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19収穫祭2
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今日は、久しぶりにマークとスケッチに行く日だ。お弁当を用意してもらい馬車で山の近くに向かう。
お父様とお母様が忙しいので、少しでも手助けしたいと収穫祭を考えていた。
お世話になっている領民が楽しめるものを!
私の頭の中は、収穫祭の余興を決めること。何か目玉のような印象的な余興があれば良いよなぁ。
やっぱり、楽しめなきゃ意味がないわ。剣術や武術は、見ていて怖さもあるわね。拳もただの喧嘩だし…
女性も子供も参加できるもの…
「姉様、早く行きましょう」
マークが私を押したり引いたり、身体を揺らす。
押したり引いたり…
「例えば、そう、マークこっち来て」
土が見える場所にマークを連れてきて、木の枝で円を二つ書く。
「マーク、この中に入って、さっきみたいに手で押したり引いたり、でも洋服は触っては駄目。手と手ね。円から出たら負け!」
「何ですか?姉様突然」
「用意始め」
と結構マークも力がある押し合い、線から出る。
「線じゃ分かりづらいか。樽に乗る?高さがあるのは危ない。なら、半分の高さかしら?」
「姉様、何ぶつぶつ言っているんですか?スケッチは?」
「マーク様、邪魔してはいけませんよ。アーシャ様は、収穫祭の余興を考えついたようです」
「シンは、姉様の言っている事わかるの?」
「なんとなくですが、前から女性も余興に参加出来るようなものがあったら良いとおっしゃていましたから」
「シンさん、林檎の木箱二つ用意出来ますか?後ほど、お父様達に見て頂きたいと執事に伝えておいて下さい。私、ルールを書いてきます」
「姉様、スケッチは!」
「ごめんなさいマーク、もう少し待ってて、今日は、お庭でスケッチしましょう」
と言うとマークは、凄い嫌な顔をしていた。しかし、思いついた時に書かないと忘れることをわかっているので、急いで部屋に戻った。そう、黄ばんだ紙がある方向を見た。未来予告の単語を記しているような紙。本当に起こるかもわからないけど、拐われた事や王子の茶会があった。
…
フランツ王子の婚約者としてルイーゼは発表されてない。
カイル王子が生きているのと同様ルイーゼの婚約者という立場も変えた?
なら、悪役令嬢にはならないか!?
「忘れないうちにルールを書かないと」
手押し武術?手押し格闘?何にしようか…手押し…
「アーシャ、収穫祭の余興を思いついたそうだね。何かな?」
と夕食の時間にお父様に聞かれ、待ってましたとばかりルールを話した。興味を持ったところに木箱を用意して、二人のメイドに木箱に乗ってもらい、ルール通りに試合をしてもらった。
「これは危なくないのね」
とお母様にも確認された。なので、メイドに聞いてみた。
「どう?」
「はい、掴んでもいけないので、手のひらだけ合わせて押したり引いたりして相手のバランスを崩すゲーム、女性も子供も参加出来ますね」
と言った。お祖母様も
「はしたないけど、見ててドキドキしたわ。どちらが勝つのかしらって」
お祖父様が、
「体格差や力の差があったら不利ではないか?」
「では、お祖父様、私と一戦お願いします」
と戦いを挑む。確かに最初の手のひらに当たる時の力の差はある。しかし、それを見て、わざと引けば、
「あっ!」
お祖父様は、開始早々に前に落ちた。
「これは、確かに力のあるのも有利ですが、私は、身体の体重移動を見極めたり、体幹の勝負でもある気がします。体重があれば力がありますが、箱の大きさは一緒なので、移動できる場所が少ないので、一度崩れれば、負けてしまいます」
「お祖父様、私とも一戦して下さい」
とマークが言う。
「意外に体格差があるとやりづらいな」
とお祖父様が言った。
お父様から、余興大会の名前はと聞かれ、
「手押し相撲」
と答えた。お父様に
「?意味は?」
