水底の恋 天上の花

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第1章 よく或る娼婦の話

或る父親の後悔

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或る父親は海のように後悔していた。
父親は、貴族としての誇りと名誉を重んじ、弛まぬ努力と領地の維持と領民の保護と処罰に努めた。
それが貴族としての義務だったから、権利として一番弱者である娼婦や、孤児というものは放置した。
時には、下劣な貴族とも呼びたくない奴らが一番権利のない女や子供を標的に狩ったり、犯したり悪行を行っていることは知っていたが放置していた。答えは簡単だ。煩わしかったのだ。
彼は貴族としての名誉を重んじていた。神は全てのものに平等と協会は綺麗ごとを言うが、彼は全く信じていなかった。才能ある者は平民であろうが利用価値があれば重用したが、価値がなくなるとすぐに処分した。

それが彼の貴族としての生き方だった。
しかし政略結婚とはいえ、若く慎ましく美しい妻を得て、父親は僅かに鋭利な剣が鞘に収まったように柔らかくなった。美しい妻は心根も優しく、鋭利な父親の心さえも安らぎで包んだ。
少しずつ彼らは夫婦として愛を育てていった。
献身的に妻は、貴族の妻として恥じぬよう、懸命に務めた。
彼女は、あまり社交には慣れていなかったが、これも貴族の外交の務めと分かり、できる限り人脈と派閥を把握し、どの勢力が伸びるか、どの勢力がつぶれるか理由などを社交界で情報を集めた。玉石混交の情報だらけだったが、彼は妻の献身の証として受け取った。

情報は密偵を内密に各領土に配置し、いつでも真偽を知れるようにしているが、妻の情報もなかなか侮れぬものであった。
特に貴婦人の流行や、貴族の流行、庶民の流行に沿った商品など、時代の流れに妻は鋭敏で、大きな利益になりそうなものは確保していた。
貴族と言えども、領土の維持、領民や使用人を養うには莫大なお金を要する。それと技術や、最先端の感性も必要だ。古いスタイルも必要だが、時代遅れになって、笑いものになってはいけない。
今は、平民も台頭の時期に入っている。
隣国では、才能ある平民や子供を教育して忠実な兵士や使用人に育てあげる制度もあるようだ。
昔は、魔女狩りもあった。その中には才能ある女も子どもいただろう。残念ながら彼女らには運がなかったのだ。
その魔女狩りに加担した人は我が一族の先祖もいたらしい。
今思えば随分と酷いことをするものだと文献を見ながら子ども心に思ったが、その時代では必要な事だったのだろう。時代とは何なのだろう・・
彼は貴族でなかったら歴史学者にもなりたかった。
しかし運命は彼を貴族として或る領主として領土を収める父として育てた。
彼の人生は順調だった。時には敵を容赦なく葬り、強き父として生きた。
しかしその彼にかすかな影がさしたのは、妻のあまりにも若い死であった。

妻は心労がたたって、体を壊し病につき僅か数か月で天へと召された。
元々頑丈ではない体で、限界まで献身的に尽くしたのだ。これには流石に強い父親もかなりの衝撃を与えた。
最大の味方である妻が消えたのだ。妻の最期の言葉は「子供たちを頼みます。愛しき夫よ。」
それだけだった。それだけだが、夫への子どもへの深い愛情は解った。
妻が死んだ時だけ、夫は声をあげて泣いた。
妻が生んだのは、妻によく似た優しい長兄。自分によく似た末弟。彼らは父親をよく理解し、同時に父親も2人の我が子をよく理解した。彼らはまぎれもなく家族だった。
しかし、妻が生んだのはもう一人いる。次兄である我が息子。
彼は妻の面影をもっていたが妻以上に美しく、どこか残忍な気性をもっていた。
一番貴族らしい面があった息子は酷薄な面があり、どんな哀れな者にも一欠けらの情もみせなかった。

貴族の悪しき面を持った次兄をどこかで父親は疎んじた。
嫌な面、醜悪な面 負の面、貴族としての闇をどこかで彼は背負っていた。獣の本能で父はそれを直感していた。

幼きころから、次兄は女との遊戯に浸った。お気に入りの女を見つけては貪っていた。
しかし、どんな女も最後には悲惨な目にあっていた。寵愛に調子になった愚かな女は、次兄の不興をかい、獣の餌にされた。それを酷薄な笑みで眺めている次兄は誰よりも貴族的で神のように超然としていた。


