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44 悪役令嬢と変化
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家庭教師の先生が来た。
夏休みの短期集中型になる。
お父様は元王妃教育に携わった人ばかり集めてくれた。
先生達は、理由を聞かない。学びたければ学べば良いという考えだ。
正直になろう…決めたことなのに、いざ自分の口から気持ちを話すそれだけが、こんなに恥ずかしくて難しいとは知らなかった。
教師の先生が来る前日に、兄様やお義母様にも私の言葉で伝えた。
ヒロインを天真爛漫だとか楽天的とか思っていたけど、それって凄く大変だと気づいた。
でも良い所は取り入れていく。
お父様の優しさに感謝して、兄様は、わからない所を聞けば教えてくれる。
もう私の周りにいる人は誰も
「お前には無理だ」
と言わない。
気持ちを伝えたことで応援してくれている。
それでも、
「キツい、大変、わからないし、もう駄目~」
とベッドにだらしなく突っ伏して、ラーニャが入ってきたから慌ててベッドの上にちょこんと座った。
「お嬢様、人間すぐに変わったら別人ですよ。それより、今まで通り気持ちを言葉にして吐き出してください。それがお嬢様のヒロイン道ですよ。同じじゃないですか、好きは言えないけどすぐに嫌いは言える。辛いは言えて嬉しいは言えない、まぁそれが人ですよ!」
「ラーニャ」
それからも一日の大半を、勉強に費やした。お父様や兄様達が領地に帰っても先生が来てくださる以上、勉強する。
そんな勉強漬けの夏休みを終え、私は、再び学校に通うと、ラザリーさんが髪の毛をばっさり切っていたことに驚いた。
「男爵令嬢と言えば、ほぼ平民ですから~」
とピンクのカチューシャもやめてピンを両サイドにする程度だった。すっきりしていた。
彼女の周りに人が集まり、何があったのか聞いているクラスメイト。輪の中心にいるヒロインぽい。
そして待望の席替え。
ラザリーさんと離れると少し寂しいってどんな感情なのかしら。
「ミルフィーナ様~、意地悪してごめんなさい~」
とラザリーさんは席の移動の際に、突然そう言った。一瞬止まった。
私は、ラザリーさんに意地悪されていたのね?
まるで憑き物が取れたかのような笑顔で、
「身分の高い人は、傲慢だから~と知り合いに言われて、彼女の話を真似しました~」
んっ!?
やっぱりアリサさんかい!
「ラザリー様、私こそ意地悪してごめんなさい」
と言えた。満面の笑みで答えるラザリーさんは、クラスメイトの一人だ。これで仲良くなれるかはわからない。ただ一歩引いて見ていたラザリーさんと、授業中に寝ていたら、腕を叩いて起こすぐらいの関係になれるのではないかと思った。
私達は成長しているんだと実感できた。
令嬢達からお土産を頂いたり、夏休みに何をしたかと盛り上がった。
「ミルフィーナ様は夏休みは何をしていたんですか?」
と聞かれ、戸惑いながらも
「私、好きな人が出来ましたの」
と言うと、みんな身を乗り出して聞いてくれる。女の子は恋の話が好きだよね。
「隣国、トモホーク王国の方ですの。また会えるように、自分のために勉強しています」
と伝えた。カリナ様が
「そうですか、だから、ミルフィーナ様お綺麗になられたのですね。一段と大人っぽくなられたというか、美しくなられたなあと感じておりました」
「ええ、輝きがありますもの」
とみんな褒めてくれる。
否定しようかと思ったが、素直な言葉を言おう。
「ありがとうございます、嬉しいです」
それは、生まれたての子鹿みたいにカクカクした上手くはないけど、一生懸命さだけは伝わったようで、みんな笑ってくれた。
カリナ様達何人かの令嬢達は、サーカス団を見たそうで、ひたすら、感動しただの素晴らしかったと語っていた。話を聞くサーカス団は、イケメンが歌やダンス、芝居などをするらしい。
カリナ様は三回ほど見たと自慢していた。知らなかったがサーカス団というのは、かなり高額なチケットだそうだ。
そしてある日、
「ミルフィーナ様、少しお話してもいいですか~?」
とラザリーさんから声をかけてくれた。アリサさんのことがあるから、私から聞こうと思っていたけど…
「もちろんです」
私達は、食堂のテラスに移動した。
本当にラザリーさんはスッキリしていた。髪型がどうとかじゃなくて。
「私、レオナルド王子様のパーティーでやっと分相応って知ったんです~。おかしいでしょう?身分制なのに、見ないふりをしていたんです。みんな平等って言葉に逃げて~」
ラザリーさんは少し俯く。
「私は、あの日父様の体調が良くなくてパーティーは途中で帰ったのだけど」
と言えば、
「私なんて相手にもされませんでした!いや、笑ってしまうほどに。みんな輝いていて世界が違くて…同じ人間に見えなかったです~。そこは知らない世界でした。ミルフィーナ様みたいなお姫様ばかりで~、夢物語みたいでした。あれが令嬢の世界なんですね~、アリサさんもきっと令嬢の世界を知らないんだろうなと思いました。それを口にしたら、話してくれなくなってしまいましたが…」
参加したがっていたアリサさんに言っちゃったのか、機嫌悪かったんじゃないかしら?
