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第25話・横浜②
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座敷の下座に大旦那様とお付きの者、上座には肌が白い大男が椅子に座ってギヤマンを傾けていた。
西洋人だ。白粉を塗ったように白いが、紅を塗りたくったように頬が赤い。白髪ではない、髪も髭も黄金色をしている。彫りが深く、鼻が突き出し目は窪んでいる。そして、こちらを見つめている瞳は、切子細工のように青い。
硬直している身体を突き動かしたのは、大旦那様の手招きだった。
「あやめ、近う寄りなさい。驚いたろう? こちらは横浜から招いた商人だ。商売の話ばかりでは無粋だからと、お前を呼んでやったんだ。一生に一度の享楽を土産にしてやってくれ。それとだな、六郷川を秘匿に越えさせたのだから、内密に頼むぞ」
足元に寄り、三つ指をついて頭を下げると西洋人は大袈裟に感嘆し、お付きの者に何かを告げた。
「まだ子供だ、幾つになると仰っておられる」
「十四にございます」
「陰間茶屋は、子供屋とも言うそうだな」
お付きの者、つまり通詞は西洋の言葉をぼそぼそと囁いていた。話の長さから察するに、大旦那様が言ったことも伝えたらしい。
それを耳にした西洋人は、また大袈裟な身振りをして満足そうに喜んでいる。幸か不幸か、お眼鏡に叶ったようである。
通詞が障子を開け放ち、行灯が布団を照らし出す隣室へと案内をする。西洋人が立ち上がったので、あとに続くと膳に並べられた書面が目についた。
鉄砲の絵が描いてある、あとは大砲。つまりこの西洋人は、武器商人だ。西洋人の売る武器が大旦那様を介して、東征軍に売られるのだろうか。
彰義隊に、彼にこの銃口が向けられる。そう思うと口の中が苦くなって、しかめる顔を噛み潰す。
どうにか止める手立てはないか、しかしこの西洋人が今日の客で、大旦那様の客でもある。妙な動きをしてしまえば、どんな目に遭わされるのかわからない。ただ悶々とするのみだったが、西洋人は気に留めることなく布団に腰を下ろして、手招きを逆手にやっていた。
今は、陰間の務めを果たすほかない。茶屋の、大旦那様の顔を潰すわけにはいかないのだから。
妖艶な微笑を送り、とろけるように膝を崩した。身体を溶かしてしなだれかかり、舐め回すように指を這わせる。触れた先の心地良さに、西洋人は熱い吐息を漏らして喘ぐ。
着物を……どう脱がせばいい。革の帯に結び目はなく、合わせには切り出した貝が留まっている。袴は細く、簡単には下ろせそうにない。戸惑い狼狽え途方に暮れると、西洋人は膝立ちになり、意気揚々と帯を解いて袴を下ろし仁王立ちして、短い着物の合わせから垂れ下がるものを覗かせた。
大きい。固くなれば、もっと大きくなるはずだ。こんなに大きいのが、私に入るのだろうか。でも、固くしなければ、きっと満足させられない。
今度はこちらが膝立ちとなり、そっと手を添え、まだ柔らかいものを撫で回す。熱を帯び、じわじわ立ち上がっていくそれに、下から上へと舌先を這わせていった。
どうしよう、こんなの、口に収まらない。咥えているとき大きくなったら、顎が外れてしまいそう。
だからたくさん音を立てて口づけをして、気持ちを昂らせていく。
言葉のような喘ぎを伴い、更に上を向いていく。顔にぺったりと押しつけられて、口元に寄せられた袋を舐め回して転がした。
こっちも、凄く大きい。中に注がれたとしたら、いっぱい溢れてしまいそう。引き抜かれ、ひくひく震える後ろから、どくどくと止めどなく零れてくるんだ。
凄い、考えるだけで、壊して欲しくなってきた。もう、どんなのでも物足りないくらいに広げられ、これの虜になってしまう。
私はこれから、西洋人に蹂躙される。
だけど、ちっとも固くならない。頬ずりすると顔の形に歪んでしまい、根元を掴めば力なくしなってしまう。もっと固くならないのかと、焦って弄んでいると我慢の限界を超えたのか、白くて赤い巨体にのしかかられた。
まだ柔らかいのにいいのかと躊躇いながら固さを求め、背中から腰へと両手を回して互いの身体を唇を重ね合わせて、ひとつに溶かす。
荒い息継ぎ、とろけた瞳を交わしていると、パッと浮いた白い身体が裾の合わせを引き離す。
いけない、まだ備えをしていない。焦らないで、と上体を起こして人差し指を唇に当て、袂の通和散を口で溶かして、開かれた合わせから指を入れる。
尋常じゃないくらいに大きいからと、二本いいや三本と濡れた指を差し込んで、奥までたっぷり塗り込んでいく。
それが、とてもよくって、堪らず身体をよじってしまう。それを見つめる西洋人は、待たされたのも相まって激しく燃えて、引き裂かんばかりに着物の裾を捲り上げた。
ああ、とうとう中に入ってしまうんだ。めりめりと裂けんばかりに広げられ、ごりごりと中のひだを捲られて、溢れんばかりにたっぷり注がれ、もう元の身体には戻れなくなり、彼のことなど記憶の彼方に葬り去ってしまうんだ。
仰向けでは低いので、両の脚を挟んで絡めて腰を浮かせる。それが求めているようで、西洋人の興奮は最高潮に達していった。
大きな頭がうねうねと袋を竿をまさぐった。まだ固くないのに入れるのか、まだ固くないのにこんなに大きい、ふたつの不安に寒気がするほど苛まれると、絡めた脚を振り払い西洋人が立ち上がった。
