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第8話 斥候
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ゴルデアは、着実に仕事をこなしつつ、傭兵団としての長として貴族のみならず周辺諸国にも有名になりつつあった。
誠実で、任務は必ず遂行する優秀な傭兵団とゴルデアの率いる団は、ゴルデアのたてがみのような長髪で日光に輝く
ものが印象的で、『黄金の狼の傭兵団』と呼ばれるようになった。
馬を賭けて、長い金髪が戦のたびに血に塗れて、泥に守れても尚光り輝く鮮明で、敵でさえも畏敬と尊敬を抱くようになった。
ゴルデア率いる傭兵団は、どうしても必要なとき以外は、女子供や弱者を蹂躙しなかった。その掟は厳格で掟に反したら容赦なく処刑された。
ある日、月が満ちる日、ゴルデアはいつになく、傭兵団のテントで仮眠をとりながら、夢を見た。とてもリアルで奇妙な夢だ。シズナが居た。嗚呼これは夢だ。 シズナは白い装束を纏って、『サ イ カ 』と指を西へ示した。
シズナは唯そう言って微笑んで消えた。
ゴルデアは目を覚ましながら、無意識に気になっていたことを夢見でシズナが示したかと悟った。
ゴルデアはしばし沈思して、4人の斥候をサイカに放とうと決意した。妙に頭が冴えきっていて、何もかも未来が読めるようだった。
グレイ。マルーン、セレスト、 そしてセルシーオ・ナミから引き抜いた言語に詳しい通訳者 カテイサを選択した。 カテイサは凡庸で、目だたないが、素朴で根が陽気で、どんな悲惨な状況にも負けぬ強靭な精神力を持っている。そして人と人を円滑に中和しようとする力がある。
あの3人組とカテイサは合うだろう。そして、上手くサイカ国に忍び込み、様々な情報を手に入れてくれるだろう。
ゴルデアの先読みは正しかった。
シズナの夢見の導きもあって、彼は間違えることが無かった。
サイカには、暴君を討伐した将軍が、かつての姫君と母親を保護していると聞く。
何故、殺さないのだろう。姫君はそれほど価値の或る女だろうか?
ゴルデアは珍しく女に興味を示した。ほとんどの女は、下働きや、縁の下の力持ちといった影で支える者ばかりだ。
なかには王者の風格を備えた女傑もいたが。シズナやダリアやミモザなど、壮絶な美しい生涯を生きた女達を見てきて育ったため、女には厳しく目が肥えていた。
女傑は全てを憎悪しているところもある。獣に近い獰猛な気性と残虐性がある。
そういう女は必ず非業の死を遂げる。ゴルデアには今までの経験で分かっていた。
東方の国 トオカには、夫を屠って自分が女帝になった女が居る。
彼女は愛人を複数持ったが、どの愛人も最後は非業の末路を辿ったと聞く。彼女は独占欲が激しいのだ。
東の女帝 玉憐は、我が長男だけは溺愛していると聞く。
その妃さえも邪魔な敵と排除しかかっているようだ。
叡智溢れる彼女は、外敵からも内部の敵からも排除と粛正を繰り返し、阿片や麻薬に関する闇の商売をする者たちを余程上質な物しか売らないように、他の粗悪な業者を潰していった。
闇の世界とも上質な聡明な者としか彼女は手を組まなかった。他の劣悪な業者や組織は、潰していった。
玉憐は、闇の世界とも繋がり、莫大な巨額の益を得た。
結果的には救われる民もいたが、多くの粛正された人々は膨大だった。
その怨嗟はトウカや女帝には集中していた。
女帝は歯牙に欠けず、塵芥の如きものたちを潰していった。
彼女も天に愛されし者だろう。
