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58縁

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次の日、私の机は、水浸しになっていた。
私の机を距離を保って見ているクラスメイト。ミンネが同情的に、
「私が登校した時には、この状態だったわ」
とサクラさんの言葉では、
「酷いわよ~、誰がこんな事~、みんなご存知ない~?」
と声だけ私に寄り添っています的な演出。
…昨日の親睦上手くいかなかったですものね、逆恨みですか?
サクラさんに向けて笑顔を作った。

「ただの水みたいですね。これなら大丈夫です」
と周りに宣言するかのようにハンカチで拭く。
ハンカチで拭いても一度じゃ拭き足らず、バケツを持ってきて、絞りながら水を取った。
サクラさんの心配そうな声と対照的にある一部から笑い声が聞こえた。

サクラさんは、こんな事で聖女になれる布石だと思っているのかしら?
今日は、私の事をよく見ている気がする。それほど近寄ってはこなかったが、視線を感じる。

何もない所で躓く、でも後ろを歩いていた方が、すぐ腕を支えてくれて大事には至らなかった。

「ありがとうございます、助けて頂いて」
と言うと、
「いや、気をつけて」
とすぐ私の腕を離し、通り過ぎていった。話す隙も与えず、流れるかのように助けてフラン様は行ってしまった。

これは偶々?

何人かが歓声を上げていたので、これはマズイと後ろを振り返ってもサクラさんはいなかった。
教室に帰っても話題にも上がらなかった。

そして翌日には、机の上は土だらけになっていた。
私に意地悪をして、サクラさんが聖女になれることにどう結びつくのかわからない。

「まぁ~ティアラ様、酷いことする人いるわよね。昨日に引き続き、何なのかしら、一緒に片付けてあげるわ」
と私の机にクラスメイト達が集合していた。

恩着せがましい…何が片付けてあげるだ。
どうせサクラさんがやったんじゃないの?立派なイジメですね。
本当に、この人嫌い!

「ありがとうございます。今、掃除用のバケツを借りてきます」

「一緒について行ってあげるわ。一人じゃ心細いでしょう?大丈夫、私がティアラ様をイジメから守ってあげるわ!」
とサクラさんが言う。

「あ、はい、でもバケツ一つと箒があれば、とりあえず、机の上だけ片付けますね」
と自分の席に行く前の扉で戻り掃除道具を取りに行く。
何が、あげる、あげる…いちいちまぁ…私も腹が立ちますよ。

サクラさんは私に一緒に何かをする動作を求めているのか。
それとも私は、いじめられている人を助けてあげているをクラスメイトにアピールしたいのか。
サッと箒でバケツの中に机の上の土を入れていく。サクラさんの手が出しようない早さで片付ける。

ふん、掃除は得意なのよ。

そして、自分のハンカチで机の上を拭く。汚れるのは仕方がない。悔しいけど…

「皆さんお騒がせしました。綺麗になりましたので、もう大丈夫です」

「でもティアラ様、怖いでしょう。こんな酷いことされて…犯人を探しましょうよ」
と言われた。どの口で言う!いや犯人はあなたでしょう!と言いたいのを飲み込んだ。

「たまたま、私の机付近で、昨日は、水を溢してしまって、今日は、植木鉢の土を溢してしまったのではないでしょうか?仕方ないですよ」
と言えば、嘘でしょうというような驚き顔をした。

「えぇ!気になるわよね、みんな!クラスの一員がこんなことされているのよ~」
とサクラさんが例の如く煽る。

「「「そうね、怖いわよね。嫌がらせよきっと」」」

でしょうね。

「でも偶々かもしれませんし…」
と言えば、私の煮え切らない態度が気に入らないようで、
「そう、偶々ならね…」
といって自分の席に帰ってくれた。

間違いなく明日からも何かやるな…

昼休みも誘われたが、ちょうどブランカ先輩が私を呼びに来てくれた。

「何故、ブランカが…」
と聞こえたが無視する。

「助かりましたブランカ先輩」

「何言っているのよ。私もあなたは恩人よ。こうなった限りは総力戦よ」
「先輩~、流石にそんな戦いみたいなことではないと思いますけど」

発想が武闘派!…講堂の乱闘再びなんて冗談じゃない。

「何言っているの?もう相手は仕掛けてきたって言うじゃない。クラード様から聞いたわ。今日はシルベルト様が王宮に行って学園はお休みだからね、来たわ。一緒に食べましょう」

まだ何も言ってないのに…どこで知られたのかしら?もしかして、皆さん、陰から私の見守りをしているの?

「ありがとうございます、ブランカ先輩」
とお礼を言えば、

「あら~何某さんじゃない。相変わらず貧相な顔して、何の飾りも付けない髪型、お化粧はされているの?全く匂いもしないし、少しは令嬢としての見栄を張りなさいな」

「イリーネ様…」

「ブランカさんじゃ頼りないからね。まぁ、なんかカミューラ様を助けてくれたらしいじゃない。ちょっとぐらいなら協力してあげてもいいわ。あなたのクラスであなた何かやられているって言うじゃない」
と扇子を出して口元を隠している。

だからどこで知るのですか、そういう情報!クラス内に情報を売る人がいるのかしら?

「ありがとうございます」

あまり目立ちたくないんだけどな。
派手な集団の威圧感が凄い。
協力をわざわざ言ってきてくれているイリーネ様に言えないな…

結局この目立つメンバーで食事をする。

「昨日は、私の机の上に水を溢され、今日は、土が撒かれてました」
と言えば
「あら~嫌がらせね~それもなんてベタな~」
と楽しそうなイリーネ様と
「え、証拠は?」
とすぐに犯人捜索に乗り出しそうなブランカ先輩。

「犯人はサクラさんでしょう。やたら、一緒に手伝う、イジメなんて許せない、犯人を見つけましょうとかいってましたけど…残念ながら証拠はありません。それにしても、あの方すぐに、~してあげるって言うんですよ。腹が立って仕方ありません」
と言えば、私のことなんて同情もしないようでイリーネ様は、淡々と
「そう、明日も…その予定かしら?」
と言われたので
「多分ですけど、餌を撒く言葉は残してきたつもりです、イリーネ様」

「あら、随分とズル賢くなったこと、私は知りません、関係ありませんじゃなくて…あなたのお得意は?」

「イリーネ様、サクラさんは自分の事しか考えていないんです」

「そうね、嘘つきで抗戦的ね。私もあの子嫌いだけど、そんな気構えの子、別に嫌いじゃないのよね」
と言って、イリーネ様の一団は食べ終わると、
「じゃあね、頑張ってね。何某さん」
と言って立ち去った。強烈な残り香だけ残して。

「本当、何しに来たのかしら?なんていうか自分の言いたいことだけ言っていなくなる人達ね」
とブランカ先輩も言った。
謝りたかったけど話にならなかったってカミューラ様の時言ってた通りのような。

「はい、でも心配してくれているんだと思うんですけど、一応、最後まで名前を呼んでくれないのですね」
と言えば、
「何かしらね?言葉だけは意地悪は意地悪なんだけどね。あんな彼女見ないわよね~」
と言われた。

イリーネ様との縁は、セオルド様で、考えてみると、ブランカ先輩も被害者の会、あの婚約破棄騒動の余波から、まさかこんな知り合いが出来るなんて考えもしなかった。

本当に私の役目は、セレナさんの代役?確かに生徒会のメンバーは、気にかけてくれている。でもそれにしたら、イリーネ様達は優しいのではないかしら?と疑問が浮かんだ。
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