やっぱり、まだ早かったのか。
そう身体を起こした瞬間、急に襟首を掴まれて、障子を巻き込み座敷へと吹っ飛ばされた。
西洋人だ。白粉を塗ったように白いが、紅を塗りたくったように頬が赤い。白髪ではない、髪も髭も黄金色をしている。彫りが深く、鼻が突き出し目は窪んでいる。そして、こちらを見つめている瞳は、切子細工のように青い。
硬直している身体を突き動かしたのは、大旦那様の手招きだった。
「あやめ、近う寄りなさい。驚いたろう? こちらは横浜から招いた商人だ。商売の話ばかりでは無粋だからと、お前を呼んでやったんだ。一生に一度の享楽を土産にしてやってくれ。それとだな、六郷川を秘匿に越えさせたのだから、内密に頼むぞ」
足元に寄り、三つ指をついて頭を下げると西洋人は大袈裟に感嘆し、お付きの者に何かを告げた。
「まだ子供だ、幾つになると仰っておられる」
「十四にございます」
「陰間茶屋は、子供屋とも言うそうだな」
お付きの者、つまり通詞は西洋の言葉をぼそぼそと囁いていた。話の長さから察するに、大旦那様が言ったことも伝えたらしい。
それを耳にした西洋人は、また大袈裟な身振りをして満足そうに喜んでいる。幸か不幸か、お眼鏡に叶ったようである。
通詞が障子を開け放ち、行灯が布団を照らし出す隣室へと案内をする。西洋人が立ち上がったので、あとに続くと膳に並べられた書面が目についた。
鉄砲の絵が描いてある、あとは大砲。つまりこの西洋人は、武器商人だ。西洋人の売る武器が大旦那様を介して、東征軍に売られるのだろうか。
彰義隊に、彼にこの銃口が向けられる。そう思うと口の中が苦くなって、しかめる顔を噛み潰す。
どうにか止める手立てはないか、しかしこの西洋人が今日の客で、大旦那様の客でもある。妙な動きをしてしまえば、どんな目に遭わされるのかわからない。ただ悶々とするのみだったが、西洋人は気に留めることなく布団に腰を下ろして、手招きを逆手にやっていた。
今は、陰間の務めを果たすほかない。茶屋の、大旦那様の顔を潰すわけにはいかないのだから。
妖艶な微笑を送り、とろけるように膝を崩した。身体を溶かしてしなだれかかり、舐め回すように指を這わせる。触れた先の心地良さに、西洋人は熱い吐息を漏らして喘ぐ。
着物を……どう脱がせばいい。革の帯に結び目はなく、合わせには切り出した貝が留まっている。袴は細く、簡単には下ろせそうにない。戸惑い狼狽え途方に暮れると、西洋人は膝立ちになり、意気揚々と帯を解いて袴を下ろし仁王立ちして、短い着物の合わせから垂れ下がるものを覗かせた。
大きい。固くなれば、もっと大きくなるはずだ。こんなに大きいのが、私に入るのだろうか。でも、固くしなければ、きっと満足させられない。
今度はこちらが膝立ちとなり、そっと手を添え、まだ柔らかいものを撫で回す。熱を帯び、じわじわ立ち上がっていくそれに、下から上へと舌先を這わせていった。
どうしよう、こんなの、口に収まらない。咥えているとき大きくなったら、顎が外れてしまいそう。
だからたくさん音を立てて口づけをして、気持ちを昂らせていく。
言葉のような喘ぎを伴い、更に上を向いていく。顔にぺったりと押しつけられて、口元に寄せられた袋を舐め回して転がした。
こっちも、凄く大きい。中に注がれたとしたら、いっぱい溢れてしまいそう。引き抜かれ、ひくひく震える後ろから、どくどくと止めどなく零れてくるんだ。
凄い、考えるだけで、壊して欲しくなってきた。もう、どんなのでも物足りないくらいに広げられ、これの虜になってしまう。
私はこれから、西洋人に蹂躙される。
だけど、ちっとも固くならない。頬ずりすると顔の形に歪んでしまい、根元を掴めば力なくしなってしまう。もっと固くならないのかと、焦って弄んでいると我慢の限界を超えたのか、白くて赤い巨体にのしかかられた。
まだ柔らかいのにいいのかと躊躇いながら固さを求め、背中から腰へと両手を回して互いの身体を唇を重ね合わせて、ひとつに溶かす。
荒い息継ぎ、とろけた瞳を交わしていると、パッと浮いた白い身体が裾の合わせを引き離す。
いけない、まだ備えをしていない。焦らないで、と上体を起こして人差し指を唇に当て、袂の通和散を口で溶かして、開かれた合わせから指を入れる。
尋常じゃないくらいに大きいからと、二本いいや三本と濡れた指を差し込んで、奥までたっぷり塗り込んでいく。
それが、とてもよくって、堪らず身体をよじってしまう。それを見つめる西洋人は、待たされたのも相まって激しく燃えて、引き裂かんばかりに着物の裾を捲り上げた。
ああ、とうとう中に入ってしまうんだ。めりめりと裂けんばかりに広げられ、ごりごりと中のひだを捲られて、溢れんばかりにたっぷり注がれ、もう元の身体には戻れなくなり、彼のことなど記憶の彼方に葬り去ってしまうんだ。
仰向けでは低いので、両の脚を挟んで絡めて腰を浮かせる。それが求めているようで、西洋人の興奮は最高潮に達していった。
大きな頭がうねうねと袋を竿をまさぐった。まだ固くないのに入れるのか、まだ固くないのにこんなに大きい、ふたつの不安に寒気がするほど苛まれると、絡めた脚を振り払い西洋人が立ち上がった。
やっぱり、まだ早かったのか。
そう身体を起こした瞬間、急に襟首を掴まれて、障子を巻き込み座敷へと吹っ飛ばされた。
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