「アリサさん…あの日怒っていたでしょう?ダルン侯爵家に来たのよ」
「そうですね~、捨てられたとか酷い扱いを受けた~とは言ってましたけど。私もアリサさんには、避けられているようで、あまり会ってないのでわからないのですが」
と悲しそうにラザリーさんが言った。もうこの子の後ろにアリサさんはいないのね。
「ミルフィーナ様、私~、令嬢の世界には、向かないです~、あまりにも場違いで叔父様と笑ってしまいました。叔父様は、私に好きなようにさせてくれて、そのおかげでスッキリしたんです。ピカピカな王子様は、見るだけでいいなって。辛いとかそんなのもなくて、普通に違うってわかったんです~、なんとなくミルフィーナ様には、カッコ悪い所ばかり見せていたので、お知らせしたくて~」
「ありがとうございます、ラザリー様、心の中の話をしてくれたんですね。これからの頑張る方向は?」
と聞くと、
「勉強は嫌いです~」
と答えたのがラザリーさんぽかった。
「素敵な人見つけたいです~」
ふふふっ
それもヒロインぽいかもしれない。
学校から帰って来ても勉強はある。完璧令嬢にはなれないけど、沢山の知識は、国の民の為になるなら、知らない事を潰す作業は出来るなと本を読む。
それは、国は関係ないから。
あんなに嫌だった刺繍は、レオナ様からバザーに出すと言われれば、もちろん協力する。意味があることを知ったから。貴族令嬢が刺した刺繍をお守りのようにしている民もいること、もちろん事情があって孤児になった者への資金集め、ボランティアが他の人と繋がって生きることに活かされて、それも貴族の役割だと知れたこと。
全部私の為だった。
「本当にお嬢様、変わりましたね。奥様が亡くなった後も変わりましたが、また一層魅力的になりました。…私、今年いっぱいでダルン家のメイドを辞めます」
とラーニャは笑顔で言った。
「結婚するのね、お店はどこに出すの?」
と聞くと、
「ダルン侯爵領地です」
「なら、夏休みは領地に戻らないといけないわね」
「お嬢様、いまは、ご自身のことを考えてください。私だって自分を優先して、お嬢様が大変な時にもかかわらず結婚するんですから」
否定しようかなと思ったけど
「本当よ、私がヒョーガル王子様と会う感動シーンを見逃すなんて私のメイドとしてあるまじきですわ」
と笑いながら言った。
「はい」
…
「申し訳ありません…」
…
「お嬢様…私、出来れば、ずっと…」
「だめよ!ラーニャ。それでいいの。ラーニャが幸せにならなきゃ、下が育たないわ。先輩は、教わったことを後輩に教えていくの。ラーニャは、次の段階に入って、後輩に任せたりや見守る段階に入ったのよ。そしてまたラーニャの子が、誰かの後輩になって、そうやって仕事が回って、繋がりが出来るんでしょう。私のメイドなんだから、次の段階でも大丈夫よ。ラーニャ、私、すごく楽しいの」
…
「泣かないで、ラーニャ」
…
「はい、お嬢様…私、メイドの仕事は好きですし、最後までお嬢様の最高なメイドとして名を馳せますよ」
「うん、最高!」
こうして、私の14歳は終わり、15歳を迎え二年生に進級した。
兄様やレオナ様、レオナルド王子様達は、17才に最終学年になった。
そして、乙女ゲームは、レオナルド王子様の卒業式後のパーティーがエンディングになる。これはゲームのPRで覚えていた。星空の下でのダンスシーン。
途中で離脱したゲームストーリーは、わからないけど、今、出来ることをやるしかない。
転入生が廊下を歩いていた。見覚えのある茶色より黄色に近い髪色、目は大きく唇はピンク、肌は白い、正真正銘のヒロインが、本編に現れた。
夏休みの短期集中型になる。
お父様は元王妃教育に携わった人ばかり集めてくれた。
先生達は、理由を聞かない。学びたければ学べば良いという考えだ。
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ヒロインを天真爛漫だとか楽天的とか思っていたけど、それって凄く大変だと気づいた。
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もう私の周りにいる人は誰も
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と言わない。
