あまりにもあまりにも偶然に墜落し、とんでもない上位生命体の一部となった彼らです。

栗菓子

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第20話 上位者 サイド

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面白い。面白くなってきた。ここのところ、ガリア王国は、かつての古代の暗黒期よりは残虐性や醜悪性や獰猛性などは鳴りを潜めている。
ガリア大陸は、かつての力ある巨大な巨大な古代動物が、ある敵と戦い、息絶えた。
その死体や、力の塊は、大陸の基礎を築いた。

想像もつかないが、古代は、とてつもなく巨大な動物が力を持ち、水母のように空中を浮遊していたり、海はもっと荒々しく、蟲毒のように、古代魚や巨大魚が荒々しく喰い喰らわれていく。あまりにも残虐で獰猛だった。

いつしかこのように海が穏やかになったのは分からぬが、大陸は、基礎自体が、神ともいえる動物の亡骸によって築かれた故、その影響や、その地に生きる者は、より動物的で、直感力に優れ、身体能力に優れている。


かつての古代の人間は、鼠のように小動物のように隠れながら息を潜めて洞窟や、地下で暮らしていたものだが、いつしか知恵と狡猾な知能や、人を騙し殺めて生存率を上げる事を学び、より残虐性を増していった。

全ては生存するための進化といえよう。

勿論古代にも、不可視の力や大気に満ち溢れ、その力は、人間の祖によって祀られ、祈りによって具体的な身体や実体化した。人はそれを神々と呼ぶ。その神々は祈りに応じて、代償と引き換えに、人間の願いを叶えていた。

今は、人間は、己の力を頼りにして、神を祀るのは僅かになった。それに応じて、実体化するのはほんの一握りとなった。面白くない。 勝手に祀って、勝手に止める。人間の身勝手さには呆れたが、人間が自らの力で生き抜こうとするのは見ものであった。


そして、今、外宇宙から、『宇宙樹』という支配者の欠片が隕石とともに、落ちてきて、人間と融合した。
新しく混合種族が出来たのだ。 これは珍しいケースだ。
長い長い間、この世界を見てきた神でさえも驚く展開だ。
あまりにもあまりにも偶然でできた新しい種族。さてこの行方はどうなるのか。見ものだ。

もうわかるだろう。この意識は、かつては神と呼ばれた意識よ。実体化していないとはいえ、ちゃんと力ある者として在り続けている。だれか祈ったのかはわからない。もう遠い遠い昔だ。

その信仰をした人間の集落はいつの間にか歴史の中に消え、この神の意識はどこか亜空間に漂ったままだが、世界の行方はずっと見守ってきた。

嗚呼。そうだな。人柱や、動物の意識も混ざっているかもしれない。
古代の神に捧げるのは大抵動物や、食物や、時には、人間という人柱もあった。
そのせいが、いくつもの意識が混ざって神というものを創り上げられている。

ガリア王家は、古代動物の力の影響をより受けて居る。死しても尚、生者に影響を与えるとはな。

古い古い古代の力ある獣と、新しい種族との全面戦争が間もなく来るだろう。


それぐらいの未来の予測は、この名もなき神にも予想できる。その時が楽しみだ。

久々に面白くなってきた。







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