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8 悪役令嬢兄の計略
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次の日からお義母様が体調を崩されたらしく顔を合わせなくなった。
ダイニングに集まった時、アリサさんはいつも通りで、父様は不機嫌。兄様は挙動不審だ。なんなんだ一体?兄様がこんな存在が怪しいし鬱陶しいと感じる日が来るなんて。
チラッとこちらを見ないで!
私は、まるでこの状態を仕掛けた犯人みたいだ。
いや、実際私か。悪役令嬢だし。
「お義母様のお見舞いに参りましょうか?」
と食事を終えた後、父様に聞くと、
「いや、ミルフィーナ、執務室に来てくれ、少し話がある」
と呼び出された。昨日のお茶会か。チラッとアリサさんを見たが、いつも通りニコニコしていた。
「失礼します、お父様」
と執務室に入ると、お父様はソファーに座って、私に座るように言う。向かい合わせに座り、重い口を開いた。
「ミルフィーナが言っていた通り、アリサの行動は、貴族というより平民の娼婦の仕草に近い。今から礼儀作法の家庭教師をつけても表面を繕うだけで根本は変わらないだろうと思う。とても侯爵令嬢として、外に出せるような令嬢には、ならないと思う。エルフィンの案にのり、早く婚約者を見つけて、その家で何年間か花嫁修行をさせようと思う」
と言った。
確かに、若くふわふわとした可愛い笑顔の消費期限は早い。その後は洗練された貴族マナーや気品や貴族としての質が女性は求められる。家を守る女主人として。
ただ真面目なお兄様の案?
本当に?
いや、だからあんなにチラチラこちらを見ていたのか!
「その話をしたから、お義母様は寝込んでしまったのですか?」
と聞くと、父様は、
「あぁ、でも納得はしてくれたよ。ずっと謝ってばかりいるのだけどね。やはりローズリーもアリサがするエルフィンに対する態度が気になっていたらしい。どこで覚えたのかとも言っていたが、子爵家でしかないだろうな。今は、侯爵の名もあるし、ミルフィーナ、君より先に婚約者を見つけることになるが異論があるか?」
と聞かれ、顔を振り、
「ありません」
と伝えた。そして、
「出来る限りアリサさんが満足するお相手を見つけてあげてください」
と言った。
これは、私の罪滅ぼしの一言。
本来、学校で乙女ゲームのヒロインとして華々しい恋愛ゲームをするわけだが、私は悪役令嬢として参加したくないし、無視したところで面倒に巻き込まれることはわかっている。こちらが望まなくたって強制的に動かされる場合もあると考えた。
アリサさんには悪いけど、プロローグだけ体験して本編に行かない、試作だけ体験して本編やらないパターンでごめんねと心の中で謝った。
そして、私は執務室から出た。
廊下で侯爵令嬢としての礼儀作法を考えた。もし学校にいってアリサさんがあのままで許されて成り上がって皇太子妃まで行くのだとしたら、貴族令嬢達の今までの礼儀作法として教師から習い、親から指導される、幼少期から今までの時間を全否定されるようなものだ。
乙女ゲームのヒロインだから許される!?そんなのありえないから!!