と聞かれて、困ってしまった。
「色々考えたのですが、私の中で音の響きがぴったりきたというだけなのです、答えになってなくてごめんなさい」
と言うと、お父様が声を出して笑った。
「アーシャが珍しいな。意味がないなんて」
と周りにいた家族も笑った。
そしてこの手押し相撲は、使用人達に流行った。小さな賭け事にもなっていた。
ある日、報告が上がってきた。
ルイーゼが領主館で軟禁になったと。
「どうしてそのような事に?」
とお祖母様に聞けば、
「フランツ王子の婚約者に選ばれず、当たり散らしているから、反省させる為とエドワードから連絡が来たわ。お茶会でも騒ぎを起こして、王妃からも厳重に注意が入ったそうよ、アーシャ知らないのですか?」
「ルイーゼ様は、会が始まる前からいつも通りでしたので、目に入らない場所に移動し、巻き込まれないように注意していました」
と言うとお祖母様は、私を怪しがり、
「まさか、フランツ王子様からも隠れていたのですか?」
と言った。
「アハハッハ、見つかりましたが、揉めている最中にサッと帰りました」
「まぁ、なんと!」
呆れているお祖母様と笑っているマリア。
収穫祭に参加するかもしれない、と不安になったが、来たところでルイーゼが求めているような祭りではないから、すぐに帰るだろうと思った。
たとえ、領主館にいても別館のこちらには訪れて来ない。挨拶さえもこない、お祖母様に頬を叩かれて、避けているのだろう。
収穫祭が始まった。今年は町として飾りつけも豪華だ。以前は、青空市場や、音楽隊、イノシシの丸焼き、酒場、輪投げなどだったけど。音楽隊も楽団みたいに何人もいる。ダンス場所もある。イノシシの丸焼きも何ヵ所か準備され、酒場も同様だ。
「規模が大きくなりましたね」
と話すと護衛のシンも頷き、マークは、輪投げや的当て会場に走り出す。
お父様やお母様の挨拶など本当にきちんとした式典のような収穫祭になったものだと少し寂しい気持ちもあった。
男爵領のままでも…
あのこじんまりとした、みんな知り合いみたいな雰囲気が良かったな。
自由に音楽がなり、踊り出す。横からイノシシ肉の香りがして、思い出が懐かしい。
「どうしましたか?アーシャ様」
「2年前の収穫祭楽しかったなぁと、こんな改まった挨拶は子供は退屈です」
と笑って言えば、シンも笑った。
「子供だけじゃありませんよ」
と一言添えてくれた。
そしてお父様より、今年は、手押し相撲大会をしますと言い、お母様がルール説明、我が家のメイド達が実演して盛り上がっていた。大会場所は、5ヵ所で後夜祭前に決勝戦をこの場所で行うことが発表された。
「良かったわ。みんな盛り上がってくれて」
ひとまず、ホッとした。
「やはり、カイル王子様はお見えになりませんでしたね。残念ですね」
とシンはあたりを見回して言った。
「そうね、仕方ないわね。第二王子ですから、予定通りには進まないのでしょうね。さぁマークも飽きてます。楽しみましょう」
とマークの手を引いて遊びに行く。
沢山遊び、屋台でお昼を食べ楽しんでいれば、町入り口周辺で派手な馬車が止まり、人々に道を開けろと御者が怒鳴る。
嫌な感じだ。
「来ましたね」
とシンが言った。
悪役令嬢ルイーゼ様の登場。
収穫祭に似合わない真っ青なドレス。あれは、フランツ王子様の茶会で着ていたものかしら?
「面倒くさいけど、挨拶すべきよね」
と聞けば、
「そうですね、伯爵様達の元に向かわれるべきですね。ご一緒に挨拶してしまえば、それで済むのでは?」
「えぇそうよね」
と重い足取りで向かう。
「ご機嫌よう、ドミルトン伯爵様。本日は収穫祭が行われて良かったですわね」
「ルイーゼ嬢、ご機嫌麗しいようで良かったです。楽しんで」
とお父様が返せば、
「私、こういった田舎くさく、村人とお話しすること苦手ですの。今日は、父の代理で挨拶に来ただけです。では失礼」
と重そうなドレスを翻した。お父様達と離れ歩き出した。サイドには、サラとリリアンが顔色を悪くしていた。どうしたのかしら?
