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第6章 デイエル 統治者
第2話 更なる恥辱
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デイエルの恥辱はそれにとどまらなかった。
老人は、デイエルを後継者として養育しながら性奴隷のような汚辱に満ちた家の奴隷に飼いならされるような夜の調教を受けた。老人にとってデイエルは数多くの後継者候補にすぎなかった。
デイエルは老人にとって玩具にすぎず、老人の悪意と醜悪さに満ちた行為を続けるだけで反吐が出るようだった。
デイエルは甘かったのだ。
そしてデイエルより若く美しく能力のある少年が現われた。
その時にデイエルの中に邪悪なナニカが宿った。デイエルは少年を事故死させた。
老人も老衰死と医者とグルになって邪魔なものを抹殺した。でなければデイエルは唯の消耗品。玩具となり果ててしまう。その未来が予測できただけに彼はどうしても許せなかったのだ。
デイエルは偽装の遺言を天才犯罪者に頼み、専門家も本物とも間違える遺言をつくった。
勿論、事故死や老衰死に疑惑を抱くものもいただろう。だが迂闊に証拠もなく証言者もいないと犯罪は犯罪とならない。
不穏な噂の中、デイエルは望んた後継者の椅子を取った。
そして加担した仲間を側近として、老人の家に新しい風を吹かせた。
デイエルの鋭敏な先見の目。時代の流れに応じた領土の改革。小麦など飢饉に対する対策。あらゆる問題点を常に最悪の事態を予想して、対処策を用意していた。
デイエルは決して恵まれたものではなかった。だから慢心はせず、邪魔な敵を排除し続けた。
権力の座についてもデイエルは、心が休まらず戦い続けた。
しかし戦いこそが彼の望みでもあった。彼は思うままに生きて戦った。
一番親しかったジルとはすっかり疎遠になった。デイエルは理不尽にもそれを恨んでいた。
それがデイエルの野望でもあったが、喪失感はあった。
いとも簡単に心変わりをしたジルと見も知らぬ妻を彼は密かに恨み続けていた。
理不尽で傲慢で不条理だがこれがデイエルの卑しい本音だった。
その黒い思いは積もり積もって、ある日ジルとアイシャ夫婦に災難が降りかかった。
その話はまた後の話にしよう。
老人は、デイエルを後継者として養育しながら性奴隷のような汚辱に満ちた家の奴隷に飼いならされるような夜の調教を受けた。老人にとってデイエルは数多くの後継者候補にすぎなかった。
デイエルは老人にとって玩具にすぎず、老人の悪意と醜悪さに満ちた行為を続けるだけで反吐が出るようだった。
デイエルは甘かったのだ。
そしてデイエルより若く美しく能力のある少年が現われた。
その時にデイエルの中に邪悪なナニカが宿った。デイエルは少年を事故死させた。
老人も老衰死と医者とグルになって邪魔なものを抹殺した。でなければデイエルは唯の消耗品。玩具となり果ててしまう。その未来が予測できただけに彼はどうしても許せなかったのだ。
デイエルは偽装の遺言を天才犯罪者に頼み、専門家も本物とも間違える遺言をつくった。
勿論、事故死や老衰死に疑惑を抱くものもいただろう。だが迂闊に証拠もなく証言者もいないと犯罪は犯罪とならない。
不穏な噂の中、デイエルは望んた後継者の椅子を取った。
そして加担した仲間を側近として、老人の家に新しい風を吹かせた。
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その黒い思いは積もり積もって、ある日ジルとアイシャ夫婦に災難が降りかかった。
その話はまた後の話にしよう。
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