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第30話 防空壕と秘密基地
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ソアラとノアは、弱者や、戦うことができない者や、万が一負傷者が出た時のために、防空壕を隣村と、近隣の村の力仕事に強い屈強な人たちを集め、特定の場所の地下を掘って、奥深くまで掘り当てた。
空気も届くように改良して岩や、大木を倒して、それを寒い月のための暖炉に入れる木用にみせかけて、防空壕の扉を覆い隠した。
ナラ達、村人も試しに入ったが、むっとした異臭があった。しばらくしたら慣れたが、こんなところには長く潜まずにはいたくない。ましてや子どもたちには辛いだろう・・と思った。願わくば使用する事態にならないようにと願った。
水場も少し歩いたら届く距離に防空壕は創られた。
密かに、ある村人達は、子どもたちのために、他にも秘密基地を創っているようだ。
洞窟や、洞穴や、自然にできたものを探したりして居る様だ。
まだ、現実がわからない子どもたちは無邪気に両親と一緒にいることにはじゃいていた。無知な笑顔にナラは微笑んだ。この笑顔は、いつまでも無くしたくないものだ。それは大人たちが守るべきものだとナラは思った。
ナラ達村娘たちは、頭を守るための防具と、頭巾を創った。
ナラはなるべくこの防具を纏う者達が酷い目に合いませんようにと祈りながら作った。
ナラには分からなかったが、密かに加護があって、その加護は、多くの人を守った。
ソアラは、ノアと、もう一人、年配の人となにか話しあって、設計図を創っている。
どうも、空を飛ぶものを創りたいらしい。そんなのができるのだろうか?
年配の人は、昔はガリアの貴族に仕える技術士だったらしい。とても天才で、記憶力も良く、優れた道具を生み出していたようだ。しかしそれを快く思わぬ有力者が、冤罪をかけて追放したらしい。技術士は、道具を生み出しても、人の悪意に対抗する術を持っていなかった。
打ちのめされた年配の人は、ここ辺境の村でひっそりと余命を過ごす事にした様だ。しかし戦が起きて、まだやるべきことがあると悟ったようで、精力溢れる姿で、彼は避難するための設計図や、逃亡するために空に逃げる機械も創ろうとしていた。
プロミスという名前らしい。不思議な名だ。
世の中には、色々な事情をもった人がいるんだ。こんな辺境の村にも・・。ナラはまあ・・と目を丸くした。
意外な人が、意外なところにいるのね・・ナラはそう思った。
本人も意外過ぎる存在であることにナラは気づいていなかった。
或る深夜・・ソアラはちょっととナラを手招きした。
何やら大事な会話があるようだ。何だろう?
「あのね・・ナラ・・このままじゃ男たちは戦のために招集されるかもしれない。
その前に子作りの儀式を行おうと村長が言ったの。隣村でもそう決まったの。」
ええ・とナラは驚愕した。子作り?そんなこと考えたこともなかった。でも確かに・・男衆をとられたら人がいなくなる。子孫は必要だろう。
ふと、かつて夢のように交わった男の影が脳裏に浮かんだが、その時もナラは孕まなかった。
ナラはもしかしたら自分は不妊の女かもしれない。と思った。
しかし、村長や偉い人が決定したら、ナラは従うまでだ。ナラはそれでいいのなら・・と頷いた。
「ナラ・・いいの?好きな人はいないの? わたしは頼んで初めてはノアにしてもらったわ。 それぐらいの自由は許されるのよ?」
ソアラは強い女だ。好きな子が欲しいんだ。
ナラはその強さに羨望しながらも、今はいないと言って、従うまでだと穏やかに言った。
ソアラは複雑な顔をしてわかったわと頷いた。
ナラは漠然と未来の子を想像しようとした。不思議と子の顔が見えなかった。
なぜだろう?ノアとソアラの子は簡単に予想できるのに・・。
ナラは自分を不思議に思った。はじめてナラは自分のことを意識した。
空気も届くように改良して岩や、大木を倒して、それを寒い月のための暖炉に入れる木用にみせかけて、防空壕の扉を覆い隠した。
ナラ達、村人も試しに入ったが、むっとした異臭があった。しばらくしたら慣れたが、こんなところには長く潜まずにはいたくない。ましてや子どもたちには辛いだろう・・と思った。願わくば使用する事態にならないようにと願った。
水場も少し歩いたら届く距離に防空壕は創られた。
密かに、ある村人達は、子どもたちのために、他にも秘密基地を創っているようだ。
洞窟や、洞穴や、自然にできたものを探したりして居る様だ。
まだ、現実がわからない子どもたちは無邪気に両親と一緒にいることにはじゃいていた。無知な笑顔にナラは微笑んだ。この笑顔は、いつまでも無くしたくないものだ。それは大人たちが守るべきものだとナラは思った。
ナラ達村娘たちは、頭を守るための防具と、頭巾を創った。
ナラはなるべくこの防具を纏う者達が酷い目に合いませんようにと祈りながら作った。
ナラには分からなかったが、密かに加護があって、その加護は、多くの人を守った。
ソアラは、ノアと、もう一人、年配の人となにか話しあって、設計図を創っている。
どうも、空を飛ぶものを創りたいらしい。そんなのができるのだろうか?
年配の人は、昔はガリアの貴族に仕える技術士だったらしい。とても天才で、記憶力も良く、優れた道具を生み出していたようだ。しかしそれを快く思わぬ有力者が、冤罪をかけて追放したらしい。技術士は、道具を生み出しても、人の悪意に対抗する術を持っていなかった。
打ちのめされた年配の人は、ここ辺境の村でひっそりと余命を過ごす事にした様だ。しかし戦が起きて、まだやるべきことがあると悟ったようで、精力溢れる姿で、彼は避難するための設計図や、逃亡するために空に逃げる機械も創ろうとしていた。
プロミスという名前らしい。不思議な名だ。
世の中には、色々な事情をもった人がいるんだ。こんな辺境の村にも・・。ナラはまあ・・と目を丸くした。
意外な人が、意外なところにいるのね・・ナラはそう思った。
本人も意外過ぎる存在であることにナラは気づいていなかった。
或る深夜・・ソアラはちょっととナラを手招きした。
何やら大事な会話があるようだ。何だろう?
「あのね・・ナラ・・このままじゃ男たちは戦のために招集されるかもしれない。
その前に子作りの儀式を行おうと村長が言ったの。隣村でもそう決まったの。」
ええ・とナラは驚愕した。子作り?そんなこと考えたこともなかった。でも確かに・・男衆をとられたら人がいなくなる。子孫は必要だろう。
ふと、かつて夢のように交わった男の影が脳裏に浮かんだが、その時もナラは孕まなかった。
ナラはもしかしたら自分は不妊の女かもしれない。と思った。
しかし、村長や偉い人が決定したら、ナラは従うまでだ。ナラはそれでいいのなら・・と頷いた。
「ナラ・・いいの?好きな人はいないの? わたしは頼んで初めてはノアにしてもらったわ。 それぐらいの自由は許されるのよ?」
ソアラは強い女だ。好きな子が欲しいんだ。
ナラはその強さに羨望しながらも、今はいないと言って、従うまでだと穏やかに言った。
ソアラは複雑な顔をしてわかったわと頷いた。
ナラは漠然と未来の子を想像しようとした。不思議と子の顔が見えなかった。
なぜだろう?ノアとソアラの子は簡単に予想できるのに・・。
ナラは自分を不思議に思った。はじめてナラは自分のことを意識した。
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