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5 ヒロインの違和感
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『なんかおかしい』
急にお兄様の態度が激変したわ。お兄様がミルフィーナ姉様に注意してからね。あれは、私も同じ話題を出していたのが悪かったわ。
だけど、ミルフィーナ姉様は、隙がないというか同じ屋敷にいるのに接点がない。なさすぎるから、呼び方とお茶の話になってしまう。
メイドにも避けられているのかしら?とさりげなく聞いてみたが、
「先程は、廊下に出ていた」
とか
「庭園にいましたよ」
とか、
「すれ違いが多いですね」
と言われる。
本当にそうかしら?
お兄様は、すぐに私に心を開いてくれたけど、使用人もどこかよそよそしい。お母様に言えば、まだ一か月も経っていないのだから、これから仲良くなるわとか言われた。
侯爵家の人と仲良くしたいのはわかるけど、急に距離を詰めるのは違うわとお説教されたし。
お母様も様子が変。妙に周りを気にしているというか、もう女主人なのだからミルフィーナ様なんて呼ぶ必要無いのよ、と意見したら怒られた。
何故家族にそんな身分を気にするのかわからないわ。
だって私達同じ位置づけよ!
お母様があんな態度だから使用人も、私と距離があるのよ。
お母様のせいなのか、
「何かいつもと違うのよね」
私は、子爵家の娘だったがお父様が亡くなって5年。お父様の弟の叔父様が子爵家を継いだ。当然叔父様にも家族がいるので、私と母様は別宅に住んでいた。
「本当は私達が住んでいたのに」
と当時何度も思っていたし、明らかにお父様が亡くなってから、私達は衣食住の質が落ちた。叔父様達家族が、服を作っても私達は作ってもらえない。食事も同じものではない。メイドが一人と料理人が一人。別宅がどうなっているかなんて気にしてないようだった。
ある日、久しぶりに従兄弟と会った。沢山のお菓子に囲まれていた。お茶会ですって。私は、従兄弟に甘えてみた。
するとお茶会に毎回呼ばれる。従兄弟同士仲良くしようと言った。
まぁ、こんなんでお菓子が貰えると思ったら、笑ってしまう。
隣に座ってニコニコ話を聞いたり、腕を引っ張ったり、手を繋いだり。
ただ、違う令嬢が一緒になると一気に私から新しい令嬢へとお菓子が移動していた。
だから、令嬢達が来た時は、よく話を聞きながら、その令嬢達が従兄弟の事をすこしでも悪く言ったなら、そこを強調して従兄弟に告げ口のように言うと、やっぱりアリサしかいないと言って大量のお菓子が目の前に出された。
「何だ簡単じゃない」
心に芽吹く言葉。それから私は上手く回っていた。どんな人にもつけいる隙があって甘言を囁けば思う通りに人は動く。
まさかのお母様の再婚。
これは驚いた。相手は侯爵様なんて凄い出世だと従兄弟も驚いていた。
上手く溶け込まなければと気合いが入った。
今までの人と接していて一番上手くいったパターンは、同情を引くと人は、隙が大きくあく。そこに入り込むと私の世界はより潤沢にまわる。
なんとなく同じ年の令嬢は苦手。
みんな同じような目で私のことを見る。蔑むみたいな上から目線。気に入らないわ。
今回もそう。
お兄様になるエルフィンはいいわ。あの目は私を好意的に見ている。だけどもう一人ミルフィーナは駄目。あれは注意深く見ている目。
嫌だわ。あの目。
なんで私のこと見るのよ。いつもの令嬢達のように、私の周りから出て行って欲しいわ。
中々餌に食いつかない。メイドも子爵家と違って私の言葉をそのまま信じてすぐに行動しない。
腹が立つ。メイドのくせに自分で考えるんじゃないわよ。
仕方ない。エルフィンを使おう。このお兄様は凄く単純だった。
「私怖いんです~」
「私仲良くしたいだけなんです~」
「私いじめられているのかも知れないです~」
と言えば、簡単に同情していた。しかし話す話題がない。仲良くなりたいからとメイドに聞いても兄妹の情報を全然流さないから同じ話ばかりになるし。
度々、鉢合わせの偶然を装う事やスキンシップが必要な事を私は従兄弟から学んでいるから。
エルフィンには、甘えられる。
そんな姿をメイドに見られても、さすが侯爵家のメイド、注意されたりしない。
ただあの目は嫌い。
使用人は壁になると聞いたことがあったけど、本当だとしても、誰か一人味方につけるべきだ。
あわよくば、ミルフィーナの情報を流すタイプのメイド。
そして、私がいつもより大袈裟にエルフィンに相談に行くとエルフィンは、ミルフィーナに直接虐めを言及した。
ちょうどお義父様とお母様がいたから、
「良いタイミングだ。流石お兄様」
と心の中で喜んでいると、何故かあっと言う間にお兄様は論破された。
何が起こっているのかわからなかった。
お母様がすぐに近づいてくる。
そして自部屋に私を入れた。メイドにお茶だけ用意させて、退出させた。
「お母様?」
と聞くと、
「アリサ、何故あんな事をエルフィン様に言ったの?」
「私は、本当にみんなと仲良くしたいから」
と言えば、お母様は、
「仲良く?何度も同じ話を振り返しているだけじゃない。あれじゃ、ミルフィーナ様だって怒るわ。この間呼び名は決まったじゃない。なんでまた同じ話をするの?お茶だって、レオナ様はエルフィン様の婚約者であなたが割り込んでいいわけがないのよ。何故あなたが譲らないの?」
と言われた。
「譲る?私が?私はみんなと仲良くしたいだけなんです!譲るとかじゃなくて。みんなで一緒にお茶を飲めば良いじゃないですか?何故二人で飲もうとするんですか?」
と聞いた。
私はおかしいことは言ってない。従兄弟達や令嬢達みんなでお茶を飲んでいた。何故侯爵家では出来ないの?