「お嬢様、アリサさんがお嬢様とお茶を希望しておりますが、いかがしますか?」
「ラーニャ、昨日言った通り、街に行きましょう。執事長には、昨日お茶会に参加出来なかった詫び状を書くため、マリネッセ様のための便箋を買いに行くと伝えて。きっとそちらからアリサさんには伝わるんじゃないかしら?時間稼ぎよろしく!」
と言って、すぐに準備する。
アリサさんの恐ろしいところは、メイドを通しておきながら、自分で確認しに来てしまうという実行力、ヒロイン力というべきか、かなりアグレッシブな女性だ。じゃなきゃお兄様だってレオナ様が我が家にお見えになっていたのにアリサさんを優先はしない。きっと自ら乗り込んでいたのだろうと思う。
「さぁ、急いで街に出る支度を!」
馬車が走り出し、ラーニャが汗をハンカチで拭いている。
まさか玄関に向かって階段を降りる際にアリサさんに見つかった。
「ミルフィーナ姉様どちらに?私、今日の午後お茶をご一緒させていただきたくて」
と階段の上から声がかかった。私は笑顔を崩さないように、
「アリサさん、嬉しいわ。誘ってくださって。でも今日は出かけなければいけないのごめんなさいね」
と言って、階段を一歩降りる。
「私もご一緒いたしますわ。今日もやることはありませんし、お姉様は、貴族令嬢を多くご存知でしょうから紹介してくださいませ♪」
と言ってきた。
なんていうか事前の根回しもなく、私の知り合いと顔見知りになりたいと言うの?私がこれまで積み上げてきた関係を一瞬で奪うというのか、こいつは!
相変わらず、図々しい。貴族令嬢が全くわかってない。何故上位貴族と下位貴族が隔たりがあるのかは、付き合いや根回しがないからだし。損得の比重が合わないからでしょう。それを合わせるために人脈を作りコネを作るんでしょう。
この子、本当に何も考えてないんだわ。
怖いわ、これがヒロインの誰でも平等理論。
『合わない』
絶対に上位貴族令嬢とは合わない。下位貴族だって彼女といたら、顔を青褪めて心臓がもたないだろう。
みんなのためにも、彼女は学校に行かない方がいい。乙女ゲームは、貴族社会に旋風ではなく傷害を撒き散らすだけだ。
「ごめんなさい、アリサさん。私もう出ないと行けないの。詳しくは執事長に聞いてくださいな」
と言えば、
「大丈夫です、ミルフィーナ姉様。私このまますぐに出れますから」
と階段を降り始めた。ラーニャが慌てて、階段を登り、アリサ様の付き人がいない事や事前に出かけることを申請しなければいけない事を説明していた。
私は玄関に向かい、執事長がいたので軽く手をあげ、玄関を開けてもらった。
馬車で座っていれば、息を切らして滑り込んだラーニャというわけだった。
ダイニングに集まった時、アリサさんはいつも通りで、父様は不機嫌。兄様は挙動不審だ。なんなんだ一体?兄様がこんな存在が怪しいし鬱陶しいと感じる日が来るなんて。
チラッとこちらを見ないで!
私は、まるでこの状態を仕掛けた犯人みたいだ。
いや、実際私か。悪役令嬢だし。
「お義母様のお見舞いに参りましょうか?」
と食事を終えた後、父様に聞くと、
「いや、ミルフィーナ、執務室に来てくれ、少し話がある」
と呼び出された。昨日のお茶会か。チラッとアリサさんを見たが、いつも通りニコニコしていた。
「失礼します、お父様」
と執務室に入ると、お父様はソファーに座って、私に座るように言う。向かい合わせに座り、重い口を開いた。
「ミルフィーナが言っていた通り、アリサの行動は、貴族というより平民の娼婦の仕草に近い。今から礼儀作法の家庭教師をつけても表面を繕うだけで根本は変わらないだろうと思う。とても侯爵令嬢として、外に出せるような令嬢には、ならないと思う。エルフィンの案にのり、早く婚約者を見つけて、その家で何年間か花嫁修行をさせようと思う」
と言った。
確かに、若くふわふわとした可愛い笑顔の消費期限は早い。その後は洗練された貴族マナーや気品や貴族としての質が女性は求められる。家を守る女主人として。
ただ真面目なお兄様の案?
本当に?
いや、だからあんなにチラチラこちらを見ていたのか!
「その話をしたから、お義母様は寝込んでしまったのですか?」
と聞くと、父様は、
「あぁ、でも納得はしてくれたよ。ずっと謝ってばかりいるのだけどね。やはりローズリーもアリサがするエルフィンに対する態度が気になっていたらしい。どこで覚えたのかとも言っていたが、子爵家でしかないだろうな。今は、侯爵の名もあるし、ミルフィーナ、君より先に婚約者を見つけることになるが異論があるか?」
と聞かれ、顔を振り、
「ありません」
と伝えた。そして、
「出来る限りアリサさんが満足するお相手を見つけてあげてください」
と言った。
これは、私の罪滅ぼしの一言。
本来、学校で乙女ゲームのヒロインとして華々しい恋愛ゲームをするわけだが、私は悪役令嬢として参加したくないし、無視したところで面倒に巻き込まれることはわかっている。こちらが望まなくたって強制的に動かされる場合もあると考えた。
アリサさんには悪いけど、プロローグだけ体験して本編に行かない、試作だけ体験して本編やらないパターンでごめんねと心の中で謝った。
そして、私は執務室から出た。
廊下で侯爵令嬢としての礼儀作法を考えた。もし学校にいってアリサさんがあのままで許されて成り上がって皇太子妃まで行くのだとしたら、貴族令嬢達の今までの礼儀作法として教師から習い、親から指導される、幼少期から今までの時間を全否定されるようなものだ。
乙女ゲームのヒロインだから許される!?そんなのありえないから!!
「お嬢様、アリサさんがお嬢様とお茶を希望しておりますが、いかがしますか?」
「ラーニャ、昨日言った通り、街に行きましょう。執事長には、昨日お茶会に参加出来なかった詫び状を書くため、マリネッセ様のための便箋を買いに行くと伝えて。きっとそちらからアリサさんには伝わるんじゃないかしら?時間稼ぎよろしく!」
と言って、すぐに準備する。
アリサさんの恐ろしいところは、メイドを通しておきながら、自分で確認しに来てしまうという実行力、ヒロイン力というべきか、かなりアグレッシブな女性だ。じゃなきゃお兄様だってレオナ様が我が家にお見えになっていたのにアリサさんを優先はしない。きっと自ら乗り込んでいたのだろうと思う。
「さぁ、急いで街に出る支度を!」
馬車が走り出し、ラーニャが汗をハンカチで拭いている。
まさか玄関に向かって階段を降りる際にアリサさんに見つかった。
「ミルフィーナ姉様どちらに?私、今日の午後お茶をご一緒させていただきたくて」
と階段の上から声がかかった。私は笑顔を崩さないように、
「アリサさん、嬉しいわ。誘ってくださって。でも今日は出かけなければいけないのごめんなさいね」
と言って、階段を一歩降りる。
「私もご一緒いたしますわ。今日もやることはありませんし、お姉様は、貴族令嬢を多くご存知でしょうから紹介してくださいませ♪」
と言ってきた。
なんていうか事前の根回しもなく、私の知り合いと顔見知りになりたいと言うの?私がこれまで積み上げてきた関係を一瞬で奪うというのか、こいつは!
相変わらず、図々しい。貴族令嬢が全くわかってない。何故上位貴族と下位貴族が隔たりがあるのかは、付き合いや根回しがないからだし。損得の比重が合わないからでしょう。それを合わせるために人脈を作りコネを作るんでしょう。
この子、本当に何も考えてないんだわ。
怖いわ、これがヒロインの誰でも平等理論。
『合わない』
絶対に上位貴族令嬢とは合わない。下位貴族だって彼女といたら、顔を青褪めて心臓がもたないだろう。
みんなのためにも、彼女は学校に行かない方がいい。乙女ゲームは、貴族社会に旋風ではなく傷害を撒き散らすだけだ。
「ごめんなさい、アリサさん。私もう出ないと行けないの。詳しくは執事長に聞いてくださいな」
と言えば、
「大丈夫です、ミルフィーナ姉様。私このまますぐに出れますから」
と階段を降り始めた。ラーニャが慌てて、階段を登り、アリサ様の付き人がいない事や事前に出かけることを申請しなければいけない事を説明していた。
私は玄関に向かい、執事長がいたので軽く手をあげ、玄関を開けてもらった。
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