いびつな人形

栗菓子

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第1話 神話

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古代の神はもうずっとそこにいた。膨大な力をもって、どこにもいない空間で微睡んでいた。

ずっとずっと胎児のように深い眠りについていく神がいかなる奇跡が起こったのか、覚醒が数度あった

覚醒し、全ての世界の在り様を知った古代の神は、なにを思ったかわが子 人間を創造し始めた。


はじめは丁寧に念入りに精緻な人形を作る様に特別な力を宿した泥で貴人を創り続けた。

貴人たちが100人を超えたころ、神は飽きた。

あくびをかいてうつらうつらと眠りの神に誘われて、深い眠りに入る前に神は貴人たちに言った。

『この世界はおまえたちのもの。おまえたちがどうするかはすべては自由だ。』

『後の人間はおまえたちとは異なる泥人形。 凡愚なものばかり。奴隷にでもして使役せよ。』

古代の神は寵愛の民と使役の民を創った。

恵まれし者はそれを陶然と受け入れたが、 中には僅かに思うところがあった寵愛の民も居た。

『同じ神から作られた者であるのに、同胞ではないのか?』

神の不条理さと理不尽と残酷をほのかに感じた民たちはかすかな反発の芽があった。

だが寵愛された民は、力に満ち溢れ持てるものだった。 

反面奴隷は無力で魅力がなにもなかった。 持たざる者だった。


疑問に思っても、持てる者である限り、この優遇された身を貶めたくなかった。

そうやって世界は貴人の中の貴人 王と 奴隷  そのほかの貴族で回るようになった。

中には傲慢な貴人によって壊された奴隷は膨大だった。

気に入らない。 気持ちが悪い。 やつあたり 負の感情のはけ口として犠牲になった奴隷たちは星の数だけあった。

凡愚でとるに足らない価値のないものだからそれに相応しい扱いと彼らはいつのまにか傲慢に醜悪にそう思うようなった。

王国は麗しき貴人たちと、虐待された民で構成された。

貴人たちの天国のような世界の影では無数のみえないひとたちの悲鳴と肉と死体で山積みになっていった。


それがこの王国の日常となった。



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