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第30話・金剛
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休みをもらって、九日目。約束していた金剛との同衾を果たすため、兄さんたちの仕事が始まる前に一階へ降りて板戸を開く。そこでは金剛が退屈そうに転がっており、欠伸をしそうな顔だけをこちらに向けた。
「あやめ、来たのか」
と、身体を起こしてあぐらをかいて、伸びをして唸りを上げて、乱れた布団を整える。顔を見るなりやる気になるのか、と金剛としての意識に感服するとともに、そんなにしたかったのかと呆れもした。
音を立てぬよう這いつくばって、こっそりと金剛に耳打ちをする。
「山吹兄さんにはバレていないよ」
「……何で? 山吹がどうかしたのか?」
まったく、気づいていないのか。これだから女将さんに「朴念仁!」と怒鳴られる、彼に夢中の山吹兄さんが浮かばれない。
「いいよ、気にしないで、どうもしないよ」
そうやって軽くあしらうと、本当に気にしないのだから呆れてしまう。下のほか、これのどこがいいというのか。
「棒薬は欠かさず仕込んでいるか?」
「やってるよ、指も入れてる」
「それじゃあ、確かめてやろう」
すると金剛は腰を掴んで、ひょいと四つん這いにしてしまった。一切の躊躇いなく着物を捲り、後ろの具合をまじまじと見つめる。
「ちゃんとやっているようだな。しかし、俺の指は久しぶりだろう?」
「待ってよ、焦らないで。通和散を仕込むから」
通和散を口に含むと金剛が頬を掴み、開いた口に指を入れた。節の大きな太い指が、とろけた通和散を舌の上から絡め取る。うねる指が堪らなくなり、舌を絡めずにはいられない。その柔らかく、時には固い感触が肌を伝って、金剛をむくむくと立ち上がらせる。
またもやひょいっと腰を掴んで、逆さまに身体を乗せる。下の口は金剛の、固くなったものがあやめの、それぞれの眼前に露わになった。見つめられ、高鳴る期待が互いの前を膨らませていく。
「この姿勢、ちょっと凄いね」
「あやめだから、やるんだぞ」
なるほどそういう意味かと、着物の合わせに窮屈している膨れたものを救い出し、裏筋に舌を這わせ頬張った。熱い、大きい、金剛ので口がいっぱい。
ああ! 後ろに指が入ってくる!
固いのが挿し込まれ、ひとつ目の節に広げられ、太くなって、もっと太い節が押し込まれていく。
堪らず咥えた口を離して吐息を漏らすと、金剛が悪戯っぽくほくそ笑む。
「おいおい、まだ中指一本だぞ?」
「だって……いいんだもの……」
「あやめの口も評判がいいぞ」
「そうすると、早いから……。でも、今は違うよ! 味は慣れないけど……」
口の中に、彼の味が広がった。いつか桔梗兄さんが美味しそうにしていたのが、今になってわかった気がする。
しかし金剛はというと、そうか終わらせたかったから、口を鍛えていたのか。真実を知ってしまうとつまらない、と腹いせに指二本を挿し込んだ。
「そんなに早いのがいいのか?」
「ああっ! 中で曲げないで!」
「それじゃあ、やめるか。俺は山吹を抱く」
「駄目ぇ、やめないで、もっとして……」
コリコリとまさぐられて、いいところから背筋へ刺激が駆け抜ける。仰け反りよがる華奢な身体を、金剛の指が追い詰めていく。
「どうだ? あやめ。何が欲しいか言ってみな」
「意地悪を言わないでよ、わかってるくせに」
言うを躊躇い口を噤むと、金剛は挿した指を引き抜いた。おねだりしている後ろには、何もしようとしてくれない。とうとう我慢出来なくなって、吐息混じりに懇願をした。
「固くて、太くて、大きいの、あやめにください」
「淫らな奴だ、山椒いらずだな」
腰を浮かせた金剛は、欲したものを挿し込んだ。膨れた先が花を開かせ、ひだを捲って突き進む。
「ここで止めるか?」
「嫌、奥まで、奥まで頂戴」
「それで、どうして欲しいんだ?」
「抜き差しして、いっぱいして欲しい」
しかし金剛は、力を抜いて腰を振った。それではとても足りなくて、自らも抜き差しするしかない。淫蕩に前後する背中の艶かしさに、包みこんでいたものがはち切れんばかりに膨れ上がった。
「大きい!……もう、中がいっぱい」
「あやめも締まって、いい塩梅だ」
これを仕事にしているせいか、金剛は前戯の甲斐なく果ててくれない。全身が燃えるほど熱くなり、頭がぼうっとして何も考えられなくなっても、金剛の腰は止まってくれず、こちらの腰振りもやめられない。ほんのわずかに残る意識で、最後のおねだりを金剛にした。
「中に出して、いっぱい出して、熱いの、頂戴」
「よし、出すぞ、あやめの中に出すぞ」
金剛はそれに呼応し、壊れるくらいに腰を振る。下がったものが会陰に激しく打ちつけられて、折檻されているみたい。そこから丹田へとこみ上げて、踊る火の中にぶち撒けられた。
ああ、熱い、中から焼ける、この瞬間が、何よりも好き。
でも、たくさんしている金剛は、勢いがあるけど少ないな。
あれから明日で十日、彼はいっぱい溜まってるのかな。
ずるりと引き抜き金剛は、布団にぺたりと尻もちをついた。貫くものがなくなって、膝の力が抜けた私は布団に突っ伏し、荒い息を吐き出して後ろから粘液をとろりと垂らした。
切れ切れの呼吸の合間を縫って、金剛が恨み言を呟いた。
「あやめ、あの武家のこと、考えただろう?」
バレちゃった……。
