14 / 45
第2章 宗教施設
第11話 運命の分岐
しおりを挟む
ゴルデアは暁のように、将軍みたいに傭兵団の頭を務めた。
もう子供ではない。 彼は精悍な男性で、一筋縄でもいかない男を慕わせるカリスマ性と包容力を持っていた。
雄々しく、どこか女性的な面もあった。彼は両性具有者なのかもしれない。
ゴルデアは長く髪を伸ばすようになった。それがとても相応しかった。
風にたなびく金の髪、夕日に輝く姿はまるで女神のようだった。まさしく黄金の女神。
彼は、女になるべきだったのかもしれない。シズナはそう思いながらも男性の姿でいるのはなにか理由があるのだろうと思った。
ダリアは地獄の中で咲いた毒花のようにビビットな華やかさを持っていた。
まるで極彩色の世界にダリアは生きている。でもどこか昏く影もある。ダリアの貴族の血の冷徹さと無常さ。僅かな情。ダリアは地獄の女神に相応しかった。
両極の男と女。彼らは仲間でありながらここまで道は違った。
生きる価値のない人をダリアたちは消す。それがダリアの使命となった。
運命の分岐は性ゆえにであった。
ダリアは女ゆえに、痛めつけられた苦界の中にいる女を無視できなかった。
だがゴルデアは男ゆえに、良き道を模索し、傭兵団を創ったのだ。ゴルデアはどこかこどものように戦い続けることが目的だった。強くなること。それだけがゴルデアの目的だった。彼は純粋であった。
性とはなんなのか? ゴルデアが女だったらうまく男たちは従うだろうか?いいえ。分からない。彼が彼で或る限り従っていたかもしれない。
唯の女だったわたしにはわからないことばかりだ。シズナは溜息をついた。
私の血と肉は、やはり特異な力をもっているらしい。医者や研究者が膨大な実験をして、稀な蘇生をしたケースの患者や、動物がいた様だ。
嗚呼・・邪神の力か・・。
これは宗教施設でも最大の秘密となった。
わたしの力はどんどん増していった。わたしの凡庸な心とは裏腹に時と共に力が増す。
わたしはダリアとゴルデアに特別な患者に、わたしの血と肉をもとにした薬を破格の金額で与えたらどうかと相談した。それをもとに、ダリアとゴルデアは更に上に昇りつめるだろう。
勿論、副作用もあるかもしれないが、これは悪魔の賭けであった。
成功すれば、ダリアとゴルデアは途方もない地上での権力と栄誉を得られるかもしれない。
ダリアとゴルデアは一時は迷ったが、覚悟を決めて薬の精製にかかった。
大富豪の客や、途方もなく才能がある人間も老いや死への恐怖にわたしの薬を求めた。
死への恐怖が強いものほど求めるのだ。
わたしは彼らの命を蘇生する。それが内側では変質し未知のなにかに侵食しているかもしれないのに彼らは縋るように無防備に生への欲を見せる。
嗚呼。可哀そうに。気の毒な彼らだ。彼らは餓鬼だ。飢えたものが生を求めてわたしに蟻のように群がる。
それがとてもとても危険な道なのかも知らずに・・甘いものを求めて崖から落ちていく亡者たち。
わたしは沈む花だ。 沈む花に縋り付いても、水底に海底に落下していくだけなのに。
それが彼らの望みなのだろうか?わたしにはわからない。
もう子供ではない。 彼は精悍な男性で、一筋縄でもいかない男を慕わせるカリスマ性と包容力を持っていた。
雄々しく、どこか女性的な面もあった。彼は両性具有者なのかもしれない。
ゴルデアは長く髪を伸ばすようになった。それがとても相応しかった。
風にたなびく金の髪、夕日に輝く姿はまるで女神のようだった。まさしく黄金の女神。
彼は、女になるべきだったのかもしれない。シズナはそう思いながらも男性の姿でいるのはなにか理由があるのだろうと思った。
ダリアは地獄の中で咲いた毒花のようにビビットな華やかさを持っていた。
まるで極彩色の世界にダリアは生きている。でもどこか昏く影もある。ダリアの貴族の血の冷徹さと無常さ。僅かな情。ダリアは地獄の女神に相応しかった。
両極の男と女。彼らは仲間でありながらここまで道は違った。
生きる価値のない人をダリアたちは消す。それがダリアの使命となった。
運命の分岐は性ゆえにであった。
ダリアは女ゆえに、痛めつけられた苦界の中にいる女を無視できなかった。
だがゴルデアは男ゆえに、良き道を模索し、傭兵団を創ったのだ。ゴルデアはどこかこどものように戦い続けることが目的だった。強くなること。それだけがゴルデアの目的だった。彼は純粋であった。
性とはなんなのか? ゴルデアが女だったらうまく男たちは従うだろうか?いいえ。分からない。彼が彼で或る限り従っていたかもしれない。