私は、言葉をかけず膝を折り頭を下げた。私の横を一歩でルイーゼが、歩き始めたので、このまま帰るかなと期待した。その油断だったのだろうか。
「あら、アーシャじゃない、あなたフランツ王子様の茶会に参加しましたか?見かけませんでしたが」
と聞かれて、仕方なく
「はい」
と答えた。ギリっと歯軋りの音が聞こえた気がした後、
「言っときますが、フランツ様が自由な恋愛と言いましたが、伯爵令嬢あたりが出しゃばるんじゃありませんわよ。身分不相応!私、婚約者候補として今後青色のドレスしか着ませんから、その辺り理解して下さいな。これはドミルトン家全体の意向です」
とルイーゼは私を扇子で指し、相変わらずの高圧的な態度で言った。
「はい、畏まりました」
逆らっても何の得にもならない、興味もない話題にさっさとけりをつけたかった。青色ドレスを着たいとも思っていないので、この命令に何にも不満はない。ルイーゼは意地悪そうな顔で笑って、
「あなたにはその草色がお似合いだわ。ずっとその色にしなさいな」
と言い、サラとリリアンも笑っていた。返事を返す必要も感じなかったので、黙っていた。ルイーゼは饒舌に、ここは、田舎くさいだの私には王都の景色しか似合わないだの語ってきた。これを毎日聞かされれば顔色が悪くなると二人に同情する。早く帰れと心の中で念じる。しかし、リリアンが余計な事を言い出した。
「ルイーゼ様、各場所で村人達が騒いでおりますよ。何でしょう?」
「リリアン、村人の遊びなど興味もないわ、なんだかしらけたわ。帰ります」
やっと帰ってくれたかとゆっくり息を吐いた。しかし、マークが、無邪気に
「ルイーゼ様達も手押し相撲やりましょう」
と誘った。何故、マーク?私の頭の中にはハテナが飛び回って、シンは笑っていた。何でこうなるの?とマークは、一つの会場を指し、マーク対サラの対決がいざ行われようとしていた
お父様とお母様が忙しいので、少しでも手助けしたいと収穫祭を考えていた。
お世話になっている領民が楽しめるものを!
私の頭の中は、収穫祭の余興を決めること。何か目玉のような印象的な余興があれば良いよなぁ。
やっぱり、楽しめなきゃ意味がないわ。剣術や武術は、見ていて怖さもあるわね。拳もただの喧嘩だし…
女性も子供も参加できるもの…
「姉様、早く行きましょう」
マークが私を押したり引いたり、身体を揺らす。
押したり引いたり…
「例えば、そう、マークこっち来て」
土が見える場所にマークを連れてきて、木の枝で円を二つ書く。
「マーク、この中に入って、さっきみたいに手で押したり引いたり、でも洋服は触っては駄目。手と手ね。円から出たら負け!」
「何ですか?姉様突然」
「用意始め」
と結構マークも力がある押し合い、線から出る。
「線じゃ分かりづらいか。樽に乗る?高さがあるのは危ない。なら、半分の高さかしら?」
「姉様、何ぶつぶつ言っているんですか?スケッチは?」
「マーク様、邪魔してはいけませんよ。アーシャ様は、収穫祭の余興を考えついたようです」
「シンは、姉様の言っている事わかるの?」
「なんとなくですが、前から女性も余興に参加出来るようなものがあったら良いとおっしゃていましたから」
「シンさん、林檎の木箱二つ用意出来ますか?後ほど、お父様達に見て頂きたいと執事に伝えておいて下さい。私、ルールを書いてきます」
「姉様、スケッチは!」
「ごめんなさいマーク、もう少し待ってて、今日は、お庭でスケッチしましょう」
と言うとマークは、凄い嫌な顔をしていた。しかし、思いついた時に書かないと忘れることをわかっているので、急いで部屋に戻った。そう、黄ばんだ紙がある方向を見た。未来予告の単語を記しているような紙。本当に起こるかもわからないけど、拐われた事や王子の茶会があった。
…
フランツ王子の婚約者としてルイーゼは発表されてない。
カイル王子が生きているのと同様ルイーゼの婚約者という立場も変えた?
