或る主婦のおかしなおかしな憂鬱

栗菓子

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第2章 宗教施設

第9話 主婦の憂鬱②

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シズナの肉体は普通の女の肉体と少し変質した。
生理・月のものがなくなったのだ。シズナは殺された衝撃で、生理が止まったのかと思った。

しかし、時折、変な高揚感が深夜、あった。シズナはその度に贄を求めた。
贄を神に贈った後、シズナは盛りがついた猫のように、男を求めるようになった。こんなに淫乱だったろうか?
まるで媚薬や何か強制的に発情しているみたいだ・・。

シズナは途方に暮れた。ダリアとゴルデアにはシズナの肉体の変容を告げた。
教祖が色情狂のようでいいのだろうか?
シズナは嫌気がさしながらも、力の代償として体の変容を伝えた。

ゴルデアは俺が鎮めよう。俺の肉体なら満足できる。シズナは思わず赤らめた。
ゴルデアのような精悍な美しい男にいわれたら大抵の女はなびくではないか。
シズナも異論はなかった。
ゴルデアの男根はシズナの女陰を満足させた。
ゴルデアはやはりどこか力があるようだった。ゴルデアとシズナの力はお互いの力を増幅するような性交だった。

二人は性の営みを終えた後、力がみなぎるのを感じていた。
ダリアも、その様子を冷徹に観察していた。

性交は力を奪うこともできれば、お互いに与えあう儀式でもあるとダリアは言った。

だが、まだ足りないとシズナの肉体が言っていた。ダリアには相談した。
ダリアは、贄を犯したらどうかと悪魔のように囁いた。どうせ。生きる価値のない人間だ。
その前に快楽をシズナに与えられてもいいではないかと冷徹に言った。
『教師』もそのほうがいい。あと腐れない。と言った。
迂闊に、余所の人と交わるのは危険だ。力が伝染するかもしれない・・。

シズナはそれを聞いてはっとなった。そうだ。性病も移る。
じゃあ。邪神に与えられた力や体液は接触した男たちに感染して力を持つんじゃ・・。

呪力感染・・不意にシズナの脳裏に浮かんだ。だから古代の聖女はあまり性交渉をしなかったのかもしれない。力がどうなるかわからなかったから。

シズナは聖女の逸話について学ぶようになった。
聖女っていったい・・。魔女の違いって何だろう・・。シズナには分らないことばかりだった。

『教師』が言った。聖女は神聖な業績を残した女性だ。大抵は聖力という癒しや1つだけ信仰する神に与えられた力
によって、人間に尽くす聖なる奴隷のような者だ。大抵は嫉妬や、時の権力者に疎まれほとんどが非業の死を遂げる。上手く頭脳明晰な人が聖女になったら、大聖女と呼ばれ様々な業績を残したこともある。

魔女は自然の精霊など力を貸してくれる存在だ。最も古い原初の神の巫女よ。彼らは尽くさない。
己の術の探求に絶え間なくしている。しかし、それを疎む醜い人間も居る。
魔女狩りなど歴史のたびに起きるだろう。

醜い人間は弱い女が力が持つのが我慢ならないのよ。愚かな事よ。

シズナは呆然と歴史の闇を知った。じゃあわたしは?震えて尋ねた。どっちなの?わたしは?
『教師』はいった。分からない。貴女は一度死んで、神の眷属になったから。これは歴史でもまれなケースだから。
貴女は最も数奇な運命を持った1人の女。
邪神とはいえ神は神。 貴女の身体はだんだん変容していく。貴女は力が増してきているのを感じている。

貴女は常に自分の身体や心を自分で制御し、調べなければならない。

シズナは震えて頷いた。それは教祖と言うよりは数奇過ぎる運命に翻弄される一凛の花の様だった。

彼女は途方もない孤独を抱えた。


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