唯の女だったわたしにはわからないことばかりだ。シズナは溜息をついた。
私の血と肉は、やはり特異な力をもっているらしい。医者や研究者が膨大な実験をして、稀な蘇生をしたケースの患者や、動物がいた様だ。
嗚呼・・邪神の力か・・。
これは宗教施設でも最大の秘密となった。
わたしの力はどんどん増していった。わたしの凡庸な心とは裏腹に時と共に力が増す。
わたしはダリアとゴルデアに特別な患者に、わたしの血と肉をもとにした薬を破格の金額で与えたらどうかと相談した。それをもとに、ダリアとゴルデアは更に上に昇りつめるだろう。
勿論、副作用もあるかもしれないが、これは悪魔の賭けであった。
成功すれば、ダリアとゴルデアは途方もない地上での権力と栄誉を得られるかもしれない。
ダリアとゴルデアは一時は迷ったが、覚悟を決めて薬の精製にかかった。
大富豪の客や、途方もなく才能がある人間も老いや死への恐怖にわたしの薬を求めた。
死への恐怖が強いものほど求めるのだ。
わたしは彼らの命を蘇生する。それが内側では変質し未知のなにかに侵食しているかもしれないのに彼らは縋るように無防備に生への欲を見せる。
嗚呼。可哀そうに。気の毒な彼らだ。彼らは餓鬼だ。飢えたものが生を求めてわたしに蟻のように群がる。
それがとてもとても危険な道なのかも知らずに・・甘いものを求めて崖から落ちていく亡者たち。
わたしは沈む花だ。 沈む花に縋り付いても、水底に海底に落下していくだけなのに。
それが彼らの望みなのだろうか?わたしにはわからない。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
リアンの白い雪
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。
いつもの日常の、些細な出来事。
仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。
だがその後、二人の関係は一変してしまう。
辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。
記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。
二人の未来は?
※全15話
※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。
(全話投稿完了後、開ける予定です)
※1/29 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
悪役令嬢はオッサンフェチ。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
侯爵令嬢であるクラリッサは、よく読んでいた小説で悪役令嬢であった前世を突然思い出す。
何故自分がクラリッサになったかどうかは今はどうでも良い。
ただ婚約者であるキース王子は、いわゆる細身の優男系美男子であり、万人受けするかも知れないが正直自分の好みではない。
ヒロイン的立場である伯爵令嬢アンナリリーが王子と結ばれるため、私がいじめて婚約破棄されるのは全く問題もないのだが、意地悪するのも気分が悪いし、家から追い出されるのは困るのだ。
だって私が好きなのは執事のヒューバートなのだから。
それならさっさと婚約破棄して貰おう、どうせ二人が結ばれるなら、揉め事もなく王子がバカを晒すこともなく、早い方が良いものね。私はヒューバートを落とすことに全力を尽くせるし。
……というところから始まるラブコメです。
悪役令嬢といいつつも小説の設定だけで、計算高いですが悪さもしませんしざまあもありません。単にオッサン好きな令嬢が、防御力高めなマッチョ系執事を落とすためにあれこれ頑張るというシンプルなお話です。
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
【完結】裏切ったあなたを許さない
紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。
そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。
それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。
そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる