黄金の狼の傭兵団

栗菓子

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第11話 密愛

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四人組は、密かに、サイカの国に潜入し、サイカの情報を怪しまれずに少しずつ重要な情報や、大したことのない情報まで網羅するように、密偵を放った。

ある日、何を思ったが、セレストは、サイカの城に忍び込むと言った。
危険だと諫めるマルーンだったが、セレストは、城の内情を調べたいと隊長のためにも深く潜入したいと口説き、
最終的に、一番の腕利きであるセレストと、グレイだけが潜入することになった。

セレストには、きまぐれにゴルデアからもらったセルシーオ・ナミのシズナの加護の片鱗が宿る水晶の欠片をお守りだとボロイ小袋に入れた。

セレストは、この小袋を肌身離さず持っていた。何故かこれがあると、安心できるのだ。
胸にセレストはしまっていた。

セレストは常に渇いていた。ゴルデアが拾った獣の中でも飢えと渇きが止まらなかった。
精神的な問題だと解っているかどうしようもない。時が癒すのを待つしかない。

王城は、不思議と、人影はあまりなかった。どうもサイカ国の王城は、内乱とかで避難している人が多いようだ。

セレストは、隠し通路や、地下通路を渡りながら、サイカ人の状況などを、監視していた。

或る時、セレストは下水路の大量の鼠と他の動物の死体が浮いていて、ガスが破裂数る様を見て、その強烈な匂いに死を感じ、なるべく外気にあたらなければと、迅速に、動いた、

グレイは、別のところを散策している。

このままでは、この見知らぬ異国の地下通路に何も得ることができずに、鼠のように死ぬ。
セレストは初めて、死の恐怖に戦き、下界への通路を迅速に駆け、下界への扉を勢いよく上げて、清らかな緑の木々と静寂なところへ出た。

ここはどこだ? 折しも、月は見事な満月だった。

「貴方はだれですか?何故ここに・・?。」

見つかったか。邪魔な者は殺さなければとセレストは咄嗟に判断し、振り向いた。

その瞬間、彼は心を奪われた。

年齢不詳の美しい女だ。母親のようでもあり、豊満な身体をしているが、幼げな頼りなげな風情もある。

その目は、どこか底光りして、柔らかな目の中に地獄を生き抜いた女の人生が垣間見えた。

セレストは思わず言った。
「美しい女だ。お前の名は?」

女は不快そうに眉をひそめ、かすかに言った。

「サーラ・・。」


かすかに、お守りが光を放った、温かい光だ。
嗚呼・・この女は俺の運命の女なんだ。セレストは獣の直感で彼女をとても好きになった。

「俺の名はセレストだ・・。」

「俺の名を覚えていてくれないか?」

彼は熱情を帯びた目で、サーラを見た。男の思いに気づいたサーラは当惑した。初対面で彼は私に惹かれている。
そんなことってあるのだろうか?
サーラは混乱した。こんなことは初めてだ。

まるで月の神が引き合わせたみたい。サーラはいつもはこんなところにはこない。でもなにか胸騒ぎがして、なぜか道かれるまま、ふらふらとここまで来たのだ。

とても美しい瞳をした男。天空の瞳だわ。澄み切って初めて見たわ。こんな美しい瞳。

サーラは魅入られたように男を見た。

セレストは素直に欲望に従った。
「お前が欲しい。お前はとても俺の好みの女だ。」
サーラはかすかな嫌悪と不安で抗おうとしたが、満月の魔力と、何かの運命の引力で、彼女は男の欲望に抗えなかった。


サーラは無言で男の欲望を受け入れた。まるで女神の儀式のような性交だった。

はじめはかすかな悍ましさに震えたが、次第に彼の欲望と、彼の愛と優しさを知り、彼女はすっかり彼の虜になった。
サーラは初めて彼との性交で女としての快楽と絶頂を知った。

「お前とずっと居たい・・。」セレストは心細い声で呟いた。

カーラは無意識に私もと言いたがったが、娘や戦が気になり、彼女はためらった。

カーラは唯、運命の男に口づけをして、別れを告げた。

「貴方は違う国の人でしょう。多分。運命と月の神がわたしたちを引き合わせたのでしょう。今宵は神々の計らいで
出会ってしまったのでしょう。でもわたしには娘と他にもなすべきことがある。」
「貴方だけのものにはなれない。それが残念です。」

「そうだな・・お前はこのサイカの女であった・・。」

この時は、神の夢の出会いと思おう。 セレストは名残惜しくも別れた。また会いたいと思いながらも彼は己の道を
歩んだ。この事はセレストと、サーラの秘密だった。密愛だった。

お互いに彼らは運命の伴侶と無意識に解っていた。


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