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58 誘拐中、偶然知り合いに会う
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「お父様、帰り道違いますよね?」
小さな声で話す。
「あぁ」
お父様は顔色が悪くなっていた。
「これって御者が、いつもの人じゃないって事ですよね?馬車に乗る時、私達、感動シーンで盛り上がってて御者の顔って確認しませんでしたね?」
と核心をついた問いを父様に投げた。
汗をかきながら目を瞑り悔しそうな顔をしながら、
「間違いないな」
と認めた。
緊張感が走る馬車の中。
なんて愚かなんでしょう。家に着くまで緊張感を持っていないと。
こんな凡ミス、情けない。
ハァー
「一体誰でしょうね?」
と聞けば、
「そんなのわかるわけないだろう。先に言っておく、連れて行かれる場所もわからない」
と父様の汗が一気に吹き出し始めた。
このスピードでは扉を開けて逃げる事も出来ない。
完全に私の武勇伝に夢中で窓の景色に気づかずにしくじってしまった。
「困りましたね、シュリル様の側近の逆恨みでしょうか?でもお父様まだ石畳の上を走っていますね。街とは逆方向、こちらは騎士団の演習場があったからスピードを上げられたのでは?その先に何があるのですか?」
「演習場の先?あれは、西門の方か村があったな」
と小窓を見ながら小声で話す。
「お父様、あの~前にご自慢していた懐中時計貸してくれませんか?」
と伺いを立てた。
「ミルフィーナ、絶対に嫌だ。壊す気だろう、そうだろう?いやだ、嫌」
ハァー、父様、今の状況…
「お父様、冷静に考えてください。もしも偽御者が私達を殺す気だったら?懐中時計も残りません。懐中時計一つで二人分の命が助かるなら、安い買い物ですよ」
と父様を興奮させないように、ゆっくり説得する。
お父様の汗が尋常じゃないほど吹き出している。心配になるほど。
このまま心臓が止まってしまったら大変ですから。
私は、手のひらを差し出した。
私の手をじっと見るお父様。
そして仕方無さそうに、手のひらに懐中時計を置き、悲しそうな顔をする。
全く、命と懐中時計どっちが大事なのよ!心の中で文句を言い、
「ありがとうございますお父様」
と言って、ドレスのウエスト部分のリボンを取り、懐中時計のチェーンの部分に通せるように、髪にとめてあるピンで切り裂き、チェーンに絡ませながら固定していく。
「どこでそんな技を覚えたんだ!」
と父様が驚きながらも私がこれから何をするか予想しているようだった。
「それが今読んでいる、暗殺ファイター ってシリーズ物なんですが、その一つの窓割りを実践します。あぁ、シュリル様の違和感を気づけたのもまさに暗殺ファイターが相手の嘘を見破る時の指摘なんですよ、我が家のメイドに感謝を!お給料上げてくださいな。じゃ反対から、馬車が来そうなので、こっちの窓割ります」
お父様を端に寄せ頭を下げてもらい、遠心力を使い、反対側の馬車が通り過ぎる前に、即席の武器をぶつけた。窓は、懐中時計の大きさで貫通した。
私の手元にはドレスのウエストのリボンが残った。
小さな穴だ。
私の拳すら通さない。
窓は、割れず穴とヒビが開いただけ。
でもね、懐中時計は、すっぽ抜けて反対側の馬車の馬に当たったの。
その一秒もないまま、馬の悲鳴が、私達の乗っている馬車の馬にも影響した。
暴れる馬に箱に乗っている私達も身を抱える。お父様と二人抱きしめ合い、小さくなりながら耐えている。
お父様の吹き出していた汗は、止まっていて、必死に私の顔を自分の胸に押しやって私の頭の上にご自分の顔を乗せている。
ふふっ怖いのよ。
本当に。
でもね、少しだけ、いいえ、もっと沢山嬉しいの。文官のお父様が、私を守ってくれることに。
おかしいかな。怖いのに、嬉しいなんてね。
私はお父様から大切にされているのだと気づいている。まぁずっと大切にされていたけどね。一人暖かい気持ちになっていると、馬車が止まった。
そしてそこからの父様の動きは、早かった。まぁ、私は、置き忘れられだけど。
一人で扉から飛び出した。
「助けてください!」
ととても常識的な呼びかけをした。
何があったかわからない。
ガタッと御者台から音がして、父様には悪いが、私は反対側の扉から出た。
ごめんなさい父様、囮にして。本に書いてあったの最初の者が動いたら、次の者は続くなって。必ず反対に動くことが大事って。
両面扉で良かった。なんて思いながら、すぐに馬車の後ろに移動した。
御者がお父様に近づき、胸ぐらを掴み、投げ飛ばした。
その御者は、シュリル様の茶会に誘われた時に私の後ろについた中年騎士。
まずい!
父様VS中年騎士、絶対に助からない。
少し先には、私達の馬車よりも酷い状態になって横転した反対側の馬車。
周りに人がいない。
目測を外した。
あの横転している人に助けを頼むしかないの。
と、自分の気持ちよりももっと震えている足を動かし、前に走る。
後ろから、駆ける音が聞こえた。
あぁ、気づかれた。
「この女~!!待ちやがれ!」
私は、倒れている馬車の箱を叩いた。
「助けて」
たぶん、すごく小さな声だったと思う。
こんな時に萎縮して声が出ないなんて、やっぱり私は、駄目だ。
もう足音は、すぐ後ろだ。
振り返ると、鬼の形相の中年騎士がいた。
あぁ、駄目だな、怒っている。
なんて思いながら、
「ミルフィーナ様?」
あん?
「ミルフィーナ様じゃないですか~?」
えっ?
「やっだぁ~、ミルフィーナ様、私です。ラザリーです~」
全くこの緊迫した空気にそぐわず、語尾を伸ばし、馬鹿っぽい口調、
パァッと見れば、外套を纏ったセミロングの髪がふわふわしている可愛い女の子。
「酷い目に合いまして~馬が襲撃されたんですよ。もう王都は目の前だっていうのに~もうプンプンですよ~!」
「ラザリーさん…」
この状況見てわからない。
語尾伸びてるよ凄い~!ピンチ~!
「ミルフィーナ様、の知り合い?」
ラザリーさんのトーク終了とやっと私の状況を見てもらったようで、
「いや、襲われている最中!」
と言えば、箱の中から、バンバン叩く音。
「ミルフィーナ姉様?ミルフィーナ姉様いるの?助けてくださいませ!」
ごめん、これ偶然?いや悪役令嬢の物語だから、ピンチに現れるのってヒロインなんだね。
「ギャッ」
騎士が手を出してきた、身体を捻ったけど、私の腕を掴んだ。
「ごちゃごちゃ言うな、知り合いか、チッ都合が悪過ぎる」
と腕を引っ張られ、
「グ、何故?私、」
と言えば、
「逃げるしかない、失敗したんだから、
な!」
と腕を引っ張られた勢いで、靴は脱げるしドレスは破れた。
前を向けば、お父様は丸まって地面に倒れている。投げ飛ばされたんだから当然か。
ラザリーさんだけでも逃げてと思ったら、
「イタタッタ~、この人強いですね~」
と腕を後ろで組まされていたラザリーさん。
「なんでこんなに計画通りに進まないのよ!全部このお嬢様が悪いのよ!」
と言ったラザリーさんの後ろの王宮のメイド服を着た女。
シュリル様が言ったメイド長?
先程私に絡んできたメイドで間違いはないけど…
ドンドン
「ミルフィーナ姉様、意地悪しないで助けてください~!」
ドンドン
私だって助けてあげたいよ。
でも今、現場カオスだよ。
ヒロインパワー発揮してくれないかな。
なんかこの場を変えるきっかけを!
「ミルフィーナ姉様、出して、ねぇ、ここから出して~」
「ほっとけ、自分じゃ出れない、馬も落ちついただろう。その若い女と令嬢を連れて逃げるぞ」
と中年騎士がメイド長に命令した。
あー、駄目だ、どうにもならないわ。ごめんなさいお父様!
無理矢理引っ張られ、歩かされる。靴が脱げて靴下は穴があき足の裏が痛い。
ラザリーさんは黙って、メイド長に押されるまま歩いている。
ラザリーさんが、先に馬車に乗せられて、メイド長が乗って、私が押されて乗り込むところ、騎士の押す手が止まった。
お父様が中年騎士の片足を両手でしがみついた。
「お父様」
やるしかない!
私は、押し込まれていた身体を一度前に勢いをつけてから背中ごと、後ろを見ずに騎士に向かって倒れた。
騎士は尻もちをつき、しかし流石騎士!
私を支えてくれている。
痛くない。
それに驚いたメイド長が、扉から覗いているところをラザリーさんが、両手を使い、突き落とした。
メイド長は顔面から落ちた。
そしてヒロイン2号は、馬車から飛び降りる際、メイド長の下半身に落ちた。
「ヘブっバキッ」
嫌な音が響いた。
凄いよ!ヒロイン2号ラザリーさん。
大活躍、大金星!!
小さな声で話す。
「あぁ」
お父様は顔色が悪くなっていた。
「これって御者が、いつもの人じゃないって事ですよね?馬車に乗る時、私達、感動シーンで盛り上がってて御者の顔って確認しませんでしたね?」
と核心をついた問いを父様に投げた。
汗をかきながら目を瞑り悔しそうな顔をしながら、
「間違いないな」
と認めた。
緊張感が走る馬車の中。
なんて愚かなんでしょう。家に着くまで緊張感を持っていないと。
こんな凡ミス、情けない。
ハァー
「一体誰でしょうね?」
と聞けば、
「そんなのわかるわけないだろう。先に言っておく、連れて行かれる場所もわからない」
と父様の汗が一気に吹き出し始めた。
このスピードでは扉を開けて逃げる事も出来ない。
完全に私の武勇伝に夢中で窓の景色に気づかずにしくじってしまった。
「困りましたね、シュリル様の側近の逆恨みでしょうか?でもお父様まだ石畳の上を走っていますね。街とは逆方向、こちらは騎士団の演習場があったからスピードを上げられたのでは?その先に何があるのですか?」
「演習場の先?あれは、西門の方か村があったな」
と小窓を見ながら小声で話す。
「お父様、あの~前にご自慢していた懐中時計貸してくれませんか?」
と伺いを立てた。
「ミルフィーナ、絶対に嫌だ。壊す気だろう、そうだろう?いやだ、嫌」
ハァー、父様、今の状況…
「お父様、冷静に考えてください。もしも偽御者が私達を殺す気だったら?懐中時計も残りません。懐中時計一つで二人分の命が助かるなら、安い買い物ですよ」
と父様を興奮させないように、ゆっくり説得する。
お父様の汗が尋常じゃないほど吹き出している。心配になるほど。
このまま心臓が止まってしまったら大変ですから。
私は、手のひらを差し出した。
私の手をじっと見るお父様。
そして仕方無さそうに、手のひらに懐中時計を置き、悲しそうな顔をする。
全く、命と懐中時計どっちが大事なのよ!心の中で文句を言い、
「ありがとうございますお父様」
と言って、ドレスのウエスト部分のリボンを取り、懐中時計のチェーンの部分に通せるように、髪にとめてあるピンで切り裂き、チェーンに絡ませながら固定していく。
「どこでそんな技を覚えたんだ!」
と父様が驚きながらも私がこれから何をするか予想しているようだった。
「それが今読んでいる、暗殺ファイター ってシリーズ物なんですが、その一つの窓割りを実践します。あぁ、シュリル様の違和感を気づけたのもまさに暗殺ファイターが相手の嘘を見破る時の指摘なんですよ、我が家のメイドに感謝を!お給料上げてくださいな。じゃ反対から、馬車が来そうなので、こっちの窓割ります」
お父様を端に寄せ頭を下げてもらい、遠心力を使い、反対側の馬車が通り過ぎる前に、即席の武器をぶつけた。窓は、懐中時計の大きさで貫通した。
私の手元にはドレスのウエストのリボンが残った。
小さな穴だ。
私の拳すら通さない。
窓は、割れず穴とヒビが開いただけ。
でもね、懐中時計は、すっぽ抜けて反対側の馬車の馬に当たったの。
その一秒もないまま、馬の悲鳴が、私達の乗っている馬車の馬にも影響した。
暴れる馬に箱に乗っている私達も身を抱える。お父様と二人抱きしめ合い、小さくなりながら耐えている。
お父様の吹き出していた汗は、止まっていて、必死に私の顔を自分の胸に押しやって私の頭の上にご自分の顔を乗せている。
ふふっ怖いのよ。
本当に。
でもね、少しだけ、いいえ、もっと沢山嬉しいの。文官のお父様が、私を守ってくれることに。
おかしいかな。怖いのに、嬉しいなんてね。
私はお父様から大切にされているのだと気づいている。まぁずっと大切にされていたけどね。一人暖かい気持ちになっていると、馬車が止まった。
そしてそこからの父様の動きは、早かった。まぁ、私は、置き忘れられだけど。
一人で扉から飛び出した。
「助けてください!」
ととても常識的な呼びかけをした。
何があったかわからない。
ガタッと御者台から音がして、父様には悪いが、私は反対側の扉から出た。
ごめんなさい父様、囮にして。本に書いてあったの最初の者が動いたら、次の者は続くなって。必ず反対に動くことが大事って。
両面扉で良かった。なんて思いながら、すぐに馬車の後ろに移動した。
御者がお父様に近づき、胸ぐらを掴み、投げ飛ばした。
その御者は、シュリル様の茶会に誘われた時に私の後ろについた中年騎士。
まずい!
父様VS中年騎士、絶対に助からない。
少し先には、私達の馬車よりも酷い状態になって横転した反対側の馬車。
周りに人がいない。
目測を外した。
あの横転している人に助けを頼むしかないの。
と、自分の気持ちよりももっと震えている足を動かし、前に走る。
後ろから、駆ける音が聞こえた。
あぁ、気づかれた。
「この女~!!待ちやがれ!」
私は、倒れている馬車の箱を叩いた。
「助けて」
たぶん、すごく小さな声だったと思う。
こんな時に萎縮して声が出ないなんて、やっぱり私は、駄目だ。
もう足音は、すぐ後ろだ。
振り返ると、鬼の形相の中年騎士がいた。
あぁ、駄目だな、怒っている。
なんて思いながら、
「ミルフィーナ様?」
あん?
「ミルフィーナ様じゃないですか~?」
えっ?
「やっだぁ~、ミルフィーナ様、私です。ラザリーです~」
全くこの緊迫した空気にそぐわず、語尾を伸ばし、馬鹿っぽい口調、
パァッと見れば、外套を纏ったセミロングの髪がふわふわしている可愛い女の子。
「酷い目に合いまして~馬が襲撃されたんですよ。もう王都は目の前だっていうのに~もうプンプンですよ~!」
「ラザリーさん…」
この状況見てわからない。
語尾伸びてるよ凄い~!ピンチ~!
「ミルフィーナ様、の知り合い?」
ラザリーさんのトーク終了とやっと私の状況を見てもらったようで、
「いや、襲われている最中!」
と言えば、箱の中から、バンバン叩く音。
「ミルフィーナ姉様?ミルフィーナ姉様いるの?助けてくださいませ!」
ごめん、これ偶然?いや悪役令嬢の物語だから、ピンチに現れるのってヒロインなんだね。
「ギャッ」
騎士が手を出してきた、身体を捻ったけど、私の腕を掴んだ。
「ごちゃごちゃ言うな、知り合いか、チッ都合が悪過ぎる」
と腕を引っ張られ、
「グ、何故?私、」
と言えば、
「逃げるしかない、失敗したんだから、
な!」
と腕を引っ張られた勢いで、靴は脱げるしドレスは破れた。
前を向けば、お父様は丸まって地面に倒れている。投げ飛ばされたんだから当然か。
ラザリーさんだけでも逃げてと思ったら、
「イタタッタ~、この人強いですね~」
と腕を後ろで組まされていたラザリーさん。
「なんでこんなに計画通りに進まないのよ!全部このお嬢様が悪いのよ!」
と言ったラザリーさんの後ろの王宮のメイド服を着た女。
シュリル様が言ったメイド長?
先程私に絡んできたメイドで間違いはないけど…
ドンドン
「ミルフィーナ姉様、意地悪しないで助けてください~!」
ドンドン
私だって助けてあげたいよ。
でも今、現場カオスだよ。
ヒロインパワー発揮してくれないかな。
なんかこの場を変えるきっかけを!
「ミルフィーナ姉様、出して、ねぇ、ここから出して~」
「ほっとけ、自分じゃ出れない、馬も落ちついただろう。その若い女と令嬢を連れて逃げるぞ」
と中年騎士がメイド長に命令した。
あー、駄目だ、どうにもならないわ。ごめんなさいお父様!
無理矢理引っ張られ、歩かされる。靴が脱げて靴下は穴があき足の裏が痛い。
ラザリーさんは黙って、メイド長に押されるまま歩いている。
ラザリーさんが、先に馬車に乗せられて、メイド長が乗って、私が押されて乗り込むところ、騎士の押す手が止まった。
お父様が中年騎士の片足を両手でしがみついた。
「お父様」
やるしかない!
私は、押し込まれていた身体を一度前に勢いをつけてから背中ごと、後ろを見ずに騎士に向かって倒れた。
騎士は尻もちをつき、しかし流石騎士!
私を支えてくれている。
痛くない。
それに驚いたメイド長が、扉から覗いているところをラザリーさんが、両手を使い、突き落とした。
メイド長は顔面から落ちた。
そしてヒロイン2号は、馬車から飛び降りる際、メイド長の下半身に落ちた。
「ヘブっバキッ」
嫌な音が響いた。
凄いよ!ヒロイン2号ラザリーさん。
大活躍、大金星!!
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