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とベッドにだらしなく突っ伏して、ラーニャが入ってきたから慌ててベッドの上にちょこんと座った。
「お嬢様、人間すぐに変わったら別人ですよ。それより、今まで通り気持ちを言葉にして吐き出してください。それがお嬢様のヒロイン道ですよ。同じじゃないですか、好きは言えないけどすぐに嫌いは言える。辛いは言えて嬉しいは言えない、まぁそれが人ですよ!」
「ラーニャ」
それからも一日の大半を、勉強に費やした。お父様や兄様達が領地に帰っても先生が来てくださる以上、勉強する。
そんな勉強漬けの夏休みを終え、私は、再び学校に通うと、ラザリーさんが髪の毛をばっさり切っていたことに驚いた。
「男爵令嬢と言えば、ほぼ平民ですから~」
とピンクのカチューシャもやめてピンを両サイドにする程度だった。すっきりしていた。
彼女の周りに人が集まり、何があったのか聞いているクラスメイト。輪の中心にいるヒロインぽい。
そして待望の席替え。
ラザリーさんと離れると少し寂しいってどんな感情なのかしら。
「ミルフィーナ様~、意地悪してごめんなさい~」
とラザリーさんは席の移動の際に、突然そう言った。一瞬止まった。
私は、ラザリーさんに意地悪されていたのね?
まるで憑き物が取れたかのような笑顔で、
「身分の高い人は、傲慢だから~と知り合いに言われて、彼女の話を真似しました~」
んっ!?
やっぱりアリサさんかい!
「ラザリー様、私こそ意地悪してごめんなさい」
と言えた。満面の笑みで答えるラザリーさんは、クラスメイトの一人だ。これで仲良くなれるかはわからない。ただ一歩引いて見ていたラザリーさんと、授業中に寝ていたら、腕を叩いて起こすぐらいの関係になれるのではないかと思った。
私達は成長しているんだと実感できた。
令嬢達からお土産を頂いたり、夏休みに何をしたかと盛り上がった。
「ミルフィーナ様は夏休みは何をしていたんですか?」
と聞かれ、戸惑いながらも
「私、好きな人が出来ましたの」
と言うと、みんな身を乗り出して聞いてくれる。女の子は恋の話が好きだよね。
「隣国、トモホーク王国の方ですの。また会えるように、自分のために勉強しています」
と伝えた。カリナ様が
「そうですか、だから、ミルフィーナ様お綺麗になられたのですね。一段と大人っぽくなられたというか、美しくなられたなあと感じておりました」
「ええ、輝きがありますもの」
とみんな褒めてくれる。
否定しようかと思ったが、素直な言葉を言おう。
「ありがとうございます、嬉しいです」
それは、生まれたての子鹿みたいにカクカクした上手くはないけど、一生懸命さだけは伝わったようで、みんな笑ってくれた。
カリナ様達何人かの令嬢達は、サーカス団を見たそうで、ひたすら、感動しただの素晴らしかったと語っていた。話を聞くサーカス団は、イケメンが歌やダンス、芝居などをするらしい。
カリナ様は三回ほど見たと自慢していた。知らなかったがサーカス団というのは、かなり高額なチケットだそうだ。
そしてある日、
「ミルフィーナ様、少しお話してもいいですか~?」
とラザリーさんから声をかけてくれた。アリサさんのことがあるから、私から聞こうと思っていたけど…
「もちろんです」
私達は、食堂のテラスに移動した。
本当にラザリーさんはスッキリしていた。髪型がどうとかじゃなくて。
「私、レオナルド王子様のパーティーでやっと分相応って知ったんです~。おかしいでしょう?身分制なのに、見ないふりをしていたんです。みんな平等って言葉に逃げて~」
ラザリーさんは少し俯く。
「私は、あの日父様の体調が良くなくてパーティーは途中で帰ったのだけど」
と言えば、
「私なんて相手にもされませんでした!いや、笑ってしまうほどに。みんな輝いていて世界が違くて…同じ人間に見えなかったです~。そこは知らない世界でした。ミルフィーナ様みたいなお姫様ばかりで~、夢物語みたいでした。あれが令嬢の世界なんですね~、アリサさんもきっと令嬢の世界を知らないんだろうなと思いました。それを口にしたら、話してくれなくなってしまいましたが…」
参加したがっていたアリサさんに言っちゃったのか、機嫌悪かったんじゃないかしら?
「アリサさん…あの日怒っていたでしょう?ダルン侯爵家に来たのよ」
「そうですね~、捨てられたとか酷い扱いを受けた~とは言ってましたけど。私もアリサさんには、避けられているようで、あまり会ってないのでわからないのですが」
と悲しそうにラザリーさんが言った。もうこの子の後ろにアリサさんはいないのね。
「ミルフィーナ様、私~、令嬢の世界には、向かないです~、あまりにも場違いで叔父様と笑ってしまいました。叔父様は、私に好きなようにさせてくれて、そのおかげでスッキリしたんです。ピカピカな王子様は、見るだけでいいなって。辛いとかそんなのもなくて、普通に違うってわかったんです~、なんとなくミルフィーナ様には、カッコ悪い所ばかり見せていたので、お知らせしたくて~」
「ありがとうございます、ラザリー様、心の中の話をしてくれたんですね。これからの頑張る方向は?」
と聞くと、
「勉強は嫌いです~」
と答えたのがラザリーさんぽかった。
「素敵な人見つけたいです~」
ふふふっ
それもヒロインぽいかもしれない。
学校から帰って来ても勉強はある。完璧令嬢にはなれないけど、沢山の知識は、国の民の為になるなら、知らない事を潰す作業は出来るなと本を読む。
それは、国は関係ないから。
あんなに嫌だった刺繍は、レオナ様からバザーに出すと言われれば、もちろん協力する。意味があることを知ったから。貴族令嬢が刺した刺繍をお守りのようにしている民もいること、もちろん事情があって孤児になった者への資金集め、ボランティアが他の人と繋がって生きることに活かされて、それも貴族の役割だと知れたこと。
全部私の為だった。
「本当にお嬢様、変わりましたね。奥様が亡くなった後も変わりましたが、また一層魅力的になりました。…私、今年いっぱいでダルン家のメイドを辞めます」
とラーニャは笑顔で言った。
「結婚するのね、お店はどこに出すの?」
と聞くと、
「ダルン侯爵領地です」
「なら、夏休みは領地に戻らないといけないわね」
「お嬢様、いまは、ご自身のことを考えてください。私だって自分を優先して、お嬢様が大変な時にもかかわらず結婚するんですから」
否定しようかなと思ったけど
「本当よ、私がヒョーガル王子様と会う感動シーンを見逃すなんて私のメイドとしてあるまじきですわ」
と笑いながら言った。
「はい」
…
「申し訳ありません…」
…
「お嬢様…私、出来れば、ずっと…」
「だめよ!ラーニャ。それでいいの。ラーニャが幸せにならなきゃ、下が育たないわ。先輩は、教わったことを後輩に教えていくの。ラーニャは、次の段階に入って、後輩に任せたりや見守る段階に入ったのよ。そしてまたラーニャの子が、誰かの後輩になって、そうやって仕事が回って、繋がりが出来るんでしょう。私のメイドなんだから、次の段階でも大丈夫よ。ラーニャ、私、すごく楽しいの」
…
「泣かないで、ラーニャ」
…
「はい、お嬢様…私、メイドの仕事は好きですし、最後までお嬢様の最高なメイドとして名を馳せますよ」
「うん、最高!」
こうして、私の14歳は終わり、15歳を迎え二年生に進級した。
兄様やレオナ様、レオナルド王子様達は、17才に最終学年になった。
そして、乙女ゲームは、レオナルド王子様の卒業式後のパーティーがエンディングになる。これはゲームのPRで覚えていた。星空の下でのダンスシーン。
途中で離脱したゲームストーリーは、わからないけど、今、出来ることをやるしかない。
転入生が廊下を歩いていた。見覚えのある茶色より黄色に近い髪色、目は大きく唇はピンク、肌は白い、正真正銘のヒロインが、本編に現れた。
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