私は心も身体も、彼に支配されている。
ああ、早く明日にならないかな。
そして、ずっと明日だったらいいのに。
そこまで考え、悪戯っぽく「ふふっ」と笑った。
「あやめ、来たのか」
と、身体を起こしてあぐらをかいて、伸びをして唸りを上げて、乱れた布団を整える。顔を見るなりやる気になるのか、と金剛としての意識に感服するとともに、そんなにしたかったのかと呆れもした。
音を立てぬよう這いつくばって、こっそりと金剛に耳打ちをする。
「山吹兄さんにはバレていないよ」
「……何で? 山吹がどうかしたのか?」
まったく、気づいていないのか。これだから女将さんに「朴念仁!」と怒鳴られる、彼に夢中の山吹兄さんが浮かばれない。
「いいよ、気にしないで、どうもしないよ」
そうやって軽くあしらうと、本当に気にしないのだから呆れてしまう。下のほか、これのどこがいいというのか。
「棒薬は欠かさず仕込んでいるか?」
「やってるよ、指も入れてる」
「それじゃあ、確かめてやろう」
すると金剛は腰を掴んで、ひょいと四つん這いにしてしまった。一切の躊躇いなく着物を捲り、後ろの具合をまじまじと見つめる。
「ちゃんとやっているようだな。しかし、俺の指は久しぶりだろう?」
「待ってよ、焦らないで。通和散を仕込むから」
通和散を口に含むと金剛が頬を掴み、開いた口に指を入れた。節の大きな太い指が、とろけた通和散を舌の上から絡め取る。うねる指が堪らなくなり、舌を絡めずにはいられない。その柔らかく、時には固い感触が肌を伝って、金剛をむくむくと立ち上がらせる。
またもやひょいっと腰を掴んで、逆さまに身体を乗せる。下の口は金剛の、固くなったものがあやめの、それぞれの眼前に露わになった。見つめられ、高鳴る期待が互いの前を膨らませていく。
「この姿勢、ちょっと凄いね」
「あやめだから、やるんだぞ」
なるほどそういう意味かと、着物の合わせに窮屈している膨れたものを救い出し、裏筋に舌を這わせ頬張った。熱い、大きい、金剛ので口がいっぱい。
ああ! 後ろに指が入ってくる!
固いのが挿し込まれ、ひとつ目の節に広げられ、太くなって、もっと太い節が押し込まれていく。
堪らず咥えた口を離して吐息を漏らすと、金剛が悪戯っぽくほくそ笑む。
「おいおい、まだ中指一本だぞ?」
「だって……いいんだもの……」
「あやめの口も評判がいいぞ」
「そうすると、早いから……。でも、今は違うよ! 味は慣れないけど……」
口の中に、彼の味が広がった。いつか桔梗兄さんが美味しそうにしていたのが、今になってわかった気がする。
しかし金剛はというと、そうか終わらせたかったから、口を鍛えていたのか。真実を知ってしまうとつまらない、と腹いせに指二本を挿し込んだ。
「そんなに早いのがいいのか?」
「ああっ! 中で曲げないで!」
「それじゃあ、やめるか。俺は山吹を抱く」
「駄目ぇ、やめないで、もっとして……」
コリコリとまさぐられて、いいところから背筋へ刺激が駆け抜ける。仰け反りよがる華奢な身体を、金剛の指が追い詰めていく。
「どうだ? あやめ。何が欲しいか言ってみな」
「意地悪を言わないでよ、わかってるくせに」
言うを躊躇い口を噤むと、金剛は挿した指を引き抜いた。おねだりしている後ろには、何もしようとしてくれない。とうとう我慢出来なくなって、吐息混じりに懇願をした。
「固くて、太くて、大きいの、あやめにください」
「淫らな奴だ、山椒いらずだな」
腰を浮かせた金剛は、欲したものを挿し込んだ。膨れた先が花を開かせ、ひだを捲って突き進む。
「ここで止めるか?」
「嫌、奥まで、奥まで頂戴」
「それで、どうして欲しいんだ?」
「抜き差しして、いっぱいして欲しい」
しかし金剛は、力を抜いて腰を振った。それではとても足りなくて、自らも抜き差しするしかない。淫蕩に前後する背中の艶かしさに、包みこんでいたものがはち切れんばかりに膨れ上がった。
「大きい!……もう、中がいっぱい」
「あやめも締まって、いい塩梅だ」
これを仕事にしているせいか、金剛は前戯の甲斐なく果ててくれない。全身が燃えるほど熱くなり、頭がぼうっとして何も考えられなくなっても、金剛の腰は止まってくれず、こちらの腰振りもやめられない。ほんのわずかに残る意識で、最後のおねだりを金剛にした。
「中に出して、いっぱい出して、熱いの、頂戴」
「よし、出すぞ、あやめの中に出すぞ」
金剛はそれに呼応し、壊れるくらいに腰を振る。下がったものが会陰に激しく打ちつけられて、折檻されているみたい。そこから丹田へとこみ上げて、踊る火の中にぶち撒けられた。
ああ、熱い、中から焼ける、この瞬間が、何よりも好き。
でも、たくさんしている金剛は、勢いがあるけど少ないな。
あれから明日で十日、彼はいっぱい溜まってるのかな。
ずるりと引き抜き金剛は、布団にぺたりと尻もちをついた。貫くものがなくなって、膝の力が抜けた私は布団に突っ伏し、荒い息を吐き出して後ろから粘液をとろりと垂らした。
切れ切れの呼吸の合間を縫って、金剛が恨み言を呟いた。
「あやめ、あの武家のこと、考えただろう?」
バレちゃった……。
私は心も身体も、彼に支配されている。
ああ、早く明日にならないかな。
そして、ずっと明日だったらいいのに。
そこまで考え、悪戯っぽく「ふふっ」と笑った。
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