61 / 66
第7章 夢の終わり 真実の終わり
第9話 復讐
しおりを挟む
シン・ノーランは偽りのリリー姫から、真実の告白をされ、義理の兄のジル・オーデインにこの話の伝令を寄越した。
リリー姫いや。リリーは罪を隠蔽して我が家の暗殺者用使用人として扱おうとシンは思った。
美しい容姿。幼児のような性格。アンバランスな彼女がシンは気に入っていた。
本物の姫など見たこともないし、残念だが運命なのだ。これはリリーが妻になれば済むことだ。
リリーの変容する髪や瞳が宝石の様でシンは見惚れていた。暗殺者としての腕もあるなんて素晴らしいとシンは思った。アレフ・ノーラン家は一筋縄ではいかない家だ。普通の姫が耐えられるだろうかと思っていた。
偽りのリリー姫のほうがノーラン家に相応しかった。
この事態を知ったジル・オーデインは激怒して、デイエルの館に数人の使用人を伴って捕縛に向かった。
しかし、館はもぬけの空だった。親戚や友人などを調査したが消息は知れなかった。
奇妙な沈黙の時が続いた。数か月後、深夜 事件が起きた。
シンの両親のいる別邸 本宅より贅を極めた館が、突然爆風とともに燃え上がったのだ。
良く考えての爆破だろうか? その深夜は強風が激しかった。 炎は瞬く間に燃え上がり他の館へも飛び火が舞い散った。
真珠の涙姫シーナは病で衰弱して寝室に寝たきりになっていた。生きているとは思えない。
屈強な護衛の男が、アレフを館から連れ出したが、朦朧とした頭を辛うじて支えて起き上がると、アレフの目の前には燃え上がる館があった。彼は顔面蒼白になり、護衛の男を突き飛ばし、再度炎の館へ戻った。
最愛の妻シーナを助けるためにだ。護衛の男は血相を変えて止めようとしたが何故か手が届かなかった。
アレフの姿は炎上する館の中に吸い込まれた。なす術もなく使用人たちはそれを呆然と見ていた。
蒼白になったり心配そうに成り行きを見守った。
火災のための用水路や、水をためる施設へいって、使用人や他の助けに来た人たちがリレーで水おけを運び、消火活動を必死で続けた。
だが火の勢いが強く、3日間燃え続けた。
やっと鎮火した後は、何も無かった。 贅を尽くした瀟洒な館。シーナのための館は跡形も無く消えていた。
煤けた木片。きな臭い匂い。 価値があるものは全て燃やされた後だった。
その中で、二人の遺骸が見つかった。お互いを庇うように息絶えていた。黒い焼けた遺体。
アレフとシーナの夫婦の遺体だ。それを見たシンは思わず子どものように半狂乱になった。
だが事態はさらに悪化した。アレフの館が燃えた時とほとんど同時に、ジル・オーデインの館に多くの軍のようなならず者たちが急襲したのだ。
勿論、ジル・オーデイン家には護衛もあり、防備は完璧だったが、それでも破壊と多くの犠牲者は免れなかった。
妹のアイシャも初めての敵の急襲に震えながらも、健気に立ち向かった。
ジルはアイシャを庇うように抱きしめた。アイシャはためらいがちにジルの服に縋り付いた。
長い長い戦闘の夜が続いた。 護衛達が戦う男が聞こえる。ジルとアイシャはそれを聞きながら応接間のソファで座っていた。
応接間の壁の裏には隠し通路がある。ジルはアイシャにそれをオーデイン家の妻として伝えている。いざとなったら逃げろと。
だがアイシャはジルから離れることはできなかった。
ジルが消えてしまいそうでアイシャは怖くて小さな手で懸命に縋り付いた。繋ぎ止めようとした。
アイシャはいつの間にかジルを愛していた。
「わたくしを捨てないて下さい。貴方様の元に置いてください。わたくしは・・。」
アイシャは一度もジルに愛を告げたことはない。だがこの禍の時だ。愚かな女の戯言と思ってほしい。
一度だけアイシャはジルに告げた。
「ジル様。愛しています。」
か細く確かにアイシャはジルの瞳を見て真実の愛を告げた。
ジルは僅かに表情を変えた。柔らかな表情だった。始めて見る。こんな夫の顔は。
ジルは唯、アイシャを愛おし気に撫でた。アイシャの金の髪を顔を丹念に撫でた。
ジルはアイシャを抱擁した。
「ジル様。愛しています。」
妻から初めて愛の言葉を告げられた。気丈な妻だ。
この死の間際に秘めていた心を言わずにはいられなかったのだろう。
妻の綺麗な心。純粋な心。美しい容姿。偽りなき真実の告白。
ジルは妻を最も美しいと思った。綺麗だと見惚れた。
ジルはかつてなくアイシャを心底から愛しいと思った。
ジルはこどものように嬉しかった。
ジルはなんとしてもアイシャと生き延びると誓った。そして敵に後悔するほどの報復を与えてやると思った。
ジルは決してアイシャを手放さなかった。
剣と剣が打ち合う男が聞こえる。悲鳴と断末魔の音も聞こえる。荒々しい足音が聞こえてきた。
この応接間の扉がバアンと壊れるほど開かれた。
敵か? ジルは剣をぬいて立ち向かった。
護衛の騎士隊長が息を荒げて、「ジル様。辛うじて狼藉者は倒しました。しかしまた追手がるかも知れません。
ジル様。安全なところへ退避しましょう。」と言った。
ジルとアイシャは頷いた。騎士長が用意した粗末な馬車が避難先まで目ただぬ様移動してくれた。
彼らは闇夜と同化して、森の中を、山の中を荒々しく駆けた。
避難先の館は小さくても綺麗な洋館だった。ジルとアイシャも安堵した。
彼らはしばらくこの館で逗留することにした。
ジルはアイシャを宥めながら、夫婦の儀式をした。死の間際の子孫繁栄本能だろうか?
