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第4章 アイシャの章
第1話 婚約者探し
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お姉様が公爵の寵妃になって1年がたった。お姉様は公爵に深く寵愛されてあまり外出できないようだった。
まあ、深窓の令嬢と言うのはそういうものだが、わたくしは、余り公爵が好きでなかった。
あの綺麗な優しいお姉様をいくら公爵という高い身分とはいえ、愛人という位にお姉様を置いた。
カイト男爵となら正式にお姉様は正妻となったであろうに・・
それが子ども特有の潔癖さであろうが、わたくしには気に入らなかった。
わたくしはどうも殿方が自由に花姫を選び、女が選べないのが少し不愉快だった。
女に選ぶ権利は少ない。才能がある女や運が強い女は、時に男をも凌ぐほどの能力を見せるが、悲しいがなわたくしは凡庸な女だった。お金はありあまるけど、お父様が有力者なだけの娘だ。
不愉快だが、わたくしは同じ階級の家の正妻になりたかった。
愛人はいつ見放されるかわからない不安定な身分だ。相手の寵愛が薄れたら、消え去るだけの儚い栄誉と身分だ。
お姉様はどこか底知れないところがあるから、死ぬまで侯爵に寵愛されるかもしれないが、未来は不確定だ。
わたしは凡庸な女らしく安定を求めた。
デピュタントまであと数年だ。その間にわたくしはお父様にわたくしを同じぐらいの階級の殿方の正妻にしてとお願いをした。
お父様はわたくしの願いを聞き届けて下さった。
お父様のところにはたくさんの手紙と小さな肖像の絵が届けられた。
わたくしとの求婚相手の絵だ。
どれも似たりよったりに見えてわたくしは困った。
お父様はそんなわたくしを見て複雑な表情をした。
今、思えばお父様はわたくしの幼稚さ、幼さを危うく思っていたのだろう。
どれも同じに見えるとわたくしがいうと、お父様はお前には結婚は早いのではないか・・と呟いた。
わたくしはお父様の意向に反発した。今思えばお父様が正しかったけどこの時のわたくしは唯、安定を求めて婚約者を探していたのだ。
わたくしはお母様がお父様をお父様だから愛したのだと言うことがよくわからなかった。
特別な人。大好きな人。わたくしはまだ殿方にそんな思いは抱いたことがなかった。
わたくしはお母様やネリアお姉様のきもちがわからなかった。
お父様の危惧とお母様が言った事は後に悪夢として現れた。すべてはわたくしの未熟さと幼稚さ故に起こった事件だった。
わたくしは後に後悔することになった。その話はまた後にしたいわ。
まあ、深窓の令嬢と言うのはそういうものだが、わたくしは、余り公爵が好きでなかった。
あの綺麗な優しいお姉様をいくら公爵という高い身分とはいえ、愛人という位にお姉様を置いた。
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女に選ぶ権利は少ない。才能がある女や運が強い女は、時に男をも凌ぐほどの能力を見せるが、悲しいがなわたくしは凡庸な女だった。お金はありあまるけど、お父様が有力者なだけの娘だ。
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デピュタントまであと数年だ。その間にわたくしはお父様にわたくしを同じぐらいの階級の殿方の正妻にしてとお願いをした。
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お父様のところにはたくさんの手紙と小さな肖像の絵が届けられた。
わたくしとの求婚相手の絵だ。
どれも似たりよったりに見えてわたくしは困った。
お父様はそんなわたくしを見て複雑な表情をした。
今、思えばお父様はわたくしの幼稚さ、幼さを危うく思っていたのだろう。
どれも同じに見えるとわたくしがいうと、お父様はお前には結婚は早いのではないか・・と呟いた。
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