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第4章 子どもたちの戦記
第4話 裏切り
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ダリア達。リコリス部隊は余裕で反乱軍を制圧できると思っていた。
シズナの力もあるし、今まで十分優秀な実績を上げてきたのだ。勝てる見込みはあった。
しかし、裏切りがあった。シズナの力を研究している施設から、研究書類やデータが奪われたのだ。
内部の研究者が手引きしたことは間違いない。その特定の人と、反乱軍の関連を調査するのには時間がかかった。
その奪われたデータをもとに、シズナの力の片鱗でも手に入った敵は、より強大になった。
なんてことよ。
これにはダリアも呻いた。
同質の力を有した反乱軍とは、血で血を洗う泥沼の戦いになった。
シズナは懸命にダリア達の勝利を祈願したが、中々祈りが届かない。敵にも巫女のような者が生まれ、敵の勝利を祈っている。シズナは神の力で分かった。
ダリアにもその巫女がいる事を話した。
「なんですって!」
ダリアは驚愕した。同じような力を持つ敵が現われたら、戦略や知恵や運だけで勝つしかない。
今回は同じ神の力を持っている同士で戦いあうのだ。
ぎりりとダリアは唇をかみしめた。
敵は卑劣で下劣な策を使った。洗脳した女や子どもや老人などを肉の盾にして、爆弾を巻き付けたのだ。
これにはダリアもシズナも驚愕した。赤ん坊でさえも爆弾が巻きつかれていた。
「外道・・!」シズナは今までになく怒りが込み上げてきた。
もどかしかった。シズナは今や上位世界にいる。力が増してきて迂闊に下界に干渉できなくなっている。
そこまでやるかと思う位醜悪な人間の残酷な策略があった。
負傷した夫を囮にしておびき寄せた妻を射殺したり、家族を人質にして裏切らせたり、惨たらしい戦いが始まった。
こんな時に動けないなんで・・シズナは泣きながら無惨な戦いの状況を見ていた。
力が増せば増すほど、神々の掟で、上位世界へ強制的に配置され、干渉できなくなっている。
人間は人間で解決すべきこと。これが厳しい神の掟だった。
シズナの脳裏に掟が刻まれていく。
歯がゆがった。できることは、ダリアやリコリス部隊にこの情勢を伝えることぐらいだけだ。
ダリア。必ず敵を殺せ! シズナは猛々しく憎悪を込めて叫んだ。
怒りに満ちた戦いの女神だった。嗚呼。心が漆黒に染められる。怒りの赤ら顔。 蒼白の蒼い顔。 嘆きの白い顔
全ての顔がシズナの心に満ちた。
ダリア達。リコリス部隊の上空に禍々しい戦いの女神の像が浮かんだ。幻影だが、敵に対する憎悪を込めたカツと見開いた目は爛々と金と赤に輝いていた。
いくつもの剣をもった悪鬼より禍々しい表情をした醜い女神。
ダリアは上空を見上げて、シズナの化身だと瞬時に理解し、巨大な憎悪の念がダリアに伝わった。
リコリス部隊にもシズナに加担する味方にもその思いが伝わって、彼らは激高と憎悪の赴くまま戦った。
恐怖は無かった。このどうしようもない外道を倒したかったのだ。
彼らは神々の兵士となったのだ。壮絶な戦いがあった。
彼らは無意識にシズナ様の言う通りに怒りと憎悪の赴くまま、敵を屠った。
コロセ。コロセ。コロセ。 唯それだけがあった。
混沌とした戦いは続いた。 シズナにももう状況が解らなくなっていた。
シズナはまたどこかへ飛ばされてしまった。
嗚呼・・畜生。クソッタレ。 シズナは下賤な女に戻り、この状況に追いやった奴らをあらん限り罵倒した。
必ず復讐してやる。裏切者どもめ。それだけがシズナの思いだった。
シズナの力もあるし、今まで十分優秀な実績を上げてきたのだ。勝てる見込みはあった。
しかし、裏切りがあった。シズナの力を研究している施設から、研究書類やデータが奪われたのだ。
内部の研究者が手引きしたことは間違いない。その特定の人と、反乱軍の関連を調査するのには時間がかかった。
その奪われたデータをもとに、シズナの力の片鱗でも手に入った敵は、より強大になった。
なんてことよ。
これにはダリアも呻いた。
同質の力を有した反乱軍とは、血で血を洗う泥沼の戦いになった。
シズナは懸命にダリア達の勝利を祈願したが、中々祈りが届かない。敵にも巫女のような者が生まれ、敵の勝利を祈っている。シズナは神の力で分かった。
ダリアにもその巫女がいる事を話した。
「なんですって!」
ダリアは驚愕した。同じような力を持つ敵が現われたら、戦略や知恵や運だけで勝つしかない。
今回は同じ神の力を持っている同士で戦いあうのだ。
ぎりりとダリアは唇をかみしめた。
敵は卑劣で下劣な策を使った。洗脳した女や子どもや老人などを肉の盾にして、爆弾を巻き付けたのだ。
これにはダリアもシズナも驚愕した。赤ん坊でさえも爆弾が巻きつかれていた。
「外道・・!」シズナは今までになく怒りが込み上げてきた。
もどかしかった。シズナは今や上位世界にいる。力が増してきて迂闊に下界に干渉できなくなっている。
そこまでやるかと思う位醜悪な人間の残酷な策略があった。
負傷した夫を囮にしておびき寄せた妻を射殺したり、家族を人質にして裏切らせたり、惨たらしい戦いが始まった。
こんな時に動けないなんで・・シズナは泣きながら無惨な戦いの状況を見ていた。
力が増せば増すほど、神々の掟で、上位世界へ強制的に配置され、干渉できなくなっている。
人間は人間で解決すべきこと。これが厳しい神の掟だった。
シズナの脳裏に掟が刻まれていく。
歯がゆがった。できることは、ダリアやリコリス部隊にこの情勢を伝えることぐらいだけだ。
ダリア。必ず敵を殺せ! シズナは猛々しく憎悪を込めて叫んだ。
怒りに満ちた戦いの女神だった。嗚呼。心が漆黒に染められる。怒りの赤ら顔。 蒼白の蒼い顔。 嘆きの白い顔
全ての顔がシズナの心に満ちた。
ダリア達。リコリス部隊の上空に禍々しい戦いの女神の像が浮かんだ。幻影だが、敵に対する憎悪を込めたカツと見開いた目は爛々と金と赤に輝いていた。
いくつもの剣をもった悪鬼より禍々しい表情をした醜い女神。
ダリアは上空を見上げて、シズナの化身だと瞬時に理解し、巨大な憎悪の念がダリアに伝わった。
リコリス部隊にもシズナに加担する味方にもその思いが伝わって、彼らは激高と憎悪の赴くまま戦った。
恐怖は無かった。このどうしようもない外道を倒したかったのだ。
彼らは神々の兵士となったのだ。壮絶な戦いがあった。
彼らは無意識にシズナ様の言う通りに怒りと憎悪の赴くまま、敵を屠った。
コロセ。コロセ。コロセ。 唯それだけがあった。
混沌とした戦いは続いた。 シズナにももう状況が解らなくなっていた。
シズナはまたどこかへ飛ばされてしまった。
嗚呼・・畜生。クソッタレ。 シズナは下賤な女に戻り、この状況に追いやった奴らをあらん限り罵倒した。
必ず復讐してやる。裏切者どもめ。それだけがシズナの思いだった。
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