。敵にも巫女のような者が生まれ、敵の勝利を祈っている。シズナは神の力で分かった。
ダリアにもその巫女がいる事を話した。
「なんですって!」
ダリアは驚愕した。同じような力を持つ敵が現われたら、戦略や知恵や運だけで勝つしかない。
今回は同じ神の力を持っている同士で戦いあうのだ。
ぎりりとダリアは唇をかみしめた。
敵は卑劣で下劣な策を使った。洗脳した女や子どもや老人などを肉の盾にして、爆弾を巻き付けたのだ。
これにはダリアもシズナも驚愕した。赤ん坊でさえも爆弾が巻きつかれていた。
「外道・・!」シズナは今までになく怒りが込み上げてきた。
もどかしかった。シズナは今や上位世界にいる。力が増してきて迂闊に下界に干渉できなくなっている。
そこまでやるかと思う位醜悪な人間の残酷な策略があった。
負傷した夫を囮にしておびき寄せた妻を射殺したり、家族を人質にして裏切らせたり、惨たらしい戦いが始まった。
こんな時に動けないなんで・・シズナは泣きながら無惨な戦いの状況を見ていた。
力が増せば増すほど、神々の掟で、上位世界へ強制的に配置され、干渉できなくなっている。
人間は人間で解決すべきこと。これが厳しい神の掟だった。
シズナの脳裏に掟が刻まれていく。
歯がゆがった。できることは、ダリアやリコリス部隊にこの情勢を伝えることぐらいだけだ。
ダリア。必ず敵を殺せ! シズナは猛々しく憎悪を込めて叫んだ。
怒りに満ちた戦いの女神だった。嗚呼。心が漆黒に染められる。怒りの赤ら顔。 蒼白の蒼い顔。 嘆きの白い顔
全ての顔がシズナの心に満ちた。
ダリア達。リコリス部隊の上空に禍々しい戦いの女神の像が浮かんだ。幻影だが、敵に対する憎悪を込めたカツと見開いた目は爛々と金と赤に輝いていた。
いくつもの剣をもった悪鬼より禍々しい表情をした醜い女神。
ダリアは上空を見上げて、シズナの化身だと瞬時に理解し、巨大な憎悪の念がダリアに伝わった。
リコリス部隊にもシズナに加担する味方にもその思いが伝わって、彼らは激高と憎悪の赴くまま戦った。
恐怖は無かった。このどうしようもない外道を倒したかったのだ。
彼らは神々の兵士となったのだ。壮絶な戦いがあった。
彼らは無意識にシズナ様の言う通りに怒りと憎悪の赴くまま、敵を屠った。
コロセ。コロセ。コロセ。 唯それだけがあった。
混沌とした戦いは続いた。 シズナにももう状況が解らなくなっていた。
シズナはまたどこかへ飛ばされてしまった。
嗚呼・・畜生。クソッタレ。 シズナは下賤な女に戻り、この状況に追いやった奴らをあらん限り罵倒した。
必ず復讐してやる。裏切者どもめ。それだけがシズナの思いだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説


【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します

〈完結〉婚約破棄ざまぁ大喜利ショートショート26番・一話500文字以内縛り
江戸川ばた散歩
恋愛
タイトルのまんまです。
アルファベット26文字で名前をつけた令嬢とかヒロインとかモブとかがどんなパターンでざまぁするのか、大喜利的にやってみたいよな、という実験+ネタ出し集です。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる