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第5章 女神ネリア
第1話 寵愛
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ハリアン・クリス・クリステル公爵は、表面上はちゃんと表情は豊かに見えても内心は動じない心を持つ無感動な気質を持っていた。わずかに興味があるものをみつけてもすぐにふっと蝋燭のように消えていくのだ。
ハリアン公爵は退屈だが、これが俺の気質だから仕方がないと思っていた。息子などつくったら、親の情とか何か芽生えるかと思ったが、石のように何も感じなかった。
彼は僅かに失望していた。つまらぬつまらぬと彼は、絶望的な退屈を味わっていた。
時折、恋人や仲のいい親子や夫婦を互いに殺し合わせたり、二人の子どもを一人だけ助けてやるから一人を見殺しにしろと悪魔の選択をある無力な母親に迫ったことが或る。
母親は、暴力的な兵士に脅えながら既に息絶えている父親の遺骸を見ながら震えながら片方の子どもを助けた。
もう一人の子どもはすぐに殺された。
後は、母親と一人の子どもだけが残された。呆然とこの凶行を見ている子どもと、選択してしまった母親は俯いていた。
彼らの後の人生がどうなるか考えただけでも愉快だった。その時だけは楽しかった。面白かった。
それも束の間、醜悪な喜びを感じてもかれはどこか無機質だった。
ハリアン公爵は全てを得ている恵まれし者と謳われるほど、英知、名誉、地位、権力、美貌 溢れる力を持っていた。
代償は途方もない虚無と退屈だろう。
そんな彼もお気に入りの玩具を見つけた。
アレフ・ノーラン家の長女 海の女神と謳われるほど声が美しい姫と社交界では有名だった。
艶のある茶色の髪、海のような青い瞳、赤い唇 貴族の娘だが娼婦のように妖艶だった。
母親は歌姫だったらしい。なるほど、母親によく似たのだな。
彼は興味を引いた女を手を出した。
彼女は予想以上に、男の愛欲を掻き立て、海のように満たす快楽の女神だった。
彼女のやわらかな肢体や美しい声は男を全て悦ばせるものだった。
彼女がハリアンに惹かれているのは感じていた。
それを心地よく思っているのは確かであった。彼女の体の中にいつまでも男根をうずめたかった。
ハリアンは快楽と心地よさをすべて満たしてくれる女神に出会った。
彼女といると、虚無と無感動な心も枯れた地に水をを潤すように満たされていくようだった。
ハリアンは彼女を手元にずっと置きたかった。
彼女の体にずっと触れていたかった。
女神の名前はネリアと言った。
彼女は当然のように、ハリアンに委ね彼の寵妃となった。
ハリアンには正妻がいた。同じ公爵家に生まれただけはあって気位は高く高慢であった。
ある男性にとっては好みの嗜好に入ろうが、どれほど美貌であろうと、聡明であろうと 気高くあろうと心動かなければ、ハリアンにとって価値はない女だった。
正妻にとっては屈辱だったろう。公爵家の絶世の美姫として生まれ、聡明で教養深かった。
正妻にとって間違いだったのはハリアン公爵の美貌に惑わされて政略結婚を承知したことだ。
聡明な彼女は彼の悪魔的な本性を悟って、危険を感じたのだろう。
彼女は間もなくして婚姻破棄を願い出た。これが二回目の彼女の過ちであった。彼女は危険を悟ったらすぐに父親か後見人の親戚に頼るべきだったのだ。黙って逃亡すればまだ助かったかもしれない。
しかし、ハリアンは彼の悪魔的な本性を見破り、悪行を暴露する可能性がある女を逃すつもりはなかった。
ハリアンは正妻を性的暴行をし、息子を孕ませた。美しい顔がボールのように腫れ上がって目がつぶれている様を見るとハリアンはかすかに満足した。生贄を飲み干した気分だった。
彼女は、半死半生のまま、子どもを孕み、息子を産ませ、毒を飲ませて止めを刺した。
哀れな壊れた人形。正妻はそのようにしか見えなかった。あるのは ハリアンによく似た無表情な赤子だけだった。
正妻の死は病死、出産の死として片づけた。
それを疑惑の目で見ているのは、正妻の父親か、正妻を慕っていた男ぐらいであろう・・
だが証拠はない。さぞや悔しがっていることであろう。彼は嘲笑した。
ネリアはハリアンにとってはじめて愛おしいと思った寵妃だった。
いつまでもずっと交わっていたかった。ハリアンはネリアを一生手放すまいと決めていた。
ハリアン公爵は退屈だが、これが俺の気質だから仕方がないと思っていた。息子などつくったら、親の情とか何か芽生えるかと思ったが、石のように何も感じなかった。
彼は僅かに失望していた。つまらぬつまらぬと彼は、絶望的な退屈を味わっていた。
時折、恋人や仲のいい親子や夫婦を互いに殺し合わせたり、二人の子どもを一人だけ助けてやるから一人を見殺しにしろと悪魔の選択をある無力な母親に迫ったことが或る。
母親は、暴力的な兵士に脅えながら既に息絶えている父親の遺骸を見ながら震えながら片方の子どもを助けた。
もう一人の子どもはすぐに殺された。
後は、母親と一人の子どもだけが残された。呆然とこの凶行を見ている子どもと、選択してしまった母親は俯いていた。
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それも束の間、醜悪な喜びを感じてもかれはどこか無機質だった。
ハリアン公爵は全てを得ている恵まれし者と謳われるほど、英知、名誉、地位、権力、美貌 溢れる力を持っていた。
代償は途方もない虚無と退屈だろう。
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彼は興味を引いた女を手を出した。
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彼女がハリアンに惹かれているのは感じていた。
それを心地よく思っているのは確かであった。彼女の体の中にいつまでも男根をうずめたかった。
ハリアンは快楽と心地よさをすべて満たしてくれる女神に出会った。
彼女といると、虚無と無感動な心も枯れた地に水をを潤すように満たされていくようだった。
ハリアンは彼女を手元にずっと置きたかった。
彼女の体にずっと触れていたかった。
女神の名前はネリアと言った。
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ある男性にとっては好みの嗜好に入ろうが、どれほど美貌であろうと、聡明であろうと 気高くあろうと心動かなければ、ハリアンにとって価値はない女だった。
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しかし、ハリアンは彼の悪魔的な本性を見破り、悪行を暴露する可能性がある女を逃すつもりはなかった。
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