時には、強き父親でさえも慄然とさせるほど酷薄で人として何かが足りない心を持った次兄だった。
まるで悪魔の様だった。

それでも、才能だけは有り、表向き彼は貴族の息子として振舞った。
影では、無惨な犠牲者がいた。唯、彼の目障りとなっただけで犠牲になった人は密かに数知れず増えていった。
それでも父親は無視をした。才能だけは有るのだ。
今までは弱者を狙っていたからいい。父親も貴族らしい感性と考え方を持っていた。
弱い者は見逃されているし生かされていたに過ぎない。
あの息子に出会ったのが運の尽きよと父親はどこか他人事に思った。

そんな息子がある日、ある時変わった。
何事かと思ったが、息子にとって運命の女が現われたらしい。どのような令嬢かと思わずも詮索せずにはいられなかったが、後に一介のとるに足らない娼婦に過ぎないと密偵に言われて彼は、思わず何の悪戯だと言わずにはいられなかった。よりにもよって下賤な娼婦にあの息子が溺れ切っただと。

悪魔を誑かす女はどんな毒婦か?

思わず、汚い娼館に密かに父親は目立たない馬車で赴いた。
やり手の女将に十分に口止め料の金貨を与えて、息子が夢中になっている娼婦との面会をした。
拍子抜けした。
まるで子供のように痩せた顔と華奢な身体。 どこか幼げな顔立ち。醜くはないが地味な顔立ちだ。
年齢不詳の女。子どもの様でもあり異様に年老いた女の様でもある。
どこか怯えた子どものように父を頼りなげに見る女は想像していた毒婦ではなかった。
唯の女だった。
よほど相性が良かったのか?

父親は下劣な妄想をした。それは正しかった。
オロオロと頼りなげに儚げに見る娼婦は、子供の様であった。
まるで生贄の羊の様であった。哀れで痛ましい何かを感じた。

父親は獣の直感で、嗚呼この女はあの悪魔の犠牲者の一人になるだろう。
この女は無知で唯恋をした愚かな女だ。相手が悪すぎることに気づいていない心の盲目の女だ。

父親は無性に可哀相にと埒もなく哀れみを抱いた。
父親は、女に最後の救いを与えようと思った。女よ。そなたが恋をした男は悪魔だと言ってやりたいが、それは女が気づくことだ。父親はそろぞろ次兄にも政略結婚させようと以前から思っていた。それも唯の結婚じゃない。悪魔を監視する結婚だ。相手の花嫁は犠牲者にはならない強かな悪魔より強い女や、その女の強力な親が必要だ。
父親は獣の本能で、いつかあの悪魔は災いを呼ぶだろう。その時手に負えるだろうか?
協力者が必要なのだ。

残念だが、そなたでは犠牲者にしかならぬ。

「そなたは我が息子と付き合っているな。即座に別れよ。これは父としての命令だ。息子は政略結婚させる。
相手ももう見つけている。そなたは身の程を知り、密かに暮らせ。」

父親は最大の恩赦を与えるつもりで別れを命じた。

しかし愚かな子どものような女には別れという恩赦が通じなかったらしい。
衝撃を受けた顔で、女は震えながら申し訳ありません。夢を見ました。あの方といるとあたしは光の中にいるように楽しくて・・あの方といると夢の様でした。あの方は優しくて・・あたしはずっとあの方といたかった。

女は泣きながら謝り続けた。

優しい?あの悪魔が? あの悪魔はこの女には仮面をつけていたらしい。
優しい恋人としての仮面を。父親は呆れてものもいえなかった。


女の運命をどこかで悟りながらも、父親は汚い娼館を去った。
これがあの女の運命だったのだ。気づかなかったそなたが悪いのだ。女よ・・

父親は馬車の中で首を振りながら呟いた。どこか感傷的な気分だった。

しばらくして女は無惨に殺されたと密偵から報告があった。それも女は正直に恋人の父親に別れろと言われて、私は邪魔だから別れた方が良いと息子に言ったらしい。

愚かな愚かな女よ。そなたはあまりにも息子を知らなさ過ぎた。

息子は罰として、悪質な男に女を与えて輪姦させたらしい。女はぼろぼろになって海へ沈められたらしい。
「ユルサナイヨ」それが息子の女に囁いた最後の一言だったらしい。
密偵は、笑っているのかとも思い、息子の顔を陰ながら凝視した。
意外にも、どこか無表情で寂しげな顔だったらしい。

