黄金の狼の傭兵団

第10話 負傷者のための施設

また、ゴルデアは、セルシーオ・ナミと言う宗教施設で、負傷者は看護施設で傷を治療する棟があったことを記憶していた。
多くの傭兵たちは殆どが負傷したり、戦のために失ったのは大きいだろう。
その欠けた人生を埋めるために、負傷者の施設や、年金の礎となるようなシステムを創った。僅かだが、戦後、彼らはそのお金で生き延びた人は少なくない。
また、セルシーオ・ナミと連携して、創った中立の病院や、戦用の看護師などは派遣した。
その中でやはり戦死した人々も多いが、歴史の発展と、開拓のため、彼らの試しは続けられた。

この実験は、多くの犠牲を無駄にしないためにも、膨大な記録を残した。

この記録は周辺各国の首脳部にも、披露して、実績や、長期的な利益や、民の心の安定にもつながる政策として
ナナミや、宗教施設の優秀な人は実験結果を披露した。

その上で、酔狂な貴族や、大富豪の優越感と名誉欲も上手く手懐けて、多くの寄付を巻き上げた。

その倍、貴族や大富豪に利益を与えなければ、何か機嫌を損ねて、余計な災いをもたたすかもしれない。

ナナミ及び優秀な金融関係に詳しい専門家は、必死で利益を上げ続けた。
シズナの加護があるナナミは不思議と運が良く、今まで致命的な失敗をせずに、運営を続けた。

この時代は、未来がなく、生きるための人が多かった。
僅かでも未来への糧になる仕事や、技術を学べば、彼らは知らずに、未来の選択は自由になる。


漠然と予期していた聡明な人々はこの実験に大いに取り組んだ。

酒に溺れた娼婦も、無理矢理、看護婦として駆り出され、師匠の元で彼女らは必死で働いた。
交代で睡眠時間や、襲われないよう、数人で交互に厠にいったりして、色々と身の危険を守る防衛策をした。

中には更正して、みるみる貢献する良き民になった人も居るが、大抵が、我が強いためこの実験そのものに反発したものもいた。
多くの軋轢を超え、ナナミは、歴史の必然として、この実験政策は続行された。

その政策は後の時代に継承されることになる。