55 / 66
第7章 夢の終わり 真実の終わり
第3話 アレフ・ノーラン男爵視点
しおりを挟む
アレフ・ノーランは愛する妻シーナを得てから、夢のような幸福を過ごした。
一時は危惧したハリアン公爵へ愛娘ネリアを献上しても、ハリアン公爵の黒い噂で不安でならなかったが、幸いにもネリアはハリアン公爵の元で寵愛を一身に受けているらしい。
勿論、それを邪魔だと敵視している者も居るだろう。だがネリアは凛然とハリアン公爵の愛妾であり続けた。
まるでこうなるのが運命だったともいうように彼らは相応しかった。
寄り添う姿は本当に恋人そのものだった。
アレフはいつまでもそのままであってほしいと願った。
ネリアの熱情を帯びた恋する乙女の瞳、その表情を見る度に親としてはその幸福がずっと続いてほしかった。
そしてアイシャはあまり心配しなかった。アイシャは何故か自分でなんとか運命を切り開くような力をもった娘だった。器量もよく、包容力もある。どこか危ういネリアと違って、アイシャは良き道を選ぶ娘に思えた。
後にアイシャの夫が女嫌いで男色家と知った時は、この結婚は失敗だったかと落胆したが、どうもジルと言う男はアイシャを妻として気に入ったらしい。よくわからないが、男色家は女を愛せないものではないのか?
それが不思議で、アイシャに尋ねたら、「内緒にしてね。お父様・・。」アイシャは頬を染めながら、お姉様に閨の手ほどきを受け、服を着て女に見えないように、子作りの儀式をしたのだと。お姉様に言われて夫の奉仕もしたと娘の性の儀式を細かに教えられて、アレフは複雑な気分になった。
男の恋人もいるらしい。他にも愛人が居る様だ。
それがアレフに気に入らなかったが、今のところ、婚姻は上手くいっている。アイシャの努力の賜物だ。
やはり、アイシャは嘆く女ではない。自分の道を良くする女だ。
器量もあり親ながら溌溂とした清涼な女だと見惚れる時がある。これならジルという男も気に入るはずだ。
ジル・オーデインは魔術師の家系だ。力は十分に利用価値がある。同時にアレフ・ノーランも汚い仕事を請け負う家系だ。お互いに利用価値はあった。
最後の子ども。シンは今のところ上手く精悍に雄々しく成長している。ノーラン家の跡取りに相応しく成長して強い
男になりつつある。そろそろ婚礼を決める時期だ。これが終わったら、親としての役目はほとんど終えたことになる。婚約者選びは難航したが、やっと条件が合った適齢期の娘が見つかった。
シンはどうでもいい。と子どもさえできればどんな女でもいいと言った。シンはまだ恋をしたことがないらしい。
アレフは不思議に思った。 アレフとネリアは恋愛で婚姻したが、アイシャとジルは淡々と政略結婚を受け入れる性質らしい。
それが貴族として当たり前の選択らしいが、アレフはシーナと出会って世界が変わった。美しく生きていることに感謝するようになった。シーナといるだけで歓喜に満ちた人生を送ることができた。それが誰かを愛しく思うことなのだとアレフは解った。
ネリアもハリアン公爵と出会って愛を知ったのだろう。
どちらがいいのかは分らないが、シンも婚約者と良き関係を築く事を願った。
一時は危惧したハリアン公爵へ愛娘ネリアを献上しても、ハリアン公爵の黒い噂で不安でならなかったが、幸いにもネリアはハリアン公爵の元で寵愛を一身に受けているらしい。
勿論、それを邪魔だと敵視している者も居るだろう。だがネリアは凛然とハリアン公爵の愛妾であり続けた。
まるでこうなるのが運命だったともいうように彼らは相応しかった。
寄り添う姿は本当に恋人そのものだった。
アレフはいつまでもそのままであってほしいと願った。
ネリアの熱情を帯びた恋する乙女の瞳、その表情を見る度に親としてはその幸福がずっと続いてほしかった。
そしてアイシャはあまり心配しなかった。アイシャは何故か自分でなんとか運命を切り開くような力をもった娘だった。器量もよく、包容力もある。どこか危ういネリアと違って、アイシャは良き道を選ぶ娘に思えた。
後にアイシャの夫が女嫌いで男色家と知った時は、この結婚は失敗だったかと落胆したが、どうもジルと言う男はアイシャを妻として気に入ったらしい。よくわからないが、男色家は女を愛せないものではないのか?
それが不思議で、アイシャに尋ねたら、「内緒にしてね。お父様・・。」アイシャは頬を染めながら、お姉様に閨の手ほどきを受け、服を着て女に見えないように、子作りの儀式をしたのだと。お姉様に言われて夫の奉仕もしたと娘の性の儀式を細かに教えられて、アレフは複雑な気分になった。
男の恋人もいるらしい。他にも愛人が居る様だ。
それがアレフに気に入らなかったが、今のところ、婚姻は上手くいっている。アイシャの努力の賜物だ。
やはり、アイシャは嘆く女ではない。自分の道を良くする女だ。
器量もあり親ながら溌溂とした清涼な女だと見惚れる時がある。これならジルという男も気に入るはずだ。
ジル・オーデインは魔術師の家系だ。力は十分に利用価値がある。同時にアレフ・ノーランも汚い仕事を請け負う家系だ。お互いに利用価値はあった。
最後の子ども。シンは今のところ上手く精悍に雄々しく成長している。ノーラン家の跡取りに相応しく成長して強い
男になりつつある。そろそろ婚礼を決める時期だ。これが終わったら、親としての役目はほとんど終えたことになる。婚約者選びは難航したが、やっと条件が合った適齢期の娘が見つかった。
シンはどうでもいい。と子どもさえできればどんな女でもいいと言った。シンはまだ恋をしたことがないらしい。
アレフは不思議に思った。 アレフとネリアは恋愛で婚姻したが、アイシャとジルは淡々と政略結婚を受け入れる性質らしい。
それが貴族として当たり前の選択らしいが、アレフはシーナと出会って世界が変わった。美しく生きていることに感謝するようになった。シーナといるだけで歓喜に満ちた人生を送ることができた。それが誰かを愛しく思うことなのだとアレフは解った。
ネリアもハリアン公爵と出会って愛を知ったのだろう。
どちらがいいのかは分らないが、シンも婚約者と良き関係を築く事を願った。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる