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57 安全第一悪役令嬢
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「不審者だー!」
騒いだ廊下とバタバタ走る人達。
残ったのは、最老先生と王宮メイドと私。
「ダルン侯爵令嬢か、凄まじい令嬢ですね。これはこれはハハハ、気品も上品さもない、人集めに不審者との距離の取り方と逃げ方、魔物と戦っているのかい?」
と最老先生に言われた。
かなり失礼ではある。
「とりあえず、あなたにお願いしたいわ。すぐに東宮の中庭に案内されているマリネッセ様を助けて欲しい、あの不審者達の仲間がまだ他にいて、私はこちら側に逃げて来たけど、多分連れて行かれたから」
「わかりました」
と王宮メイドは駆けていった。
「先生、私この数年間、魔物ぽい人間、いや逆かな、人間が魔物だなぁと思いました。もちろん私も含めてです。自分の欲に忠実ですもの。先生の授業中からシュリル様の異変には気づいていて、まず自分の身の安全を確保しましたから。授業中に騒げば良いだけでしたでしょう、お茶会を潰すのなんて」
と言えば、最老先生は、
「ホッホッ証拠が欲しかったのだろう」
と言った。
そうなのかしら?いや、違うな。
私は、
「マリネッセ様を消えて欲しいというのは、シュリル様の気持ちで、私は、関係ありません。多分これは、怒りです。巻き込まれたなら、盛大に企みを壊してやろうとね。しかしまずは、自分の安全確保に動きました」
最老先生は声を上げて笑った。
「いや、王妃教育を受けるというのは、そういうことだろうよ。それぞれの国にとって邪魔者は蹴落とす、常套手段で、常に身をそこに晒されるのが王族です。ダルン侯爵令嬢、あなたは、王妃教育をきちんと体現できる令嬢だということですね。もうシュリル王女はこの国にもう来れないでしょうね。噂通りいやそれ以上だ」
何故か最老先生が褒めてくれた。
「ただ、あの痛いの~、突き飛ばされたの~、あれは酷かった。あの棒読みの言葉は一体なんだったのかね?」
「えっ、あれは…」
そこだけ切り離されると恥ずかしい。
この乙女ゲームのヒロインの真似ですけどなんて言えない。
「私なりの痛がる乙女のふり?真似をしました」
「あれは酷かった。私の方が恥ずかしかったよ」
「そんなに下手でした?私の演技…」
「ミルフィーナ嬢!」
赤い短髪の騎士が駆けてきた。
「アルフィン様、お呼びしましてすいません。このメモを見ながら、至急マリネッセ様の元へ行ってください」
とメモを渡し見送った。
「で、ダルン侯爵令嬢は、行かなくてよろしいのですか?」
「先生、邪魔してはいけませんし、私の勘違いとして逃げられるかもしれない。私も面と向かってはシュリル様と対立したくないのですよ。たかが侯爵令嬢です。怖いですし。向かう最中に襲われても困ります」
と言えば、最老先生は、また声を上げて笑った。
「素晴らしいな、ダルン侯爵令嬢。その通りです。王族とは、自らが動くものではなく、動かす者。侯爵令嬢と侮ったことお詫びします。国に何通でも誰にでも推薦状を書きますよ」
とひとしきり笑った後、続けて
「楽しみですよ」
と言った。
最老先生、私のこと侮っていたの?バトルロワイアル中、歴史も経済も攻められてばかりだったけど、たまにポテンと打てたことあったのだけど。
いや、それより、マリネッセ様だ!
警備隊や騎士たちが来てくれた。最老先生とはお別れする。
「では、レオナルド王子も応接室にお越しくださると思うので、そちらに移動願います」
と騎士の一人が言い、帰るという選択肢は消えていることが残念だった。
「はい」
私の心は、シュンと萎んだ。
会議室で待っていれば、先程マリネッセ様の元へ行ってくれたメイドが、お茶を入れてくれたメイドと何か話している。
顔が青ざめたり赤く憤怒したり表情豊かだ。
一言、
「ありがとうございます」
と伝えた。すると、あちらにいたメイド達がみんな一斉に一礼してくれた。
中々マリネッセ様もレオナルド王子様もシュリル様も部屋に入ってこない。
心配もあるけど、これでシュリル様がレオナルド王子様を諦めてくれれば良いし、まぁこの騒ぎなら自滅だけど。明日はゲームのエンディング卒業パーティーですから。
ハッピーエンドが一番だから。
扉が叩かれた。
入ってくるのは、レオナルド王子様に肩を抱かれたマリネッセ様、そしてアルフィン様、後ろからシュリル様と王子付きの騎士だ。
あの騎士の方にも私睨まれたことある。あのお見合いぽい茶会の日。
「まず、ミルフィーナ嬢、御礼を言わせてください。ありがとう。色々大事にならなくて良かった。私の考えが甘かったのが浮き彫りになってしまった。マリネッセもミルフィーナ嬢も悪かった」
シュリル様は黙っている。そしていつもよりずっと小さく幼く見えて、震えている。
レオナルド王子は、溜息をついた後、
「ミルフィーナ嬢、君の後ろについていたメイドと騎士は、まだ捕まっていない。王宮内で捜索中だ。東宮の中庭で茶会を開こうとしたシュリル様だが、詳しいことは教えてもらってなかったそうだ。ですねシュリル様」
厳しい視線のレオナルド王子は、シュリル様を見た。
頷く、震えた王女。
ここで嘘よ、あなたは知っていたのではなくてと事件解決令嬢になれればいいけど、シュリル様の心も記憶も見れない私には、何がうそかはわからない。
「まず、茶に少量の薬が入っていることはわかった。成分は今調べている。それからシュリル様の側近は今、近衞騎士達が事情を聞いている」
と王子は言った。
「マリネッセ様、何も口に入れてませんか?」
と聞くと、顔色の悪いマリネッセ様が、
「ええ、ミルフィーナ様が来てからにしようと水だけ口に含みました」
「すぐに飲みたい衝動とか視野が狭くなったとかアルコールの症状はないですか?」
と続けて聞けば、マリネッセ様は
「ないわ」
と即答だった。
「何を聞いているのだミルフィーナ嬢?」
とレオナルド王子に聞かれ、もし惚れ薬がミラン国の店だったなら、手に入れやすい品物だと思い、
「ミラン国で流行した惚れ薬の症状です。シュリル様、惚れ薬ご存知ですか?」
と聞けば、
「知らないわよ!何も知らない!帰らせて、これじゃ取調べみたいじゃない!私は何も知らないわ。あの場所に二人を招いてとメイドに頼まれただけ」
と青褪めながら話す。
「メイドに頼まれたら言う通りに動くのですか、シュリル様が全て受け入れるのですか?」
と聞けば、
「あのメイドは、メイド長なのよ!」
と言った。
何言っているの?メイド長と王女どちらが偉いかなんて、命令系統がおかしくない限り誰だってわかるでしょう。
「ミラン国では、王女がメイド長に従うのですか?」
と聞けば、
真っ赤になって私を睨みつける王女。
まぁこの辺は取調べる方達に任せて、
「マリネッセ様、何もなくて良かったです。明日は卒業式ですもの、あとは心が鎮まることを祈ります」
さぁ帰ろう。お腹も空いた。
チラッと見れば、もう完全に勝敗はついた感じだ。シュリル様はミラン国に帰るしかない。マリネッセ様の勝ちでしょう。
卒業パーティーも来賓として参加しないのではないか、この場にいるみなさんに挨拶をして、私は応接室を出た。
アルフィン様が護衛について、斜め後ろから話しかけられた。
「ミルフィーナ嬢、感謝している。知らせは侯爵家にも出した。迎えの馬車にダルン侯爵様も待機しているはずだ。後のことは任してくれ」
と言われた。
惚れ薬の件は、アルフィン様とアリサさんが解決するイベントだ、彼には期待している。
「本日用意して下さった菓子は必ず調査して下さい。シュリル様がどこまでご存知かは知りませんが、クレープという菓子を強調しておりましたので」
お願いという意味で言ったのだけど、頭を下げられてしまった。
なんというか恥ずかしい。
お父様が心配そうに立っていた。多分言いたい言葉を今は、飲み込んでいる。
「お父様」
と近寄り、手を握る。
「ミルフィーナ、大丈夫か…こんな危険なことになるなんて…」
と後悔を口に出したが、私はそれよりも疲れていて、すぐに馬車に乗る。
「お父様、帰りましょう。巻き込まれるのは仕方がなかったわ、私は回避出来たし、大丈夫よ」
「あぁ、本当に大した者だよ、ミルフィーナ。良かった」
と親子感動シーン満載で馬車は出発した。
そう、出発した。
今日起きたことを若干(自慢しつつ)武勇伝のように話していれば、
「今日の御者は随分とスピードが出ているな」
と父様の言葉で小窓を見れば、いつもの帰り道の光景とは違う。
お父様と私、目が合えば、最悪なシナリオが思い浮かんだ瞬間だった。
騒いだ廊下とバタバタ走る人達。
残ったのは、最老先生と王宮メイドと私。
「ダルン侯爵令嬢か、凄まじい令嬢ですね。これはこれはハハハ、気品も上品さもない、人集めに不審者との距離の取り方と逃げ方、魔物と戦っているのかい?」
と最老先生に言われた。
かなり失礼ではある。
「とりあえず、あなたにお願いしたいわ。すぐに東宮の中庭に案内されているマリネッセ様を助けて欲しい、あの不審者達の仲間がまだ他にいて、私はこちら側に逃げて来たけど、多分連れて行かれたから」
「わかりました」
と王宮メイドは駆けていった。
「先生、私この数年間、魔物ぽい人間、いや逆かな、人間が魔物だなぁと思いました。もちろん私も含めてです。自分の欲に忠実ですもの。先生の授業中からシュリル様の異変には気づいていて、まず自分の身の安全を確保しましたから。授業中に騒げば良いだけでしたでしょう、お茶会を潰すのなんて」
と言えば、最老先生は、
「ホッホッ証拠が欲しかったのだろう」
と言った。
そうなのかしら?いや、違うな。
私は、
「マリネッセ様を消えて欲しいというのは、シュリル様の気持ちで、私は、関係ありません。多分これは、怒りです。巻き込まれたなら、盛大に企みを壊してやろうとね。しかしまずは、自分の安全確保に動きました」
最老先生は声を上げて笑った。
「いや、王妃教育を受けるというのは、そういうことだろうよ。それぞれの国にとって邪魔者は蹴落とす、常套手段で、常に身をそこに晒されるのが王族です。ダルン侯爵令嬢、あなたは、王妃教育をきちんと体現できる令嬢だということですね。もうシュリル王女はこの国にもう来れないでしょうね。噂通りいやそれ以上だ」
何故か最老先生が褒めてくれた。
「ただ、あの痛いの~、突き飛ばされたの~、あれは酷かった。あの棒読みの言葉は一体なんだったのかね?」
「えっ、あれは…」
そこだけ切り離されると恥ずかしい。
この乙女ゲームのヒロインの真似ですけどなんて言えない。
「私なりの痛がる乙女のふり?真似をしました」
「あれは酷かった。私の方が恥ずかしかったよ」
「そんなに下手でした?私の演技…」
「ミルフィーナ嬢!」
赤い短髪の騎士が駆けてきた。
「アルフィン様、お呼びしましてすいません。このメモを見ながら、至急マリネッセ様の元へ行ってください」
とメモを渡し見送った。
「で、ダルン侯爵令嬢は、行かなくてよろしいのですか?」
「先生、邪魔してはいけませんし、私の勘違いとして逃げられるかもしれない。私も面と向かってはシュリル様と対立したくないのですよ。たかが侯爵令嬢です。怖いですし。向かう最中に襲われても困ります」
と言えば、最老先生は、また声を上げて笑った。
「素晴らしいな、ダルン侯爵令嬢。その通りです。王族とは、自らが動くものではなく、動かす者。侯爵令嬢と侮ったことお詫びします。国に何通でも誰にでも推薦状を書きますよ」
とひとしきり笑った後、続けて
「楽しみですよ」
と言った。
最老先生、私のこと侮っていたの?バトルロワイアル中、歴史も経済も攻められてばかりだったけど、たまにポテンと打てたことあったのだけど。
いや、それより、マリネッセ様だ!
警備隊や騎士たちが来てくれた。最老先生とはお別れする。
「では、レオナルド王子も応接室にお越しくださると思うので、そちらに移動願います」
と騎士の一人が言い、帰るという選択肢は消えていることが残念だった。
「はい」
私の心は、シュンと萎んだ。
会議室で待っていれば、先程マリネッセ様の元へ行ってくれたメイドが、お茶を入れてくれたメイドと何か話している。
顔が青ざめたり赤く憤怒したり表情豊かだ。
一言、
「ありがとうございます」
と伝えた。すると、あちらにいたメイド達がみんな一斉に一礼してくれた。
中々マリネッセ様もレオナルド王子様もシュリル様も部屋に入ってこない。
心配もあるけど、これでシュリル様がレオナルド王子様を諦めてくれれば良いし、まぁこの騒ぎなら自滅だけど。明日はゲームのエンディング卒業パーティーですから。
ハッピーエンドが一番だから。
扉が叩かれた。
入ってくるのは、レオナルド王子様に肩を抱かれたマリネッセ様、そしてアルフィン様、後ろからシュリル様と王子付きの騎士だ。
あの騎士の方にも私睨まれたことある。あのお見合いぽい茶会の日。
「まず、ミルフィーナ嬢、御礼を言わせてください。ありがとう。色々大事にならなくて良かった。私の考えが甘かったのが浮き彫りになってしまった。マリネッセもミルフィーナ嬢も悪かった」
シュリル様は黙っている。そしていつもよりずっと小さく幼く見えて、震えている。
レオナルド王子は、溜息をついた後、
「ミルフィーナ嬢、君の後ろについていたメイドと騎士は、まだ捕まっていない。王宮内で捜索中だ。東宮の中庭で茶会を開こうとしたシュリル様だが、詳しいことは教えてもらってなかったそうだ。ですねシュリル様」
厳しい視線のレオナルド王子は、シュリル様を見た。
頷く、震えた王女。
ここで嘘よ、あなたは知っていたのではなくてと事件解決令嬢になれればいいけど、シュリル様の心も記憶も見れない私には、何がうそかはわからない。
「まず、茶に少量の薬が入っていることはわかった。成分は今調べている。それからシュリル様の側近は今、近衞騎士達が事情を聞いている」
と王子は言った。
「マリネッセ様、何も口に入れてませんか?」
と聞くと、顔色の悪いマリネッセ様が、
「ええ、ミルフィーナ様が来てからにしようと水だけ口に含みました」
「すぐに飲みたい衝動とか視野が狭くなったとかアルコールの症状はないですか?」
と続けて聞けば、マリネッセ様は
「ないわ」
と即答だった。
「何を聞いているのだミルフィーナ嬢?」
とレオナルド王子に聞かれ、もし惚れ薬がミラン国の店だったなら、手に入れやすい品物だと思い、
「ミラン国で流行した惚れ薬の症状です。シュリル様、惚れ薬ご存知ですか?」
と聞けば、
「知らないわよ!何も知らない!帰らせて、これじゃ取調べみたいじゃない!私は何も知らないわ。あの場所に二人を招いてとメイドに頼まれただけ」
と青褪めながら話す。
「メイドに頼まれたら言う通りに動くのですか、シュリル様が全て受け入れるのですか?」
と聞けば、
「あのメイドは、メイド長なのよ!」
と言った。
何言っているの?メイド長と王女どちらが偉いかなんて、命令系統がおかしくない限り誰だってわかるでしょう。
「ミラン国では、王女がメイド長に従うのですか?」
と聞けば、
真っ赤になって私を睨みつける王女。
まぁこの辺は取調べる方達に任せて、
「マリネッセ様、何もなくて良かったです。明日は卒業式ですもの、あとは心が鎮まることを祈ります」
さぁ帰ろう。お腹も空いた。
チラッと見れば、もう完全に勝敗はついた感じだ。シュリル様はミラン国に帰るしかない。マリネッセ様の勝ちでしょう。
卒業パーティーも来賓として参加しないのではないか、この場にいるみなさんに挨拶をして、私は応接室を出た。
アルフィン様が護衛について、斜め後ろから話しかけられた。
「ミルフィーナ嬢、感謝している。知らせは侯爵家にも出した。迎えの馬車にダルン侯爵様も待機しているはずだ。後のことは任してくれ」
と言われた。
惚れ薬の件は、アルフィン様とアリサさんが解決するイベントだ、彼には期待している。
「本日用意して下さった菓子は必ず調査して下さい。シュリル様がどこまでご存知かは知りませんが、クレープという菓子を強調しておりましたので」
お願いという意味で言ったのだけど、頭を下げられてしまった。
なんというか恥ずかしい。
お父様が心配そうに立っていた。多分言いたい言葉を今は、飲み込んでいる。
「お父様」
と近寄り、手を握る。
「ミルフィーナ、大丈夫か…こんな危険なことになるなんて…」
と後悔を口に出したが、私はそれよりも疲れていて、すぐに馬車に乗る。
「お父様、帰りましょう。巻き込まれるのは仕方がなかったわ、私は回避出来たし、大丈夫よ」
「あぁ、本当に大した者だよ、ミルフィーナ。良かった」
と親子感動シーン満載で馬車は出発した。
そう、出発した。
今日起きたことを若干(自慢しつつ)武勇伝のように話していれば、
「今日の御者は随分とスピードが出ているな」
と父様の言葉で小窓を見れば、いつもの帰り道の光景とは違う。
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