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第3章 運命の輪
第3話 アレフ・ノーラン男爵視点
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麗しき我が妻は年齢不詳のまま、美しく光に溶けるような金髪を後頭部に結い上げ、真珠の髪飾りで光輝くように見える。白い顔 青い瞳は人形のように澄み切って美しい・・
男爵夫人に相応しい清楚だが高貴に見えるドレスはよく妻に似合っていた。
夫の贔屓目に見ても妻はかなりの極上の女だ。
そして妻と俺に似たネリアは俺の髪色 茶色をより美しく艶やかにして妻と同様に真珠の髪飾りで結い上げている。
青い瞳は妻と同じだがどこか光差さぬ影を感じる。
何故、決して幼少は辛い目に合った我が妻より、恵まれた幼少時代を送ったはずの娘は、大人に見えるのだろう。
精神年齢が逆の様だった。妻はまるで少女のように無垢で、娘はどこか老成した影を感じる。
ネリアは美しいがどこか底知れないところがある娘だった。
勿論、娘が母親や家族に害なす異物とはみていない。
唯不思議な母娘だったのだ。まるで娘が母親を見守っているようであった。
ここ王国では原色の高級な衣装は階級が高い人公爵以上の専用であった。
だから、男爵令嬢のネリアは淡い水色のドレスを着ている。真珠の首飾りがネリアには良く似合った。耳飾りも真珠で、母娘とおそろいにした組み合わせは微笑ましい。
アレフ・ノーラン男爵家は上層部の汚い任務を請け負う一族でもある故、危険な任務程莫大な報酬をもらっている。
いわば暗部である。
貴族の末端とはいえ、裏では上層部に多大な影響力を与えている。
アレフ・ノーラン家を知っている者はそうそう声をかけないだろう。
暗殺者や復讐者を生み出す一族でもあるからだ。
妻は始めて見る舞踏会に頬を染めて、嬉し気に子どものように目を輝かせて楽しんでいた。
嗚呼・・妻が喜んでくれて嬉しい。でも妻よ。ここは危険なところでもある。獣がいつ餌を喰おうかと計略を立てている場でもあるのだよ。
ネリアは母を困ったように見ていた。手慣れたしぐさで赤いワインカクテルを二つ持ってきた。
母は飲めないので葡萄ジュースだ。赤いワインに見えるだろう。
「ネリアよ。飲めるのか?」
「ええ。お父様。いいでしょう。この時ぐらい・・。」
ネリアは猫のように目を細めて美味しそうに赤いワインカクテルを飲んだ。その様子は妖艶だった。
ほのかに目元に酔いの赤が見えた。
見知らぬ女のようだ・・まじまじとアレフは興味深く娘を見た。
妻は極上の女だが、ネリアはある特殊な性格をもった男たちに激しく愛される女かも知れない・・
父は、ネリアの将来を思った。ネリアよ。父としては幸福な平凡な結婚をしてほしい。
何故ならそれが一番難しい事でもあるからだ。
アレフは父は、同じ男爵家から適当な男を見繕うと思った。
ネリアの魔性に気づかない鈍感な男が良いだろう・・とも考えた。
男爵夫人に相応しい清楚だが高貴に見えるドレスはよく妻に似合っていた。
夫の贔屓目に見ても妻はかなりの極上の女だ。
そして妻と俺に似たネリアは俺の髪色 茶色をより美しく艶やかにして妻と同様に真珠の髪飾りで結い上げている。
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何故、決して幼少は辛い目に合った我が妻より、恵まれた幼少時代を送ったはずの娘は、大人に見えるのだろう。
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勿論、娘が母親や家族に害なす異物とはみていない。
唯不思議な母娘だったのだ。まるで娘が母親を見守っているようであった。
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嗚呼・・妻が喜んでくれて嬉しい。でも妻よ。ここは危険なところでもある。獣がいつ餌を喰おうかと計略を立てている場でもあるのだよ。
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