あの男にも人として思う女がいた様だ。
今までの犠牲者とはどこか様子が違った。

密偵はありのままを伝えた。その真実にひやりと父親は嫌な予感がした。もしかしたらあの女はあの悪魔を人にさせる唯一の女だったかもしれない。
女を失った息子は、それも己の手で無惨に殺した息子はどうなるのだ。
まさかもっと・・

嫌な予感は当たった。息子の酷薄さと残忍さと残虐性が花開くように暴走した。
政略結婚した息子はしばらくその牙を収め、しばらくは普通の貴族として過ごしていた。
数年後、彼らの監視の緩みを見計らい、息子は密かに結婚相手の妻と授かった赤ん坊を100回も、小さい刀で手に命を実感できるように、毒で麻痺させた体を横たわせ、微笑みながら顔を切り刻んた。愛らしい赤ん坊は呻きながら死んでいった。妻は泣きながらそれを見届けた。
笑いながら、知っているよ。君らはお父様がつけた監視者や協力者だね。馬鹿だね。
君らごときで、僕を抑えつけられるものか。ナアニ。赤ん坊で僕が普通の人間のように絆されると思った?
馬鹿だね。君らは邪魔な生き物に過ぎないのに。僕にとっては。
そうだね。体の具合は良かった。あの女ほどではないが・・

君たちとお父様のせいだよ。あの女の自業自得のせいでもあるけどね。僕は殺したくなかったけど、可哀相だけど
罰として僕が一番愛した女を壊さなきゃいけなかった。あの女の弱さを許せなかったし、それは後悔していないけど
どこか寂しいんだよ。あの女は僕の一部をもぎ取っていった。
あの女は僕を愛していた。恋していたのに、弱くて怖くて別れようとした。ユルセナイよ。僕に対しての最大の裏切りだ。僕に恋をし、愛したくせに怖くなるなんで・・
ずっと居てやろうかと思ったのはあの女だけだったのに。

妻は悪魔と結婚し、子を成したことを激しく後悔しながら死んでいった。妻は息絶える前に、お前の父親が必ず殺す
私の父親も母親も必ずお前を許さないだろう。必ず処罰を受けるがいい。
お前は必ず無惨な死を遂げるのよ。

妻は夫を呪いながら死んでいった。
夫は笑い転げながら、妻の子の無残な末路を見届けた。面白い面白い。愉快だった。

さよならと悪魔は微笑んで飛翔した。
捕まるまでに多くの人を殺し続けようと彼は誓った。
息子は完全な悪魔となった。

娘と孫を殺された母親と父親は、義理の息子となった前夫を憤怒と復讐の思いで、あらゆる手勢を集結し追跡した。
しかし、悪魔はその上をいっていた。悪魔はとある犯罪組織の一員となっており、悪魔は悪の才能を花開かせた。
麻薬や兵器。最先端の人を殺す武器。すべてが人の死と繋がる仕事をした。
悪魔を崇拝する信者も数多くおり、狂信者が追跡隊や暗殺者を阻止し、罰していた。

悪魔は不思議と捕まらず死ななかった。
それから50年以上悪魔は無数の数知れない犠牲者を出した。それは他の犯罪組織も危惧するほど、膨大で残虐で残忍だった。理解できぬほど殺し続ける狂信者と神がいた。
狂気の王国はずっと骸を出し続けた。

しかし最期は呆気なかった。 悪魔と呼ばれ神とも呼ばれた息子は、原因不明の病で倒れた。
不思議とその顔は清らかで美しかった。

悪魔の遺体を八つ裂きにしようとする勢力もいたが、狂信者は密かに遺体を聖遺体として隠した。
あまりにも理解できない殺戮者であり才能にもあふれていた息子は正に人外ともいわれる者であった。

息子はやはり貴族の闇を背負ったものであったのだ。
父親はそれを深く実感していた。

息子が刻んた爪痕は長く長く王国や他の領土さえも蝕んでいた。

或る父親は深く後悔していた。監視など生温かった。もっと早く子供のうちに殺しておけば良かったと海のように深く後悔して心労のあまり倒れた。もしくはあの娼婦を生かして、息子の裏の顔を知らせず、優しい恋人同士のまま付き合わせておけばよかったと海のように深く後悔した。

父親はあの時、あの時と呟きながら呻きながら息絶えていった。

長兄と末弟は沈痛な顔で父親の死を見届けた。
彼らも悪魔の阻止をできなかった敗残者だ。悪魔が死ぬのを唯、神に祈るしかなかった。


なるほど確かに神は平等だ。人間は必ずどこかで残酷な運命を味わう。

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