お母様は驚いた顔をしていた。
「あなたの従兄弟達はお見合いを兼ねたお茶会をいつもしていたの。よりいい相手を見つけるために。下位貴族はそうやって縁を繋いでいくのよ。あなたも参加していたのは、早く良い相手を捕まえられるようにでしょう!エルフィン様は、もう決まった婚約者がいるの、あなたとは違うのよ」
「もちろんわかっております。一番身分が上の殿方を優先し、見込みがある方を見極める。そんな方のそばにおりました」
と言えば、お母様は、
「アリサ、違うの。小さい頃から参加させてた障害かしら。何かずれている気がするわ。身分制の世界で、私達は出しゃばっては駄目なのよ。アリサお願い、私の邪魔をしないで」
と母様は言った。
「もちろん、お父様を取ったりしないわ」
と言えば、まさかお母様から平手打ちがきた。
そして何も言わず部屋から出て行った。何故あんなに怒るのか?
私は上手くやっているのに。お父様に甘えたりしていないはず。
いや、ドレスが欲しくて甘えてしまったか…あれ、お母様に見られたのかしら?
お母様のやきもちかもしれない。
使用人が言っていた女の劣情が一番醜い。
気をつけよう。
頬がジンジンする。
急にお兄様の態度が激変したわ。お兄様がミルフィーナ姉様に注意してからね。あれは、私も同じ話題を出していたのが悪かったわ。
だけど、ミルフィーナ姉様は、隙がないというか同じ屋敷にいるのに接点がない。なさすぎるから、呼び方とお茶の話になってしまう。
メイドにも避けられているのかしら?とさりげなく聞いてみたが、
「先程は、廊下に出ていた」
とか
「庭園にいましたよ」
とか、
「すれ違いが多いですね」
と言われる。
本当にそうかしら?
お兄様は、すぐに私に心を開いてくれたけど、使用人もどこかよそよそしい。お母様に言えば、まだ一か月も経っていないのだから、これから仲良くなるわとか言われた。
侯爵家の人と仲良くしたいのはわかるけど、急に距離を詰めるのは違うわとお説教されたし。
お母様も様子が変。妙に周りを気にしているというか、もう女主人なのだからミルフィーナ様なんて呼ぶ必要無いのよ、と意見したら怒られた。
何故家族にそんな身分を気にするのかわからないわ。
だって私達同じ位置づけよ!