アイシャの体がかつてなく欲しかった。アイシャはジルの高ぶった性器に頬を染めながらも、受けいれた。
そして能動的に、ジルの体に細い腕を巻き付け、腰を動かした。
いつも受動的なアイシャのはじめて能動的な姿だった。その姿はかつてなく妖艶でジルのための姿だった。
この女との子どもが欲しい。この男との子どもが欲しい。かつてなく夫婦の思いが一致した瞬間だった。
まるで一つになったような感覚だった。ジルはアイシャはかつてない至福を味わった。
かつてない神聖な快楽を味わった。夫婦はいつまでも交わっていたかった。
だが、酷い現実は容赦ない。
ジル・オーデイン家の被害は大きく、死傷者も多かった。その報告にアイシャも蒼白になりながら妻として聞き続けた。もう一つ。悪夢を知らせる使者が来た。
アイシャの両親。アレフとシーナが焼き滅ぼされたと・・。
シン・ノーランとリリー姫は生き延びたが、シンは両親の遺体を見て半狂乱になったと聞いた。
これには、気丈なアイシャも気絶した。
ジルは倒れたアイシャを寝室に運んで侍女に介抱しろと命じた。蒼白な妻の顔。衝撃で倒れた顔。
ジルは復讐の思いで業火のように憤怒に満ちていた。
リリー姫いや。リリーは罪を隠蔽して我が家の暗殺者用使用人として扱おうとシンは思った。
美しい容姿。幼児のような性格。アンバランスな彼女がシンは気に入っていた。
本物の姫など見たこともないし、残念だが運命なのだ。これはリリーが妻になれば済むことだ。
リリーの変容する髪や瞳が宝石の様でシンは見惚れていた。暗殺者としての腕もあるなんて素晴らしいとシンは思った。アレフ・ノーラン家は一筋縄ではいかない家だ。普通の姫が耐えられるだろうかと思っていた。
偽りのリリー姫のほうがノーラン家に相応しかった。
この事態を知ったジル・オーデインは激怒して、デイエルの館に数人の使用人を伴って捕縛に向かった。
しかし、館はもぬけの空だった。親戚や友人などを調査したが消息は知れなかった。
奇妙な沈黙の時が続いた。数か月後、深夜 事件が起きた。
シンの両親のいる別邸 本宅より贅を極めた館が、突然爆風とともに燃え上がったのだ。
良く考えての爆破だろうか? その深夜は強風が激しかった。 炎は瞬く間に燃え上がり他の館へも飛び火が舞い散った。
真珠の涙姫シーナは病で衰弱して寝室に寝たきりになっていた。生きているとは思えない。
屈強な護衛の男が、アレフを館から連れ出したが、朦朧とした頭を辛うじて支えて起き上がると、アレフの目の前には燃え上がる館があった。彼は顔面蒼白になり、護衛の男を突き飛ばし、再度炎の館へ戻った。
最愛の妻シーナを助けるためにだ。護衛の男は血相を変えて止めようとしたが何故か手が届かなかった。
アレフの姿は炎上する館の中に吸い込まれた。なす術もなく使用人たちはそれを呆然と見ていた。
蒼白になったり心配そうに成り行きを見守った。
火災のための用水路や、水をためる施設へいって、使用人や他の助けに来た人たちがリレーで水おけを運び、消火活動を必死で続けた。
だが火の勢いが強く、3日間燃え続けた。
やっと鎮火した後は、何も無かった。 贅を尽くした瀟洒な館。シーナのための館は跡形も無く消えていた。
煤けた木片。きな臭い匂い。 価値があるものは全て燃やされた後だった。
その中で、二人の遺骸が見つかった。お互いを庇うように息絶えていた。黒い焼けた遺体。
アレフとシーナの夫婦の遺体だ。それを見たシンは思わず子どものように半狂乱になった。
だが事態はさらに悪化した。アレフの館が燃えた時とほとんど同時に、ジル・オーデインの館に多くの軍のようなならず者たちが急襲したのだ。
勿論、ジル・オーデイン家には護衛もあり、防備は完璧だったが、それでも破壊と多くの犠牲者は免れなかった。
妹のアイシャも初めての敵の急襲に震えながらも、健気に立ち向かった。