なら、悪役令嬢にはならないか!?
「忘れないうちにルールを書かないと」
手押し武術?手押し格闘?何にしようか…手押し…
「アーシャ、収穫祭の余興を思いついたそうだね。何かな?」
と夕食の時間にお父様に聞かれ、待ってましたとばかりルールを話した。興味を持ったところに木箱を用意して、二人のメイドに木箱に乗ってもらい、ルール通りに試合をしてもらった。
「これは危なくないのね」
とお母様にも確認された。なので、メイドに聞いてみた。
「どう?」
「はい、掴んでもいけないので、手のひらだけ合わせて押したり引いたりして相手のバランスを崩すゲーム、女性も子供も参加出来ますね」
と言った。お祖母様も
「はしたないけど、見ててドキドキしたわ。どちらが勝つのかしらって」
お祖父様が、
「体格差や力の差があったら不利ではないか?」
「では、お祖父様、私と一戦お願いします」
と戦いを挑む。確かに最初の手のひらに当たる時の力の差はある。しかし、それを見て、わざと引けば、
「あっ!」
お祖父様は、開始早々に前に落ちた。
「これは、確かに力のあるのも有利ですが、私は、身体の体重移動を見極めたり、体幹の勝負でもある気がします。体重があれば力がありますが、箱の大きさは一緒なので、移動できる場所が少ないので、一度崩れれば、負けてしまいます」
「お祖父様、私とも一戦して下さい」
とマークが言う。
「意外に体格差があるとやりづらいな」
とお祖父様が言った。
お父様から、余興大会の名前はと聞かれ、
「手押し相撲」
と答えた。お父様に
「?意味は?」
と聞かれて、困ってしまった。
「色々考えたのですが、私の中で音の響きがぴったりきたというだけなのです、答えになってなくてごめんなさい」
と言うと、お父様が声を出して笑った。
「アーシャが珍しいな。意味がないなんて」
と周りにいた家族も笑った。
そしてこの手押し相撲は、使用人達に流行った。小さな賭け事にもなっていた。
ある日、報告が上がってきた。
ルイーゼが領主館で軟禁になったと。
「どうしてそのような事に?」
とお祖母様に聞けば、
「フランツ王子の婚約者に選ばれず、当たり散らしているから、反省させる為とエドワードから連絡が来たわ。お茶会でも騒ぎを起こして、王妃からも厳重に注意が入ったそうよ、アーシャ知らないのですか?」
「ルイーゼ様は、会が始まる前からいつも通りでしたので、目に入らない場所に移動し、巻き込まれないように注意していました」
と言うとお祖母様は、私を怪しがり、
「まさか、フランツ王子様からも隠れていたのですか?」
と言った。
「アハハッハ、見つかりましたが、揉めている最中にサッと帰りました」
「まぁ、なんと!」
呆れているお祖母様と笑っているマリア。
収穫祭に参加するかもしれない、と不安になったが、来たところでルイーゼが求めているような祭りではないから、すぐに帰るだろうと思った。
たとえ、領主館にいても別館のこちらには訪れて来ない。挨拶さえもこない、お祖母様に頬を叩かれて、避けているのだろう。
収穫祭が始まった。今年は町として飾りつけも豪華だ。以前は、青空市場や、音楽隊、イノシシの丸焼き、酒場、輪投げなどだったけど。音楽隊も楽団みたいに何人もいる。ダンス場所もある。イノシシの丸焼きも何ヵ所か準備され、酒場も同様だ。
「規模が大きくなりましたね」
と話すと護衛のシンも頷き、マークは、輪投げや的当て会場に走り出す。
お父様やお母様の挨拶など本当にきちんとした式典のような収穫祭になったものだと少し寂しい気持ちもあった。
男爵領のままでも…
あのこじんまりとした、みんな知り合いみたいな雰囲気が良かったな。
自由に音楽がなり、踊り出す。横からイノシシ肉の香りがして、思い出が懐かしい。
「どうしましたか?アーシャ様」
「2年前の収穫祭楽しかったなぁと、こんな改まった挨拶は子供は退屈です」
と笑って言えば、シンも笑った。
「子供だけじゃありませんよ」
と一言添えてくれた。
そしてお父様より、今年は、手押し相撲大会をしますと言い、お母様がルール説明、我が家のメイド達が実演して盛り上がっていた。大会場所は、5ヵ所で後夜祭前に決勝戦をこの場所で行うことが発表された。
「良かったわ。みんな盛り上がってくれて」
ひとまず、ホッとした。
「やはり、カイル王子様はお見えになりませんでしたね。残念ですね」
とシンはあたりを見回して言った。
「そうね、仕方ないわね。第二王子ですから、予定通りには進まないのでしょうね。さぁマークも飽きてます。楽しみましょう」
とマークの手を引いて遊びに行く。
沢山遊び、屋台でお昼を食べ楽しんでいれば、町入り口周辺で派手な馬車が止まり、人々に道を開けろと御者が怒鳴る。
嫌な感じだ。
「来ましたね」
とシンが言った。
悪役令嬢ルイーゼ様の登場。
収穫祭に似合わない真っ青なドレス。あれは、フランツ王子様の茶会で着ていたものかしら?
「面倒くさいけど、挨拶すべきよね」
と聞けば、
「そうですね、伯爵様達の元に向かわれるべきですね。ご一緒に挨拶してしまえば、それで済むのでは?」
「えぇそうよね」
と重い足取りで向かう。
「ご機嫌よう、ドミルトン伯爵様。本日は収穫祭が行われて良かったですわね」
「ルイーゼ嬢、ご機嫌麗しいようで良かったです。楽しんで」
とお父様が返せば、
「私、こういった田舎くさく、村人とお話しすること苦手ですの。今日は、父の代理で挨拶に来ただけです。では失礼」
と重そうなドレスを翻した。お父様達と離れ歩き出した。サイドには、サラとリリアンが顔色を悪くしていた。どうしたのかしら?
私は、言葉をかけず膝を折り頭を下げた。私の横を一歩でルイーゼが、歩き始めたので、このまま帰るかなと期待した。その油断だったのだろうか。
「あら、アーシャじゃない、あなたフランツ王子様の茶会に参加しましたか?見かけませんでしたが」
と聞かれて、仕方なく
「はい」
と答えた。ギリっと歯軋りの音が聞こえた気がした後、
「言っときますが、フランツ様が自由な恋愛と言いましたが、伯爵令嬢あたりが出しゃばるんじゃありませんわよ。身分不相応!私、婚約者候補として今後青色のドレスしか着ませんから、その辺り理解して下さいな。これはドミルトン家全体の意向です」
とルイーゼは私を扇子で指し、相変わらずの高圧的な態度で言った。
「はい、畏まりました」
逆らっても何の得にもならない、興味もない話題にさっさとけりをつけたかった。青色ドレスを着たいとも思っていないので、この命令に何にも不満はない。ルイーゼは意地悪そうな顔で笑って、
「あなたにはその草色がお似合いだわ。ずっとその色にしなさいな」
と言い、サラとリリアンも笑っていた。返事を返す必要も感じなかったので、黙っていた。ルイーゼは饒舌に、ここは、田舎くさいだの私には王都の景色しか似合わないだの語ってきた。これを毎日聞かされれば顔色が悪くなると二人に同情する。早く帰れと心の中で念じる。しかし、リリアンが余計な事を言い出した。
「ルイーゼ様、各場所で村人達が騒いでおりますよ。何でしょう?」
「リリアン、村人の遊びなど興味もないわ、なんだかしらけたわ。帰ります」
やっと帰ってくれたかとゆっくり息を吐いた。しかし、マークが、無邪気に
「ルイーゼ様達も手押し相撲やりましょう」
と誘った。何故、マーク?私の頭の中にはハテナが飛び回って、シンは笑っていた。何でこうなるの?とマークは、一つの会場を指し、マーク対サラの対決がいざ行われようとしていた
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