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第3章 運命の輪
第14話 過去の私とわたし
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わたしは、ハリアン公爵と激しい情交を交わして、過去の私が完全にわたしと同化しつつあるのを感じていた。
貴族の娘ネリアであり娼婦の娘。名前はまだ思い出せない。
わたしは、彼に対するわずかな恨みと激しい情愛と欲望に満ち溢れた。
悔しいが彼は本当に魅力的な恋人だった。
わたしは再び、彼に惹かれ彼に恋をした。わたしは今度こそ彼を裏切らないように誓った。
そうすれば彼は優しいフリをしてくれるだろう。偽りとはいえ彼はわたしには不相応な魅力的な存在だった。
下らぬ虚栄は捨てよう。ちっぽけな自尊心が何になるだろう。 過去は忘れよう。
わたしは、ハリアン様・・と切なげに愛おし気に恋情の目を浮かべ、悦びの声音を囁いた。
ハリアン様と情交を交わすと、気持ちいいと呟いた。
素直に子どものようにハリアン様に真実を告げた。
ハリアン様とずっとこうしていたい。初めてです。こんな感覚は・・
今生では本当にこれが初めてだった。
ハリアンも喜悦を浮かべて、わたしを極上の獲物と見た。彼の心境はわからない。唯、わたしがこどものようにありのままに彼にいうと、彼は征服欲や何かか満たされるようだった。
わたしは彼がわたしに飽きるまで彼の傍にいようと誓った。
彼のような人。かれはどこか人離れした感性と魂を持っていた。わたしはだから彼を許せたのかもしれない。
下賤な娼婦の娘の時代から薄々感じていた。彼は高位の魂を持った人ではないのか?
間違って人間に生まれてきたんじゃないのかと疑っていた。
ちっぽけな自尊心のみで生きていた惨めな娼婦の私は彼に溺れたが、やはり怖くて弱いから、彼を裏切った。
彼のような人と交わったのが不思議でたまらない運命だった。
そして今こうして、再び情交をかわすのも不可思議だった。神様はわたしにやり直しをしろと言っているのだろうか
彼を満たし悦ばせる存在になれといっているのだろうか?
それに異存はない。わたしと彼の未来はどうなるのだろう・・わからない。 前世のように殺されるのだろうか。
だがわたしは勇気をもって彼を深く抱擁した。
わたしの高鳴る鼓動を感じただろうか?
まるで光も差さない深海を漂っているような気分だった。
わたしは正式にハリアン公爵の寵妃という愛人になった。
他者はわたしをあの獰猛なハリアン公爵にかつてなく寵愛されたネリア妃と呼んだ。
それは真実だ。しかしわたしにとってはこの幸福は夢のようであり、薄氷を踏むようなものであった。
わたしは彼を愛している。でも彼は私を征服欲を満たしてくれるモノとして重用している。
わたしと彼の愛は多分違うのだろう。前世で色々分かったことが今生でどんどん彼と共にするたびに嗚呼唯、違うのだとすんなりと受け入れられた。
わたしは全てを受け入れることにした。
貴族の娘ネリアであり娼婦の娘。名前はまだ思い出せない。
わたしは、彼に対するわずかな恨みと激しい情愛と欲望に満ち溢れた。
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下らぬ虚栄は捨てよう。ちっぽけな自尊心が何になるだろう。 過去は忘れよう。
わたしは、ハリアン様・・と切なげに愛おし気に恋情の目を浮かべ、悦びの声音を囁いた。
ハリアン様と情交を交わすと、気持ちいいと呟いた。
素直に子どものようにハリアン様に真実を告げた。
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間違って人間に生まれてきたんじゃないのかと疑っていた。
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それに異存はない。わたしと彼の未来はどうなるのだろう・・わからない。 前世のように殺されるのだろうか。
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わたしは全てを受け入れることにした。
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