ジルはアイシャを庇うように抱きしめた。アイシャはためらいがちにジルの服に縋り付いた。
長い長い戦闘の夜が続いた。 護衛達が戦う男が聞こえる。ジルとアイシャはそれを聞きながら応接間のソファで座っていた。
応接間の壁の裏には隠し通路がある。ジルはアイシャにそれをオーデイン家の妻として伝えている。いざとなったら逃げろと。
だがアイシャはジルから離れることはできなかった。
ジルが消えてしまいそうでアイシャは怖くて小さな手で懸命に縋り付いた。繋ぎ止めようとした。
アイシャはいつの間にかジルを愛していた。
「わたくしを捨てないて下さい。貴方様の元に置いてください。わたくしは・・。」
アイシャは一度もジルに愛を告げたことはない。だがこの禍の時だ。愚かな女の戯言と思ってほしい。
一度だけアイシャはジルに告げた。
「ジル様。愛しています。」
か細く確かにアイシャはジルの瞳を見て真実の愛を告げた。
ジルは僅かに表情を変えた。柔らかな表情だった。始めて見る。こんな夫の顔は。
ジルは唯、アイシャを愛おし気に撫でた。アイシャの金の髪を顔を丹念に撫でた。
ジルはアイシャを抱擁した。
「ジル様。愛しています。」
妻から初めて愛の言葉を告げられた。気丈な妻だ。
この死の間際に秘めていた心を言わずにはいられなかったのだろう。
妻の綺麗な心。純粋な心。美しい容姿。偽りなき真実の告白。
ジルは妻を最も美しいと思った。綺麗だと見惚れた。
ジルはかつてなくアイシャを心底から愛しいと思った。
ジルはこどものように嬉しかった。
ジルはなんとしてもアイシャと生き延びると誓った。そして敵に後悔するほどの報復を与えてやると思った。
ジルは決してアイシャを手放さなかった。
剣と剣が打ち合う男が聞こえる。悲鳴と断末魔の音も聞こえる。荒々しい足音が聞こえてきた。
この応接間の扉がバアンと壊れるほど開かれた。
敵か? ジルは剣をぬいて立ち向かった。
護衛の騎士隊長が息を荒げて、「ジル様。辛うじて狼藉者は倒しました。しかしまた追手がるかも知れません。
ジル様。安全なところへ退避しましょう。」と言った。
ジルとアイシャは頷いた。騎士長が用意した粗末な馬車が避難先まで目ただぬ様移動してくれた。
彼らは闇夜と同化して、森の中を、山の中を荒々しく駆けた。
避難先の館は小さくても綺麗な洋館だった。ジルとアイシャも安堵した。
彼らはしばらくこの館で逗留することにした。
ジルはアイシャを宥めながら、夫婦の儀式をした。死の間際の子孫繁栄本能だろうか?
アイシャの体がかつてなく欲しかった。アイシャはジルの高ぶった性器に頬を染めながらも、受けいれた。
そして能動的に、ジルの体に細い腕を巻き付け、腰を動かした。
いつも受動的なアイシャのはじめて能動的な姿だった。その姿はかつてなく妖艶でジルのための姿だった。
この女との子どもが欲しい。この男との子どもが欲しい。かつてなく夫婦の思いが一致した瞬間だった。
まるで一つになったような感覚だった。ジルはアイシャはかつてない至福を味わった。
かつてない神聖な快楽を味わった。夫婦はいつまでも交わっていたかった。
だが、酷い現実は容赦ない。
ジル・オーデイン家の被害は大きく、死傷者も多かった。その報告にアイシャも蒼白になりながら妻として聞き続けた。もう一つ。悪夢を知らせる使者が来た。
アイシャの両親。アレフとシーナが焼き滅ぼされたと・・。
シン・ノーランとリリー姫は生き延びたが、シンは両親の遺体を見て半狂乱になったと聞いた。
これには、気丈なアイシャも気絶した。
ジルは倒れたアイシャを寝室に運んで侍女に介抱しろと命じた。蒼白な妻の顔。衝撃で倒れた顔。
ジルは復讐の思いで業火のように憤怒に満ちていた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる