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第5章 女神ネリア
第3話 シン・ノーランの視点
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俺の姉。ネリアはカイト男爵と結婚して平凡な貴婦人の人生を歩むはずだった。
ネリアは不可思議な魅力を持っていた。幼く見えれば妖艶に見える時もあった。特定の良くない男を惹きつける魅力があることは俺も父親も見抜いていた。
だから父はカイトと結婚させて安定した幸福な生活をさせようとしたのだろう。
カイト男爵はネリアを愛してはいないが、ノーラン家の力を必要としているためネリアを大事にするだろう。
俺も父の判断には頷いた。
しかしカイト男爵家は上層部に不興をかって潰された。あまりにも唐突なことに父も俺も驚愕した。
結婚まであとわずかだったのに・・
俺は当惑しながらもカイト男爵家が何故潰れたか理由を調べようとした。
しばらくすると、密偵がためらいがちに報告した。
「上層部は、カイトとネリア姫との婚姻が不服だったようです・・ハリアン公爵はネリア姫を寵妃として迎えたいそうです。」
「半日もたたずに、ハリアン公爵から求婚の手紙を持った伝令が来ます。」
なんだと・・? ハリアン公爵?あの大権力を持つ公爵? ノーラン家も有数の権力を持っているがハリアンには叶わない。力の差が激しい。そのハリアン公爵がネリアを求めている・・だからカイト男爵家は潰されたのか?
俺は呆然と、権力の大きさを感じた。そして愕然となった。ネリアは危惧していた通り、良くない男を引き寄せた。
それも途方もない権力をもつ男に魅入られたのだ。
ネリアはハリアン公爵が自身を求めていると聞いて、妙に動揺しなかった。何故だ?と疑問に感じると、
「一度だけデピュタントで会った事がある。とても印象的な方だったわ・・。」
それだけでネリアはハリアン公爵に惹かれていることを悟った。
ネリアは一回だけの出会いでハリアン公爵に魅入られたのだ。彼女もハリアン公爵の魅力の虜になったらしい。
ネリアは危惧する父親の言葉を宥め、運命のようにハリアン公爵の寵妃となることを受け入れた。
彼女はまるで解っていたかのようにハリアン公爵の元へ行った。
俺はハリアン公爵の評判や素行調査を密貞に調べさせた。力の差が激しい家と関係を持ってカイト男爵家のようにある時、何かの不興で潰されはしないかと危惧してのことだ。
それは前妻の不審な死や、不興をかったものの末路。証拠はないが限りなく黒に近い所業が膨大にあった。
俺は恐怖に震えた。ネリアも玩具として弄ばれたら・・俺は不安でたまらなかった。
しかし俺の不安とは裏腹に、ネリアはかつてなく公爵の寵愛を受けていた。
不興をかわずに、ネリアは彼の愛を一心に受けていた。
それは当然のようにネリアは振舞っていた。ますますネリアは公爵の愛を受け美しくなっていった。
壮絶な妖艶さを見せるようにもなった。
相当な美貌をもつハリアン公爵に愛されるに相応しい寵妃だった。
夜ごとにネリアは公爵に愛でられている。それを気に入らない者達も多いがハリアン公爵が排除している。
ネリアはハリアン公爵の元で花開くように妖艶な女性になっていった。
そして蕩然と、彼を見つめる目は熱情と恋慕に満ちていた。愚かな恋人の顔だった。
ハリアン公爵は冷厳と姉の愛を受け止めた。
この寵愛がいつまでもつかわからないが、ネリアの心は既にハリアン公爵のものとなっている。
例え、ハリアン公爵が暇つぶしの玩具と余興を楽しむための女と思っているかもしれないと予想していても、姉はそれさえも受け入れているだろう。
姉の心は海のように広大だった。底知れなかった。
だからハリアン公爵のような偉大な方も受け入れられたのだ。
ネリアは不可思議な魅力を持っていた。幼く見えれば妖艶に見える時もあった。特定の良くない男を惹きつける魅力があることは俺も父親も見抜いていた。
だから父はカイトと結婚させて安定した幸福な生活をさせようとしたのだろう。
カイト男爵はネリアを愛してはいないが、ノーラン家の力を必要としているためネリアを大事にするだろう。
俺も父の判断には頷いた。
しかしカイト男爵家は上層部に不興をかって潰された。あまりにも唐突なことに父も俺も驚愕した。
結婚まであとわずかだったのに・・
俺は当惑しながらもカイト男爵家が何故潰れたか理由を調べようとした。
しばらくすると、密偵がためらいがちに報告した。
「上層部は、カイトとネリア姫との婚姻が不服だったようです・・ハリアン公爵はネリア姫を寵妃として迎えたいそうです。」
「半日もたたずに、ハリアン公爵から求婚の手紙を持った伝令が来ます。」
なんだと・・? ハリアン公爵?あの大権力を持つ公爵? ノーラン家も有数の権力を持っているがハリアンには叶わない。力の差が激しい。そのハリアン公爵がネリアを求めている・・だからカイト男爵家は潰されたのか?
俺は呆然と、権力の大きさを感じた。そして愕然となった。ネリアは危惧していた通り、良くない男を引き寄せた。
それも途方もない権力をもつ男に魅入られたのだ。
ネリアはハリアン公爵が自身を求めていると聞いて、妙に動揺しなかった。何故だ?と疑問に感じると、
「一度だけデピュタントで会った事がある。とても印象的な方だったわ・・。」
それだけでネリアはハリアン公爵に惹かれていることを悟った。
ネリアは一回だけの出会いでハリアン公爵に魅入られたのだ。彼女もハリアン公爵の魅力の虜になったらしい。
ネリアは危惧する父親の言葉を宥め、運命のようにハリアン公爵の寵妃となることを受け入れた。
彼女はまるで解っていたかのようにハリアン公爵の元へ行った。
俺はハリアン公爵の評判や素行調査を密貞に調べさせた。力の差が激しい家と関係を持ってカイト男爵家のようにある時、何かの不興で潰されはしないかと危惧してのことだ。
それは前妻の不審な死や、不興をかったものの末路。証拠はないが限りなく黒に近い所業が膨大にあった。
俺は恐怖に震えた。ネリアも玩具として弄ばれたら・・俺は不安でたまらなかった。
しかし俺の不安とは裏腹に、ネリアはかつてなく公爵の寵愛を受けていた。
不興をかわずに、ネリアは彼の愛を一心に受けていた。
それは当然のようにネリアは振舞っていた。ますますネリアは公爵の愛を受け美しくなっていった。
壮絶な妖艶さを見せるようにもなった。
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この寵愛がいつまでもつかわからないが、ネリアの心は既にハリアン公爵のものとなっている。
例え、ハリアン公爵が暇つぶしの玩具と余興を楽しむための女と思っているかもしれないと予想していても、姉はそれさえも受け入れているだろう。
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