お母様があんな態度だから使用人も、私と距離があるのよ。
お母様のせいなのか、
「何かいつもと違うのよね」
私は、子爵家の娘だったがお父様が亡くなって5年。お父様の弟の叔父様が子爵家を継いだ。当然叔父様にも家族がいるので、私と母様は別宅に住んでいた。
「本当は私達が住んでいたのに」
と当時何度も思っていたし、明らかにお父様が亡くなってから、私達は衣食住の質が落ちた。叔父様達家族が、服を作っても私達は作ってもらえない。食事も同じものではない。メイドが一人と料理人が一人。別宅がどうなっているかなんて気にしてないようだった。
ある日、久しぶりに従兄弟と会った。沢山のお菓子に囲まれていた。お茶会ですって。私は、従兄弟に甘えてみた。
するとお茶会に毎回呼ばれる。従兄弟同士仲良くしようと言った。
まぁ、こんなんでお菓子が貰えると思ったら、笑ってしまう。
隣に座ってニコニコ話を聞いたり、腕を引っ張ったり、手を繋いだり。
ただ、違う令嬢が一緒になると一気に私から新しい令嬢へとお菓子が移動していた。
だから、令嬢達が来た時は、よく話を聞きながら、その令嬢達が従兄弟の事をすこしでも悪く言ったなら、そこを強調して従兄弟に告げ口のように言うと、やっぱりアリサしかいないと言って大量のお菓子が目の前に出された。
「何だ簡単じゃない」
心に芽吹く言葉。それから私は上手く回っていた。どんな人にもつけいる隙があって甘言を囁けば思う通りに人は動く。
まさかのお母様の再婚。
これは驚いた。相手は侯爵様なんて凄い出世だと従兄弟も驚いていた。
上手く溶け込まなければと気合いが入った。
今までの人と接していて一番上手くいったパターンは、同情を引くと人は、隙が大きくあく。そこに入り込むと私の世界はより潤沢にまわる。
なんとなく同じ年の令嬢は苦手。
みんな同じような目で私のことを見る。蔑むみたいな上から目線。気に入らないわ。
今回もそう。
お兄様になるエルフィンはいいわ。あの目は私を好意的に見ている。だけどもう一人ミルフィーナは駄目。あれは注意深く見ている目。
嫌だわ。あの目。
なんで私のこと見るのよ。いつもの令嬢達のように、私の周りから出て行って欲しいわ。
中々餌に食いつかない。メイドも子爵家と違って私の言葉をそのまま信じてすぐに行動しない。
腹が立つ。メイドのくせに自分で考えるんじゃないわよ。
仕方ない。エルフィンを使おう。このお兄様は凄く単純だった。
「私怖いんです~」
「私仲良くしたいだけなんです~」
「私いじめられているのかも知れないです~」
と言えば、簡単に同情していた。しかし話す話題がない。仲良くなりたいからとメイドに聞いても兄妹の情報を全然流さないから同じ話ばかりになるし。
度々、鉢合わせの偶然を装う事やスキンシップが必要な事を私は従兄弟から学んでいるから。
エルフィンには、甘えられる。
そんな姿をメイドに見られても、さすが侯爵家のメイド、注意されたりしない。
ただあの目は嫌い。
使用人は壁になると聞いたことがあったけど、本当だとしても、誰か一人味方につけるべきだ。
あわよくば、ミルフィーナの情報を流すタイプのメイド。
そして、私がいつもより大袈裟にエルフィンに相談に行くとエルフィンは、ミルフィーナに直接虐めを言及した。
ちょうどお義父様とお母様がいたから、
「良いタイミングだ。流石お兄様」
と心の中で喜んでいると、何故かあっと言う間にお兄様は論破された。
何が起こっているのかわからなかった。
お母様がすぐに近づいてくる。
そして自部屋に私を入れた。メイドにお茶だけ用意させて、退出させた。
「お母様?」
と聞くと、
「アリサ、何故あんな事をエルフィン様に言ったの?」
「私は、本当にみんなと仲良くしたいから」
と言えば、お母様は、
「仲良く?何度も同じ話を振り返しているだけじゃない。あれじゃ、ミルフィーナ様だって怒るわ。この間呼び名は決まったじゃない。なんでまた同じ話をするの?お茶だって、レオナ様はエルフィン様の婚約者であなたが割り込んでいいわけがないのよ。何故あなたが譲らないの?」
と言われた。
「譲る?私が?私はみんなと仲良くしたいだけなんです!譲るとかじゃなくて。みんなで一緒にお茶を飲めば良いじゃないですか?何故二人で飲もうとするんですか?」
と聞いた。
私はおかしいことは言ってない。従兄弟達や令嬢達みんなでお茶を飲んでいた。何故侯爵家では出来ないの?
お母様は驚いた顔をしていた。
「あなたの従兄弟達はお見合いを兼ねたお茶会をいつもしていたの。よりいい相手を見つけるために。下位貴族はそうやって縁を繋いでいくのよ。あなたも参加していたのは、早く良い相手を捕まえられるようにでしょう!エルフィン様は、もう決まった婚約者がいるの、あなたとは違うのよ」
「もちろんわかっております。一番身分が上の殿方を優先し、見込みがある方を見極める。そんな方のそばにおりました」
と言えば、お母様は、
「アリサ、違うの。小さい頃から参加させてた障害かしら。何かずれている気がするわ。身分制の世界で、私達は出しゃばっては駄目なのよ。アリサお願い、私の邪魔をしないで」
と母様は言った。
「もちろん、お父様を取ったりしないわ」
と言えば、まさかお母様から平手打ちがきた。
そして何も言わず部屋から出て行った。何故あんなに怒るのか?
私は上手くやっているのに。お父様に甘えたりしていないはず。
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