ゴルデアは溜息をついて、どうして女は、ほんの一握りを除いて苛烈な生涯や悲惨な過酷な生涯を辿る者が多いのだろうと思った。いや・男もだが・・。
もはや運命しかないと彼はどこかで達観した。
誠実で、任務は必ず遂行する優秀な傭兵団とゴルデアの率いる団は、ゴルデアのたてがみのような長髪で日光に輝く
ものが印象的で、『黄金の狼の傭兵団』と呼ばれるようになった。
馬を賭けて、長い金髪が戦のたびに血に塗れて、泥に守れても尚光り輝く鮮明で、敵でさえも畏敬と尊敬を抱くようになった。
ゴルデア率いる傭兵団は、どうしても必要なとき以外は、女子供や弱者を蹂躙しなかった。その掟は厳格で掟に反したら容赦なく処刑された。
ある日、月が満ちる日、ゴルデアはいつになく、傭兵団のテントで仮眠をとりながら、夢を見た。とてもリアルで奇妙な夢だ。シズナが居た。嗚呼これは夢だ。 シズナは白い装束を纏って、『サ イ カ 』と指を西へ示した。
シズナは唯そう言って微笑んで消えた。
ゴルデアは目を覚ましながら、無意識に気になっていたことを夢見でシズナが示したかと悟った。
ゴルデアはしばし沈思して、4人の斥候をサイカに放とうと決意した。妙に頭が冴えきっていて、何もかも未来が読めるようだった。
グレイ。マルーン、セレスト、 そしてセルシーオ・ナミから引き抜いた言語に詳しい通訳者 カテイサを選択した。 カテイサは凡庸で、目だたないが、素朴で根が陽気で、どんな悲惨な状況にも負けぬ強靭な精神力を持っている。そして人と人を円滑に中和しようとする力がある。
あの3人組とカテイサは合うだろう。そして、上手くサイカ国に忍び込み、様々な情報を手に入れてくれるだろう。
ゴルデアの先読みは正しかった。
シズナの夢見の導きもあって、彼は間違えることが無かった。
サイカには、暴君を討伐した将軍が、かつての姫君と母親を保護していると聞く。
何故、殺さないのだろう。姫君はそれほど価値の或る女だろうか?
ゴルデアは珍しく女に興味を示した。ほとんどの女は、下働きや、縁の下の力持ちといった影で支える者ばかりだ。
なかには王者の風格を備えた女傑もいたが。シズナやダリアやミモザなど、壮絶な美しい生涯を生きた女達を見てきて育ったため、女には厳しく目が肥えていた。
女傑は全てを憎悪しているところもある。獣に近い獰猛な気性と残虐性がある。
そういう女は必ず非業の死を遂げる。ゴルデアには今までの経験で分かっていた。
東方の国 トオカには、夫を屠って自分が女帝になった女が居る。
彼女は愛人を複数持ったが、どの愛人も最後は非業の末路を辿ったと聞く。彼女は独占欲が激しいのだ。
東の女帝 玉憐は、我が長男だけは溺愛していると聞く。
その妃さえも邪魔な敵と排除しかかっているようだ。
叡智溢れる彼女は、外敵からも内部の敵からも排除と粛正を繰り返し、阿片や麻薬に関する闇の商売をする者たちを余程上質な物しか売らないように、他の粗悪な業者を潰していった。
闇の世界とも上質な聡明な者としか彼女は手を組まなかった。他の劣悪な業者や組織は、潰していった。
玉憐は、闇の世界とも繋がり、莫大な巨額の益を得た。
結果的には救われる民もいたが、多くの粛正された人々は膨大だった。
その怨嗟はトウカや女帝には集中していた。
女帝は歯牙に欠けず、塵芥の如きものたちを潰していった。
彼女も天に愛されし者だろう。
ゴルデアは溜息をついて、どうして女は、ほんの一握りを除いて苛烈な生涯や悲惨な過酷な生涯を辿る者が多いのだろうと思った。いや・男もだが・・。
もはや運命しかないと彼はどこかで達観した。
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